チェリーセージは花色や形がさまざまな種類があり、中でもホットリップスは赤と白のコントラストが美しく人気の品種なので、自宅で育ててみたいという方は多いでしょう。
チェリーセージの育て方は難しくありませんが、剪定や植え替えなどの手入れや強い繁殖性など注意点がいくつかあるので、栽培前に確認しておくことをおすすめします。
この記事では、チェリーセージの種類と特徴、育て方のポイント、剪定時期や注意点などについて詳しくご紹介します。
チェリーセージの種類と花の特徴
チェリーセージとは、サルビア属の中にある以下の三種を含めた総称です。
品種 | 特徴 |
ミクロフィラ種 (S.microphylla) | 葉に鋸歯があり花色は赤が基本だが、紫や白などもある。 |
グレギー種 (S.greggii) | 葉に皺があり花色は赤が基本だが、ピンクやオレンジなどもある。 |
ヤメンシス種 (S.jamensis) | グレッギーとミクロフィラの交配種で、花色が豊富で葉に皺がないのが特徴。 |
開花期は5月から11月で、茎先や葉の脇から穂状に咲きます。花色は赤、ピンク、白、紫などがあります。葉にはサクランボのような甘い香りがあります。
いずれもメキシコの標高1500m~3000mの高山で見つかった植物ですが、標高によって異なる種が分布しています。(標高が低いところから順に、グレッギー、ミクロフィラ、ヤメンシスと変化する。)
耐寒性に多少の違いがありますが、育て方に大きな違いはないので育てる際に注意する必要はありません。
なお。チェリーセージには多くの品種がありますが、代表的なものを紹介します。
品種 | 特徴 |
ホットリップス | ミクロフィラの品種で、赤と白のツートンカラーの花を咲かせる。気温によって色が変化する。イチゴミルクと呼ばれることもある人気の品種 |
ダンシング・ドール | ヤメンシスの品種で、淡いピンク色の花を咲かせる。 |
ナイトモス | ヤメンシスの品種のひとつ。ビロードのような深い紫色の花が特徴で、ミステリアスな雰囲気を作る。 |
デザートパステル | グレッギーの品種で、オレンジ色の花を咲かせることが特徴。 |
ホットリップスの花を見ると、本当にイチゴミルクを連想しますね。
チェリーセージを育てる環境づくり
チェリーセージは日当たりと風通しの良い場所に植えましょう。明るめな半日陰なら栽培可能ですが、日照不足になると花付きが悪くなります。
暑さに強いですが、真夏は花が休むことがあるので、直射日光が強い場所では午後から日陰になるようにしたり、日よけをすると良いです。
また、チェリーセージは数年たつと大株になるので、隣の植物との株間は余裕をもって植え付けるようにします。(品種によっては最終的には丈も幅も1メートル以上になるものもあります)
鉢植えの場合は、少しずつ鉢を大きくしていく必要があるほか(寒冷地の場合は)冬場には霜や雪から守るために屋内や温室に移動させます。
用土づくり
栽培に適した用土づくりは、以下のように行います。
用土つくり | ポイント |
水はけの良い土にする | 市販のハーブ用培養土や草花用培養土をそのまま使うか、小粒の赤玉土6割と腐葉土4割を混ぜたものを使う。パーライトや川砂などを加えて水はけを改善することも効果的。 |
中性からややアルカリ性の土にする | 苦土石灰や籾殻くん炭、草木灰などを加えて酸性度を中和する。 |
肥沃すぎる土は避ける | 肥料分が多すぎると花付きが悪くなるので与え過ぎない。 |
水やりと肥料の与え方
チェリーセージは根付くまで毎日水やりをします。根付いた後は、鉢植えの場合は土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。
地植えの場合は基本的に水やりは不要ですが、真夏の日照りが続いて土が乾燥しているときは朝か晩に水やりをします。
チェリーセージは肥料は少なめで育つ草花です。鉢植えの場合は、春と秋にゆっくりと効果のある緩効性の肥料を施します。地植えの場合はさほど必要ありませんが、土作りをしっかり行えば良く開花します。土作りには苦土石灰と腐葉土を使うと効果的です
チェリーセージの種まき時期と方法
チェリーセージの種ま時期と方法は、以下のようになります。
- 種まき時期は、春まきなら4月~5月、秋まきなら9月~10月に行う。
- 苗用のポットに2〜3粒ずつ植える。
- 発芽をするまで毎日水やりをする。
寒さに弱いので、初心者の方は春まきの方が育てやすいでしょう。
寒冷地で秋まきをする際は、は冬の対策をするか、鉢植えにして室内で管理する必要があります。
地植えの時期と方法
チェリーセージの地植えの時期は、前述した種まきの時期と同じです。
植え付け場所の環境づくりは、上記の用土づくりと最適な環境をご参照ください。
地植えの方法は以下のとおり行います。
- 植え付ける2週間前から土質を調節する。
- 苗よりも1~2回り大きな植え穴を掘る。
- 株同士の間隔を40~50cmほど空ける。
- 苗を植え付ける。
- しっかりと土を固めて水やりをする。
- 根付くまで毎日水やりを続ける。
なお、土質の調節は、植え付ける2週間前に苦土石灰、1週間前に腐葉土を2~3割混ぜて植え付けまで寝かせておくようにします。
チェリーセージを鉢植え・プランターで育てる方法
チェリーセージを鉢植え・プランターで育てる方法は、上記の地植えの方法と同様で大丈夫です。
鉢やプランターは根詰まりしないように一回り大きなものを選ぶ必要があります。チェリーセージは生育旺盛で次第に大きくなっていくので、鉢も同様に徐々に大きくしていくことになります。
最終的には丈も幅も1メートル以上になるものもあるので、その点は留意しておきましょう。
移植(植え替え)時期と方法
地植えのチェリーセージは植え替えの必要はありませんが、場所を変えたいときは、3~4月に移植します。
鉢植えの場合も同様に、3~4月に植え替えをして根詰まりを防ぎますが、1~2年に1回程度の頻度で行うようにします。
植え替えは1回り大きな鉢へ植え替えるようにしますが、株が大きくなりすぎているときは地植えにするのも1つの方法です。
植え替えの方法は以下のとおりです。
- 根球を崩さないように注意して掘り上げる。
- 根が傷んでいる場合は、切り落とす。
- 植え付け後、しっかりと土を固める。
- 根付くまで毎日水やりを続ける。
移植先の環境づくりは、先述しました「最適な環境」「地植えの方法」をご参照ください。
室内での育て方
チェリーセージは耐寒性があまり高くなく、最低気温-5℃~-10℃くらいなので、寒冷地の冬は室内に取り込んで管理しましょう。
チェリーセージを室内で育てる方法は以下のとおりです。
- 日当たりと風通しの良い場所に置く。
- 明るめな半日陰なら栽培可能ですが、日照不足になると花付きが悪くなる点に注意しましょう。
- 土の表面が乾いたら朝か夕方にたっぷりと水やりをする。
- 春と秋に緩効性の肥料を施す。
- 花が終わったら枝を切って次の花を咲かせる。
剪定・切り戻しする方法と目的・時期
チェリーセージは生育旺盛で放任すると枝が伸びすぎたり、花付きが悪くなったりします。
真夏と冬以外であれば、伸びすぎたらいつでも切り詰めることができます。花が終わった後に枝を切るとすぐに花芽をつけます。切る位置は、花穂の下の節から2~3節目のところで切ります。
初夏からたくさん咲いたチェリーセージは、夏前に一度切り戻しておくと、すっきりとした株姿になり秋からまた花が咲き始めます。切り戻す量は、株の高さの半分程度でよいでしょう。
また、何年も管理した株は年々大株になり、枝も混みあってきます。2年目以降の枝は株元が木質化し、剪定をしないで育てると株の上の方だけが芽吹くため、姿が乱れてきます。
定期的に切り戻しをしつつ細い枝は根元で間引き、たまに強剪定をして若い枝を出すようにしていくときれいな株姿を保ちます。
夏越しは強い日差しに注意する
チェリーセージは暑さに強い植物ですが、真夏の強い日差しや乾燥には注意しましょう。
日陰に移動したり、日よけをしたりして直射日光を避けるようにします。
水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをしますが、暑さのピークを避けた朝か夕方に行うとよいです。
また、水やりの際は葉に水がかからないように注意しましょう。
チェリーセージは真夏は花が休むことがありますが、秋になると再び咲きだします。花が終わったら枝を切って次の花を咲かせましょう。夏前に一度切り戻しておくとすっきりとした株姿になります。
耐寒性と冬越しの方法
チェリーセージの耐寒性は品種によってやや違いますが、最低気温-5℃~-10℃くらいです。関東南部であれば地植えでも問題なく冬越しできますが、それより寒い地域では鉢植えにして室内に取り込んだ方がよいでしょう。
鉢植えのチェリーセージを室内で冬越しする場合は、先述した「室内での育て方」をご参照ください。
地植えのまま冬越しする場合は、冬前に茎を整理したり切り戻したりして株を休ませます。切り戻す量は、株の高さの1/3~1/4程度でよいでしょう。株元に腐葉土や落ち葉などを敷いて保温すると良いです。
チェリーセージの寿命はどれくらいか
チェリーセージの寿命は品種や環境によって異なりますが、一般的には3年程度と言われています。
チェリーセージは丈夫で暑さに強い多年草ですが、何年もすると株が乱れたり木質化したり花付きが悪くなったりすることがあります。
ただ、剪定や挿し木で若返らせることができますので、適切な管理をすることで長く楽しめるようになります。
チェリーセージの増やし方
チェリーセージの増やし方は、
- 挿し木で増やす方法
- こぼれ種で増やす方法
上記2つの方法があります。
挿し木で増やす方法と時期
チェリーセージは挿し木で簡単に増やすことができます。
挿し木は5~7月が適期です。切り戻した枝を使うか、今年伸びた元気のよい新芽を10~15cmほどの長さに切り取り、挿し穂とします。
実際の手順は次のとおりです。
- 挿し穂の先端に付いている葉を2~3枚残して他を切り落とす。
- 切り口を20~30分ほど水に浸ける。
- 水揚げした後、発根促進剤を切り口に付ける。
- 赤玉土(小粒)やバーミキュライトに枝を挿す。
- 土が乾燥しないよう水やりをして日陰で管理する。
1~2週間ほどで発根し、十分に根が生えたら鉢や地面に植え替えます
それほど難しいことはありませんが、挿し木で失敗するケースとしては、水分が足りないことが挙げられるので、手順2の水に浸ける工程と、その後の水やりを欠かさずに行うと良いでしょう。
チェリーセージはこぼれ種でも増える
チェリーセージの花は春から秋まで長い間咲き続けますが、花が終わると小さな種ができます。
この種が風や鳥によって飛ばされたり、地面に落ちたりして、自然に播種されることがあり、翌年の春になるとその種から新しい芽が出てきて、意外な場所にチェリーセージの花が咲くことがあります。
こぼれ種で増えたチェリーセージは、親株と同じ品種とは限りません。交雑したり変異したりして、花色や葉の形が違うものも出てくる楽しみはありますが。意図しないところに広がってどんどん繁殖していくと手に負えなくなるので注意が必要です。
こぼれ種で増えたチェリーセージは、適度に間引いたり移植したりすることをおすすめします。
チェリーセージの収穫時期と方法
チェリーセージは観賞用と食用の両方に使えるハーブですが、食用にする場合は必ず食用可能と確認できたものを購入しましょう。
観賞用と食用では、生産過程で使用する薬剤が違うことがあります。
収穫時期は、初夏から秋まで長く咲く宿根草ですが、花が咲き始める5月ごろから10月ごろまでが最適です。花は咲き始めたらどんどん摘み取りましょう。葉は花が咲く前の春や秋に摘み取ると香りが強くなります。
花は茎ごと切り取り、葉は茎の先端から数枚残して切り取るようにします。収穫した花や葉は水洗いして水気を切り、日陰で乾燥させてから使います。
なお、チェリーセージの使い方についてはこちらのページで詳しくお伝えしています。
チェリーセージの育て方に関するQ&A
ここでは、チェリーセージの育て方に関するQ&A(質問&回答)を紹介します。
- 枯れる原因は?
- ひょろひょろしている時はどうするべき?
- 木質化したらどうするべき?
- チェリーセージは宿根草?
- チェリーセージは多年草?
- 青い花が咲くのもある?
上記の問いについて詳しく回答していますので、参考にしてみてくださいね。
枯れる原因は?
チェリーセージは丈夫で花期も長い植物ですが、時に管理方法によっては枯れてしまうこともあります。
チェリーセージが枯れてしまう主な原因は次の4つが考えられます。
枯れる原因 | ポイント |
寒さ | チェリーセージは冬の寒さに弱く、霜に何度も当たると地上部の葉が落ちて枯れ込んでしまいます。 土が凍結しない限りは根は生きているので、春になればまた芽吹きますが、冬の間は見た目が悪くなります。 寒冷地では、霜よけをしたり、鉢植えを室内に取り込んだりするとよいでしょう。 |
日照不足 | チェリーセージは日当たりと風通しの良い場所を好みます。 日照不足になると花付きが悪くなったり、茎が伸びすぎたりして枯れやすくなります。 明るい半日陰以上の場所に植えましょう。 |
水やり過多 | チェリーセージは水はけの良い土を好みます。 水やり過多になると根腐れを起こして枯れてしまいます。 鉢植えでは土の表面が乾いたらたっぷりと水を与える程度にしましょう。 地植えでは特に水やりの必要はありません。 |
病害虫 | チェリーセージは目立った病害虫の害はありませんが、風通しが悪かったり、水やりが不適切だったりするとカイガラムシやアブラムシなどに侵されることがあります。 これらの害虫は葉や茎に黒いカビを発生させて枯れさせることがあります。 害虫を発見したら早めに駆除しましょう。 |
ひょろひょろしている時はどうすべき?
チェリーセージがひょろひょろしている時は、以下のような対処をしてみましょう。
原因 | ポイント |
日照不足の場合 | チェリーセージは日照不足になると茎が伸びすぎてひょろひょろしてしまいます。 日照不足の原因としては、植え付け場所が暗い、隣の植物に日陰られている、室内に取り込んでいるなどが考えられます。 この場合は、明るい半日陰以上の場所に移動させましょう。 また、伸びすぎた茎は切り戻して株を整えましょう。 |
水やり過多の場合 | チェリーセージは水やり過多になると根腐れを起こしてひょろひょろしてしまいます。 水やり過多の原因としては、水やりの回数や量が多すぎる、鉢底に水が溜まっている、雨水が溜まっているなどが考えられます。 |
肥料不足の場合 | チェリーセージは肥料不足になると栄養不足でひょろひょろしてしまいます。 肥料不足の原因としては、肥料を与えていない、肥料が流出している、土が痩せているなどが考えられます。 |
木質化したらどうすべき?
チェリーセージは数年経つと株元の茎が木質化して硬くなります。 木質化した茎は花付きが悪くなったり、枯れやすくなったりします。 また、木質化した茎から出る新芽は細くて弱く、花も小さくなります。
チェリーセージが木質化したら、以下のような対処をしてみましょう。
対処法 | ポイント |
剪定する | チェリーセージが木質化したら、剪定することで若返らせることができます。 剪定することで、新しい芽が出て花付きが良くなります。 |
挿し木で増やす | チェリーセージが木質化したら、挿し木で増やして新鮮な苗を育てるのも1つの手段です。 |
チェリーセージは宿根草?
チェリーセージは、シソ科の多年草で、宿根草として扱われることが多い植物です。
ただ、何年もすると木質化したり株が乱れたりすることがあるので適切な対応が必要となります。そのため、宿根草ではあっても育て方によっては毎年楽しめるかどうかが変わってきます。
チェリーセージは多年草?
チェリーセージは多年草です。
ただ、冬に地上部が枯れてしまうことがあります。(根は生きているので、春になればまた芽吹きます。)
適切に管理していれば何年も育て続けることができるので、上手に育ててみてくださいね。
青い花が咲くのもある?
チェリーセージの品種の中には青い花が咲くのもあります。
例えば、サルビア・ミクロフィラの「ロイヤルバイオレット」や「ミスティックスパイアーズブルー」、サルビア・ヤメンシスの「ナチュラルブルー」や「インディゴスパイアーズ」などが青い花を咲かせるチェリーセージの品種です。
これらも他のチェリーセージと同様に丈夫で暑さに強く、長い期間開花します。
まとめ:チェリーセージの育て方のポイント
チェリーセージの育て方についてお伝えしましたが、簡潔にポイントをまとめると以下のようになります。
- 日当たりと風通しの良い場所に植える
- 水はけが良い土を使う
- 地植えの場合は水やりはほとんど不要
- 鉢植えの場合は土が乾いたらたっぷりと水やりをする
- 肥料は春と秋に緩効性肥料を施す
- 花がら摘みや剪定をして株を若返らせる
耐寒性は品種によって異なるので寒冷地では霜よけをしたり、鉢植えを室内に取り込むなどの冬越しを行うようにしましょう。
チェリーセージは丈夫なハーブなので、育ててみたいという方は是非挑戦してみてくださいね。