ヘリオトロープは、小さな星のような花が集まって咲く魅力的な植物です。花からはバニラのような甘い香りが漂い、ハーブとしても人気があります。
「献身的な愛」という花言葉もあり、贈り物としても喜ばれるでしょう。
しかし、育て方にコツが必要です。水やりや置き場所、用土や肥料など、細かな管理が求められます。また、寒さに弱いので、冬越しの方法も知っておく必要があります。さらに、挿し木で増やしたいと思っても、発根に時間がかかることもあります。
そこで、この記事では、基本的なヘリオトロープの育て方に加えて、挿し木の方法や花が咲かない対策もご紹介します。長く楽しみたい方は、ぜひ参考にしてください。
ヘリオトロープを育てるのに適した環境づくり
種まきを終えたらヘリオトロープ栽培に適した環境づくりを行いましょう。
ヘリオトロープは日当たりがよく、水はけのよい場所で育てます。用土づくりや水・肥料の与え方は次のとおりです。
用土づくり
ヘリオトロープは酸性土壌を嫌うので、苦土石灰を混ぜた用土が適しています。
市販の草花用培養土にパーライトを1割混ぜたものや、赤玉土6:腐葉土3:軽石1の割合で配合したものがおすすめです。
水やり
水やりは土が乾き始めたらたっぷりと行います。
乾燥させると葉が黒くなり落葉する可能性があるので、特に夏場は水切れさせないように注意します。冬場は乾燥気味に水やりをして冬越しします。
肥料の与え方
肥料は春から秋まで液体肥料や置き肥を定期的に与えます。
最初の植え付け時に緩効性化成肥料を元肥として施すとよいでしょう。一番花が終わったら追肥をして花付きを良くします。
種まき時期と方法
ヘリオトロープの種まきの時期は春(4月~5月)と秋(9月~10月)が適しています。
種まきの方法は以下のとおりです。
- 種を一晩水に浸けておく
- 育苗ポットに赤玉土(小粒)を入れる
- 育苗ポットの中心に指で1cmほどの穴を空ける
- 膜のはった種をスプーンですくい、穴に3~4粒まく
- 軽く土を被せる
- 土が乾かないように水やりをして管理する
種から発芽するまでには約2週間かかります。発芽したら日当たりのよい場所に移し、本葉が2~3枚になったら鉢植えに植え替えます。
花壇へ地植えする時期と方法
ヘリオトロープは花壇に地植えすることもできます。地植えする時期は春(4月~5月)から秋(9月~10月)が適しています。
地植えする方法は以下のとおりです。
- 植え付ける場所を耕して苦土石灰を混ぜる。
- 植え付ける前に鉢植えの根鉢を水に浸けておく。
- 植え付ける場所に根鉢より少し深い穴を掘る。
- 根鉢を崩さないようにポットから抜き、穴に入れる。
- 穴の周囲を土で埋めて固める。
- 水やりと置き肥を施す。
地植えしたヘリオトロープは寒さに弱いので、冬は霜よけのためにマルチやビニールなどで覆って保護します。
鉢植え・プランターで育てる方法
ヘリオトロープは鉢植えやプランターで育てることもできます。
鉢植えやプランターで育てる方法は、上記の地植えの方法とほとんど変わりませんが、鉢やプランターの底に鉢底石を敷いて水はけの良い土を入れて、水はけの良い環境づくりが大切です。
日当たりのよい場所に置き、冬は室内に取り込んで管理すると冬越しできます。
植え替え時期と方法
ヘリオトロープは根詰まりを防ぐために、2~3年に1回は植え替えをします。植え替えの時期は春か秋で、花が咲き終わったころが適しています。
植え替えの方法は以下のとおりです。
- 植え替える前に水やりをしておく
- 鉢から根鉢を抜き出す
- 古い土や枯れた根を取り除く
- 根をほぐす
- 新しい鉢に水はけのよい用土を入れる
- 鉢の中央に根鉢より少し深い穴を掘る
- 根鉢を穴に入れる
- 穴の周囲を土で埋めて固める
- 水やりと置き肥を施す
植え替えるときは、根鉢がゆったり入る一回り大きな鉢にします。また、根が傷つかないように注意が必要です。
ヘリオトロープの開花時期と香り・花言葉
ヘリオトロープは春から秋まで長期間花を咲かせます。開花時期は4月下旬から10月上旬までです。
花色は紫や白があり、小さな星型の花が集まってドーム状に咲きます。
ヘリオトロープの花からはバニラのような甘い香りがします。香りの強さは種類によって異なりますが、コモンヘリオトロープが最も香りが強く、ビックヘリオトロープはほのかに香る程度です。香りは夕方から夜間にかけて強くなります。
ヘリオトロープの花言葉は「献身的な愛」「永遠の愛」「忠実」などです。愛する人への想いや尊敬する人への敬意を表現することができます。
ヘリオトロープの花が咲かない原因と対策
ヘリオトロープは花が咲かないことがあります。花が咲かない原因と対策について以下にまとめました。
花が咲かない原因 | 対策 |
日当たり不足 | 日当たりのよい場所に移動する |
水やり不足 | 土が乾き始めたらたっぷりと水やりをする |
肥料不足 | 液体肥料や置き肥を定期的に与える |
過剰な切り戻し | 花芽が出るまで切り戻しを控える |
病害虫の被害 | 適切な薬剤を散布する |
花が咲かない時は、心当たりのある原因に対して対策を講じますが、複数の要因が影響していることもあるのでご注意ください。
ヘリオトロープの花がら摘みの方法
ヘリオトロープは花がら摘みをすることで、次の花付きを良くすることができます。
花がら摘みの方法は以下のとおりです。
- 花がしおれたら、枝先から数節下にある葉の付け根にある節まで切り取る。
- 切り口に水分が残らないように拭く。
- 切った枝先は捨てるか、挿し木に利用する。
花がら摘みをするときは、切り口に病原菌や害虫が入らないように注意します。また、切る枝先は新しい芽や葉が出ているものを選びます。
室内での育て方
ヘリオトロープは室内で育てることもできます。室内で育てる場合は、以下の点に注意します。
- 日当たりと通気性を確保する。
- 水やりは土が乾いたら行う。
- 肥料は春から秋まで月に1回与える。
- 冬場は暖房器具から離して管理する。
室内で育てたヘリオトロープは、バニラのような香りで部屋を彩ってくれます。ただし、香りが強すぎると頭痛や吐き気を引き起こす可能性もあるので、適度に換気することも忘れないでください。
剪定・切り戻しする方法と目的・時期
ヘリオトロープは剪定や切り戻しをすることで、枝ぶりや花付きを良くすることができます。
剪定や切り戻しの方法と目的・時期は以下のとおりです。
剪定:形を整えたり、病気や害虫を防ぐことを目的に枝先や枯れた枝を整える。春から秋まで随時行います。
切り戻し:花芽を増やしたり、枝の強化を目的に枝を半分ほど切り落とす。春か秋に行います。
剪定や切り戻しをするときは、切り口に病原菌や害虫が入らないように注意します。また、切る枝先は新しい芽や葉が出ているものを選ぶようにしましょう。
ヘリオトロープ栽培で気をつけたい病害虫
ヘリオトロープは病害虫に弱いことがあります。特に注意したい病害虫は以下のようなものです。
アブラムシ | 葉や茎に付いて吸汁する。葉が黄色くなったり、ねばねばした液が出たりする。水やりを適度にすることである程度予防できます。発生した場合は、水洗いや殺虫剤で駆除します。 |
カイガラムシ | 茎や葉の裏に付いて吸汁する。茎や葉に黒い点ができたり、ねばねばした液が出たりする。アブラムシと同様に水やりを適度にすることである程度の予防は可能。発生した場合は、爪楊枝などで剥がすか殺虫剤で駆除します。 |
ハダニ | 葉の裏に付いて吸汁する。葉が白くなったり、細かい点ができたりする。予防策としては、湿度を高めることが挙げられます。発生した場合は、水洗いや殺虫剤で駆除します。 |
シロイロカビ病 | 茎や葉に白いカビが生える。湿気が多くて日当たりが悪い場所で発生しやすい。予防策としては、通気性を良くすること。発生した場合は、病部を切り取るか殺菌剤で駆除します。 |
これらの病害虫に感染しないように、水やりや置き場所に注意しましょう。
夏越しの注意点
ヘリオトロープの夏越しはそれほど難しくありませんが、以下の点に注意しましょう。
- 高温多湿に弱いので、直射日光や風通しの悪い場所を避ける。
- 水やりは土が乾き始めたら行う。
- 肥料は液体肥料を月に1回与える。
- 花がら摘みをして花付きを良くする。
夏越ししたヘリオトロープは、秋に再び花を咲かせます。ただし、夏越ししたヘリオトロープは冬越しできない可能性が高いので、ご注意ください。
耐寒性と冬越しの方法
ヘリオトロープは耐寒性が低く、冬越しすることが難しいです。冬越しする方法は以下のとおりです。
- 鉢植えの場合は室内に取り込んで管理する。
- 日当たりと湿度を確保し、水やりは乾燥気味にする。
- 地植えの場合は霜よけのためにマルチやビニールなどで覆って保護し、水やりはほとんどしない。
- 花壇やプランターの場合は鉢に移し替えて室内に取り込むか、霜よけをして保護する。
冬越ししたヘリオトロープは、春になったら剪定や植え替えをして、外に出します。
ヘリオトロープの増やし方
ヘリオトロープは種まきのほか、株分け・挿し木・葉挿しで増やすことができます。
ここでは、それぞれの方法でヘリオトロープを増やす方法をご紹介します。
- 挿し芽(挿し木)で増やす方法と時期
- 株分けで増やす方法と時期
挿し木で増やす方法と時期
ヘリオトロープは挿し木で増やすことができます。挿し木の時期は春と秋で、5月~6月や9月頃が適しています。
実際の方法は以下のとおりです。
- 花がら摘みや剪定で切った枝先を利用する
- 枝先から下の葉を取り除く
- 挿し木用の土(赤玉土と腐葉土を半々に混ぜたもの)を入れたポットに挿す
- 水やりをしてビニール袋などで覆う
- 日陰で管理する
挿し木から発根するまでには約1ヶ月かかります。発根したら日当たりのよい場所に移し、鉢植えに植え替えます。
挿し芽で増やす方法
挿し芽の方法は、以下のとおりです。
- 新芽を8cmほど切り取りる。切り口は斜めに切ると発根しやすくなります。
- 切り口を1時間ほど水につけてる。
- 赤玉土や挿し木用培養土に挿す。
- 株元から3~4枚の葉を残して、他の葉は取り除く。
- 土が乾燥しないように水やりをする。
直射日光を避けて、明るい日陰で管理していると、1ヶ月ほどで発根するので、根が出たら小さな鉢に植え替えます。
株分けで増やす方法と時期
株分けで増やす場合は春か秋で、花が咲き終わったころが適しています。
実際の手順は以下のとおりです。
- 鉢からヘリオトロープを抜き出す。
- 根鉢を半分に切り分ける。(根を傷つけないように注意する)
- 切り分けた株をそれぞれ新しい鉢に植え付ける。
- 水やりは土が乾燥しないようにする。
- 直射日光を避けて、明るい日陰で管理する。
- 根が張ったら液体肥料を与える。
上記の手順でヘリオトロープの株分けは完了です。
収穫時期と方法
ヘリオトロープは花だけでなく、葉も香りがあります。葉は収穫して乾燥させることで、ポプリやハーブティーなどに利用することができます。
収穫時期は花が咲く前の春か、花が終わった後の秋が適しています。
収穫の方法は以下のとおりです。
- 枝先から数節下にある葉を摘み取るか、枝ごと切り取る。
- 収穫した葉は日陰で風通しのよい場所に広げて乾燥させる。
- 乾燥した葉は密閉容器に入れて保存する。
種の採取方法
ヘリオトロープは種からも増やすことができます。種の採取方法は以下のとおりです。
- 花が終わった後に残る実(果実)を見つける。
- 実が茶色く乾燥して割れそうになったら収穫する。
- 実を紙袋などに入れて乾燥させる。
- 実が割れて種が出るのを待つ。
- 種を取り出して保存する。
- 採取した種は冷暗所に保存する。
種は発芽率が低いので、種まきするときは多めにまきます。また、種まきする前に一晩水に浸けておくと発芽率が上がるのでおすすめです。
ヘリオトロープの育て方に関するQ&A
ここでは、ヘリオトロープの育て方に関するQ&A(質問&回答)を紹介します。
- 葉が枯れる原因と対策は?
- ヘリオトロープブライドブルーの育て方に違いはある?
- ヘリオトロープブライドパールの育て方に違いはある?
- 多年草なのか?
- 木質化した時の対処方は?
- 寄せ植えに相性の良い植物は?
上記の問いについて詳しく回答していますので、参考にしてみてくださいね。
葉が枯れる原因と対策は?
ヘリオトロープの葉が枯れる原因と対策としては、以下のようなものが考えられます。
葉が枯れる原因 | 対策 |
乾燥 | 水やりが不足して土が乾燥すると、葉が黒くなり落葉することがあります。水やりは土が乾き始めたらたっぷりと行います。 |
寒さ | 耐寒性が低いので、霜や冷え込みに当たると、葉が枯れて落葉することがあります。冬は室内に取り込んだり、霜よけをしたりします。 |
病害虫 | シロイロカビ病やアブラムシなどの病害虫に感染すると、葉が枯れて落葉することがあります。病害虫に感染しないように水やりや置き場所に注意し、発生した場合は適切な薬剤で駆除します。 |
葉が枯れる場合は、これらの原因をチェックして対策を行ってください。
ヘリオトロープブライドブルーの育て方に違いはある?
ヘリオトロープ ブライドブルーはヘリオトロープの品種の一つで、淡い青紫色の花を咲かせます。香りはコモンヘリオトロープよりも弱めです。育て方は基本的にヘリオトロープと同じですが、以下の点に注意します。
- 花色を保つために日陰を避ける
- 水やりは土が乾き始めたら行う
- 肥料は液体肥料を月に1回与える
- 花がら摘みをして花付きを良くする
ヘリオトロープ ブライドブルーは日当たりのよい場所で育てると、美しい花色を楽しむことができます。また、香りもほのかに漂って癒されます。
ヘリオトロープブライドパールの育て方に違いはある?
ヘリオトロープ ブライドパールはヘリオトロープの品種の一つで、白い花を咲かせます。香りはコモンヘリオトロープよりも弱めです。育て方は基本的にヘリオトロープと同じですが、以下の点に注意します。
- 花色を保つために直射日光を避ける
- 水やりは土が乾き始めたら行う
- 肥料は液体肥料を月に1回与える
- 花がら摘みをして花付きを良くする
ヘリオトロープ ブライドパールは日陰や半日陰で育てると、清楚な白い花を楽しむことができます。また、香りもほのかに漂って癒されます。
多年草なのか?
ヘリオトロープは本来は多年草ですが、日本では一年草として扱われることが多いです。
それは、ヘリオトロープは耐寒性が低く冬に凍死してしまう可能性が高いからです。冬越しすることは難しいですが、室内に取り込んだり、霜よけをしたりすることで、多年草として育てることもできます。
木質化した時の対処方は?
ヘリオトロープが木質化した時の対処方は、切り戻しや植え替えをすることです。
木質化した部分は花芽をつけにくくなるので、枝先から数節下にある節まで切り取ります。切り取った枝先は捨てるか、挿し木に利用することができます。
また、根詰まりを防ぐために、2~3年に1回は植え替えをします。植え替えるときは、根鉢がゆったり入る一回り大きな鉢にします。
寄せ植えに相性の良い植物は?
ヘリオトロープの寄せ植えに相性の良い植物は、以下のようなものがあります。
ペチュニア | 色とりどりの花を咲かせる一年草。ヘリオトロープと同じく日当たりと水はけを好む。 |
カランコエ | 赤や黄色の花を咲かせる多肉植物。ヘリオトロープと同じく乾燥に強く水やりは控えめにする。 |
ローズマリー | 青紫色の花を咲かせるハーブ。ヘリオトロープと同じく酸性土壌を嫌う。 |
ラベンダー | 紫色の花を咲かせるハーブ。ヘリオトロープと同じく香りがあり、虫除け効果もある。 |
これらの植物とヘリオトロープを寄せ植えすることで、色や香りのコントラストを楽しむことができます。
まとめ:ヘリオトロープの育て方のポイント
この記事では、ヘリオトロープの育て方についてご紹介しました。ヘリオトロープは水切れや乾燥に弱く、日当たりと水はけのよい場所で育てることが大切です。また、酸性土壌を嫌うので、苦土石灰を混ぜた用土を使うことや、定期的に肥料を与えることも欠かせません。
冬は霜の降りない場所に移動させるか、室内で管理することで冬越しできます。
挿し木で増やす場合は、春か秋に茎の先端を切って赤玉土に挿します。発根するまでは土が乾かないように注意しましょう。花が咲かない場合は、枯れた花を摘んだり、伸びた枝を切り戻したりすることで改善できます。
ヘリオトロープは美しい花と甘い香りを楽しめる植物です。育て方のコツをつかめば、1年中育てることも可能です。ぜひ挑戦してみてくださいね。