バーミキュライトは、軽くて多孔質で水分や栄養素を保持する能力が高く、土に混ぜることで土の空気量や水分量を調整し、植物の根の呼吸や成長を促進する効果があります。
使用の注意点としては、バーミキュライトは水分を保持する能力が高いので、使いすぎると土が湿りすぎてしまう点があげられます。
この記事では、主な特徴やメリットを詳しく紹介した後、土壌改良のための使い方と水はけ効果について、具体的な例を挙げて説明します。
バーミキュライトとは?
バーミキュライトとは、苦土蛭石という鉱物を高温で加熱して膨張させた人工土で、園芸や建築などに様々な用途があります。
基本用土(赤玉土や腐葉土など)の性質を補う改良用土(無機物)・調整用土に分類されるものです。
ここでは、ハーブ栽培に用いる場合に絞って、
- 主な特徴
- ハーブ栽培における用途と効果
この2点についてお伝えしていきます。
主な特徴
バーミキュライトは、軽量で断熱性に優れた鉱石の一種で、高い保水性と通気性を持っているため、植物の根が水分や酸素を適切に吸収できる環境を作り出すことができます。
また、バーミキュライトは耐久性もあり長期間使用することができるため、園芸や農業などの分野で広く利用されています。
ほぼ中性のpHを示し、土壌の酸性度を調整する効果があります 。また、カリウムやマグネシウムなどの栄養素を含み、植物の生育に必要なミネラルを供給します。
ハーブ栽培における用途と効果
ハーブ栽培における用途としては、土の保水性や通気性を向上させるために使用されることが多いです。
バーミキュライトを土に混ぜることで、水の保持力が高まり、根の腐敗や乾燥を防ぐことができます。また、バーミキュライトは軽量なため、鉢植えの軽量化にも役立ちます。
これらの特徴を活かすと、植物の発芽や根付きを促進したり、病害虫や冷害を防止したり、肥料の効率を高めたりできます、
バーミキュライトの土壌改良への効果
バーミキュライトは土壌改良に非常に効果的な素材で、ハーブの栽培でも重宝します。
ここでは、バーミキュライトと土壌改良の関係について、次の2点をご紹介します。
- 土壌改良に使う理由
- 土壌改良のための使い方
ハーブ栽培に適した土壌づくりを行うための参考にしてみてくださいね。
土壌改良に使う理由
バーミキュライトは土壌改良に非常に効果的な素材です。
特徴として、軽量な素材であることが挙げられます。そのため、土壌に混ぜることで土の重さを軽くし、根の成長を促すことができます。
また、良好な通気性を持っているため、土壌内の空気や水の循環を促進して根の発育を助けます。
さらに、バーミキュライトは水分保持能力にも優れています。土壌に混ぜることで、水分を適度に保持し、過湿や乾燥を防ぎます。これにより、植物が必要な水分を適切に吸収できるようになります。
土壌改良のための使い方
バーミキュライトは、土壌改良剤として広く使われています。その理由は、軽量であることや保水性に優れていることです。バーミキュライトを使った土壌改良は、施工も簡単で手間がかかりません。
具体的な使い方は簡単で、土に混ぜるだけで完了です。バーミキュライトを使った土壌改良は、植物の根が伸びやすくなるため、種まきや挿し木にも効果的です。
種まきの際には、バーミキュライトを土に混ぜることで、種がしっかりと根付く環境を作ることができます。
挿し木においても利用され、バーミキュライトは保水性が高いため、挿し木の根が水分を十分に吸収できる環境を作ることができます。
さらに、バーミキュライトは水耕栽培にも使われます。バーミキュライトとペットボトルを使って行う水耕栽培は、簡単に始めることができます。バーミキュライトはカビが生えにくく、虫もわきにくいため、清潔な環境を保つことができます。
バーミキュライトの水はけ効果
バーミキュライトは、原料の苦土蛭石を高温で加熱すると蛇腹状に膨張して多層構造になります。この多層構造は水や空気を通しやすく、土の排水性を向上させる効果があります。
微細な粒がマイナスの電気を帯びており、酸性から中性ではプラスの電気を帯びている赤土などの粘土の微細な粒とくっついて団粒構造を作ります。この団粒構造は内部に水や空気を保持することができ、土の固結を防ぎます。
バーミキュライトは、水を吸うとやや粘り気が出てしっかりとした重みのある土になります。このため、水はけが悪く酸素不足になってしまった土に加えると、土の保水性と排水性のバランスを調整することができます。
バーミキュライトを使った種まきの方法
バーミキュライトは、無菌で保水性・保肥性に優れた土壌改良材です。種まきに使用すると、発芽率を高める効果があります。
バーミキュライトは、単独で使用する場合と、他の用土と混ぜて使用する場合があります。単独で使用する場合は、以下の手順で行うようにします。
- 容器にバーミキュライトを適量入れる(厚さは2~3cm程度が目安)
- バーミキュライトを水で濡らす。(ジュクジュクしない程度にします)
- 種をまく。
- 軽くバーミキュライトで覆う。
- 容器にふたをして、直射日光の当たらない暗い場所に置く。
- 乾燥しないように適度に水やりをする。
- 発芽したら、ふたを外して日光の当たる場所に移す。
発芽後の管理は植物の種類によって異なりますので、適切な水やりや肥料、植え替えなどを行ってください。
種をまく際は、種の大きさや種類によって適切な間隔や深さが異なりますので、種のパッケージなどを参考にして適切にまくようにしてください。
なお、バーミキュライトを他の用土と混ぜて使用する場合、赤玉土3、腐葉土1、バーミキュライト1の割合で混ぜると、保水性と通気性のバランスの良い用土になりり、発芽や根付きを促進する効果があります。
種まきに使う4つのメリット
バーミキュライトを種まきに使うメリットについては次の4つが挙げられます。
- 発芽率を高められる
- 種が腐ったり、根が酸素不足になったりするのを防ぐ
- 植物の生育に必要なミネラルを供給する
- 土の重さや固さによる種の圧迫を防ぐ
こうしたメリットを活かすために、バーミキュライトを上手に活用してみてくださいね。
バーミキュライトを使った挿し木の方法
バーミキュライトは軽くて通気性があり、水はけも良いため、根が成長しやすい環境を作り出し、挿し木の成功率を高めることができます。
バーミキュライトを使った挿し木の方法は、以下のようになります。
- バーミキュライトを容器に入れて湿らせる
- 挿し木したい枝に発根促進剤を塗る
- パーライトに挿す
- 直射日光が当たらない暗い場所に置く
- 乾燥しないように水やりをする
挿し木になかなか成功しないという方はバーミキュライトを使ってみるのも良いでしょう。
挿し木に使うメリット
バーミキュライトは水はけの良い特性を持っていますので、植物の根が水分をしっかりと吸い上げることができます。これにより、根腐れの予防にもなります。
また、バーミキュライトは空気中の水分を含むことができるため、挿し木の成功率を高めることができます。挿し木は根が生えるまでの間、水分が必要ですが、バーミキュライトを使うことで水分を適度に保持し、根がしっかりと成長する環境を提供することができます。
さらに、バーミキュライトは軽量でありながら保水力があるため、挿し木の株を支えることができます。これにより、挿し木が倒れることなく成長することができます。
以上のように、バーミキュライトを挿し木に使うことで、水はけの良さや根腐れの予防、空気中の水分の保持など、様々なメリットが得られます。
バーミキュライトを使った水耕栽培の方法
バーミキュライトを使った水耕栽培のやり方はとても簡単です。
ここでは次の二通りの方法をお伝えします。
- ペットボトルで行う水耕栽培のやり方
- 水切りカゴとトレーを使う方法
また、バーミキュライトを水耕栽培に用いる場合に、良く聞かれる次の2点についてもまとめておきます。
- カビが生えやすい?
- 虫がわくこともある?
水耕栽培は手軽にハーブを栽培できる方法ですが、バーミキュライトを用いることでより効率よくできるようになります。
ペットボトルで行う水耕栽培のやり方
バーミキュライトを使った水耕栽培は、手軽で効果的な方法です。
やり方は次のとおりです。
- ペットボトルを半分に切る。
- 上側を逆さにして、下側に入れる。
- バーミキュライトを入れる。
- 育てたいハーブを植える。(根がボトル口から出るようにする)
- ペットボトルの下側に液体肥料を混ぜた水を入れる。
- 水を1週間に1回交換する。
- ペットボトルの下部は根の成長を促すのと藻の繁殖を防ぐため、黒い紙などで覆う。
バーミキュライトを使った水耕栽培は初心者でも簡単に始めることができるため、ぜひ試してみてください。
水切りカゴとトレーを使う方法
バーミキュライトを使った水耕栽培は、水切りカゴとトレーを使って水耕栽培をするのもおすすめです。
やり方は次のとおりです。
- 水切りカゴの底に生ゴミ用の水切りネットを敷く。
- バーミキュライトを敷き詰めて表面を平らにする。
- 種まき or 植え付けをする。
- 筒状のもので囲う。(プラスチックカップの底を切ったようなもの)
- 水に液体肥料を混ぜる。
- 種まきや植え付けをした場所を避けて手順5の混合水を入れる。
- 水が少なくなってきたらその都度足して調整する。
- 水は切らさないようにする。
水切りカゴとトレーは100均でも売っているので手軽に準備できますね。
カビが生えやすい?
水耕栽培で気になるのはカビの発生ですが、バーミキュライトは通気性が良く水はけもよいため、カビが生えにくい特徴があります。
バーミキュライトは、微細な空気孔が多く存在し、水分を適度に保持しながらも余分な水分を排水することができます。このため、適切な湿度を保ちながらも水分が溜まりすぎることがなく、カビの繁殖環境を抑えることができるのです。
ただし、水耕栽培で使うバーミキュライトも完全にカビの発生を防ぐことはできません。特に湿度が高い場所や水の管理が不十分な場合は、カビの発生リスクが高まるため、定期的な水やりや湿度管理が重要です。
カビの発生を防ぐためには、バーミキュライトを使う前に消毒することも有効です。消毒方法としては、塩素系の消毒液や次亜塩素酸ナトリウムを使用する方法が一般的です。これにより、バーミキュライト表面の菌やカビを除去し、清潔な状態を保つことができます。
虫がわくこともある?
バーミキュライトは無菌で保水性に優れているので、虫がわきにくいという特徴があります。
しかし、完全に虫がつかないというわけではありません。風や窓から虫が侵入したり、植物の汁を吸う虫が発生したりする可能性があります。その場合は、ピンセットや天然素材のスプレー、トラップテープなどで駆除する方法があります。
また、虫がつかないようにする対策としては、室内だけで水耕栽培することや、日当たりや風通しに注意することがおすすめです。
バーミキュライトのデメリット
バーミキュライトは、水耕栽培や種まきなどに使える便利な土壌改良材ですが、デメリットもあります。バーミキュライトのデメリットについては、以下のとおりです。
- 軽すぎるので、使い過ぎると植物が倒れやすくなる。
- 無菌なので、植物にとって有益な微生物も含まれない。
- 酸性を好む植物には適さないほか、アルカリ性の土に混ぜると土の酸性度を中和してしまう可能性がある。
こうしたデメリットを解消するためには、バーミキュライトだけでなく、堆肥や腐葉土などの有機質を混ぜると良いでしょう。
また、可能性はそれほど高くはありませんが、バーミキュライトにはアスベストが含まれることがあります。アスベストは発がん性があるので、使用には注意が必要です。
バーミキュライトに関するQ&A
ここでは、バーミキュライトに関するに関するQ&A(質問&回答)を紹介します。
- ピートモスとの違いは?
- 赤玉土との違いは?
- 粘土質の土壌改良にも使える?
上記の問いについて詳しく回答していますので、参考にしてみてくださいね。
ピートモスとの違いは?
ピートモスとバーミキュライトは土壌改良においてよく使われる材料ですが、それぞれ異なる特徴を持っています。
ピートモス | バーミキュライト | |
pH | 強い酸性 | ほぼ中性 |
菌 | 無菌ではないので、消毒や殺虫剤の使用が必要な場合がある。 | 無菌で清潔なので、病気や害虫に侵されやすい発芽や挿し木に最適。 |
断熱性・保温性 | 断熱性と保温性が低く、冬場は凍結しやすい。 | 断熱性と保温性があるので、気温の変化に弱い植物にも適している。 |
保水性・排水性 | 保水性が高く水はけが悪いですが、有用微生物を活性化させる力がある。 | 保水性と保肥性に優れており、断熱性と保温性がある一方で、単独で使うと根が安定しないことがある。 |
赤玉土との違いは?
赤玉土とバーミキュライトは土壌改良に使用されることがありますが、その特性にはいくつかの違いがあります。
赤玉土 | バーミキュライト | |
pH | pH6程度の弱酸性 | ほぼ中性 |
養分 | 主にケイ酸やアルミニウム、鉄などです。これらの成分は、植物の細胞壁や光合成に必要なものです。 | 主に酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムのほか、マグネシウムやカリウム、鉄分などの微量元素も含んでいますが、ごく微量であること、水分や土に溶け出すことはないことから、肥料効果はありません。 |
保水性・排水性 | 保水性と排水性に優れており、肥料もちも良い一方で、粒が潰れやすく、目詰まりを起こすことがあります。 | 保水性と保肥性に優れており、断熱性と保温性がある一方で、単独で使うと根が安定しないことがある。 |
粘土質の土壌改良にも使える?
粘土質の土壌改良にもバーミキュライトは効果的に使うことができます。
粘土質の土壌は水はけが悪く根の発育を妨げることがありますが、バーミキュライトを粘土質の土に混ぜると土の粒子間に空気が入り、通気性と排水性が向上します。
また、バーミキュライトは水分や肥料を保持する力があるので、乾燥や栄養不足を防ぐことができます。
一般的に粘土質の土壌改良には砂や腐葉土などを使用しますが、これらの材料は重くなりがちで土壌を軽量化することができません。その点、バーミキュライトは軽量なため、重さに制限がある吊り鉢や気温の変化に弱い植物にも適しています。
ただし、バーミキュライトはpHが中性から弱アルカリ性なので、酸性を好む植物には向かない点にはご留意ください。バーミキュライトの使用量は、土の種類や植物の種類によって異なりますが、一般的には土に対して10~20%程度が目安です。
まとめ:バーミキュライトの土壌改良のための使い方と水はけ効果
この記事では、バーミキュライトの土壌改良のための使い方と水はけ効果をお伝えしました。
バーミキュライトは、高温に加熱すると膨張する鉱物で、軽くて多孔質で、水分や栄養素を保持する能力が高いです。そのため、バーミキュライトを土に混ぜると、土の空気量や水分量を調整し、植物の根の呼吸や成長を促進する効果があります。
しかし、バーミキュライトを使うには、適切な量や方法を知っておく必要があります。バーミキュライトは水分を保持する能力が高いので、使いすぎると土が湿りすぎてしまうこともあります。また、バーミキュライトは酸性の土にはあまり適していないので、土のpHを測ってから使うことが望ましいです。
バーミキュライトを使って、あなたの植物に最適な環境を作ることができます。バーミキュライトの特徴やメリットを理解して、土壌改良のための使い方と水はけ効果を活用しましょう。