トケイソウは、時計のような不思議な花を咲かせるつる性の植物です。グリーンカーテンにも使えるので、庭に植えてみたいと思う方もいるかもしれません。
しかし、「トケイソウには植えてはいけない」という意見もあるので事前に確認しておくと良いでしょう。
この記事では、トケイソウを植えてはいけないと言われる3つの理由と実情について詳しくお伝えするので参考にしてみてください。
トケイソウとは
トケイソウは南米原産のつる植物で、観賞用として人気があります。
トケイソウの仲間には果実を食用とする品種もあり、クダモノトケイソウの実はパッションフルーツとして知られています。パッションフルーツにはポリフェノールが豊富に含まれており、美容や健康に良いと言われています。
また、トケイソウにはハーブとしての効能もあります。トケイソウに含まれる成分のアルカロイドやフラボノイドは鎮痛や鎮静作用があり、不眠やストレスなどに効果が期待できます。
トケイソウはハーブティーとして飲まれることが多く、他のハーブとブレンドすることで相乗効果があります。
「トケイソウを植えてはいけない」と言われる4つの理由
トケイソウを植えてはいけないと言われる理由として、主に以下の3つが挙げられます。
- ツルが伸びすぎて手に負えなくなるから
- 葉や茎に毒性が含まれているから
- 花言葉が怖いと言われる
- 見た目がグロテスクに感じる人が多いから
それぞれの理由についてもう少し詳しくお伝えします。
ツルが伸びすぎて手に負えなくなるから
トケイソウはつる性で屋根の高さまで伸びていく場合もあるほどで、辺り一面に伸びて収拾がつかなくなる可能性があります。
うまく活用すればグリーンカーテンにすることは可能ですが、以下のようなデメリットも発生します。
- 風通しが悪くなり害虫を引き寄せる・病気にかかりやすくなるから
- 他の植物が影になり、生育が悪くなる
- 誘引や剪定などの管理が大変になる
上手に管理できれば「植えてはいけない」というほどではありませんが、トケイソウを初めて植える場合は、成長スピードを見越した上で育てるようにしましょう。
葉や茎に毒性が含まれているから
トケイソウの葉や茎には、シアン化物やアルカロイドという毒成分が含まれています。
葉や茎なので口にする危険性は少ないかもしれませんが、子供やペットなどが口にしないとも限りませんので注意が必要です。
トケイソウの毒性については、次の項目で詳しくお伝えします。
花言葉が怖いと言われるから
花言葉が怖いと言われることがあるトケイソウですが、実際には怖い意味は含まれません。
宗教的な意味合いが強いので怖いと感じる人もいるようですが、正しく知ることで怖さを感じることはなくなるはずです。
見た目がグロテスクに感じる人が多いから
トケイソウの花の形は独特で、グロテスクに感じる人は多いです。中には見た目が気持ち悪いというほど。
個人的な感覚を言わせてもらうと、トケイソウの花はエキゾチックな感じがたまらなく魅力的に感じますが、感性は人それぞれ違いますからね。
トケイソウが気持ち悪いという意見については後述しますので、他の人の見方が気になるという方は参考にしてみてくださいね。
トケイソウを植える前に考慮すべきポイントと対策
トケイソウを植える前には、次の4点について考慮しておくと後悔する可能性を減らせるでしょう。
- トケイソウを植える適切な時期と育て方
- 毒性に対する正しい知識
- トケイソウの花に対する予備知識
- トケイソウの品種選び
それぞれのポイントと対策についてお伝えしていきます。
適切な植え方と育て方
適切な植え方や誘引方法を含めた育て方については、トケイソウの育て方のページに詳しくまとめましたのでご参照ください。
毒性について
トケイソウの葉や茎、果実(クダモノトケイソウなどの食用の種以外の果実)には毒性のある成分が含まれています。
ここでは、トケイソウに含まれる毒性分とパッションフルーツとの関係についてお伝えしていきます。
トケイソウに含まれる毒成分とその作用
トケイソウに含まれる毒成分は主に以下の2種類です。
- シアン化物
- アルカロイド
この2つの毒性分については、次のとおりです。
シアン化物の危険性について
シアン化物は、血液中の酸素を運ぶヘモグロビンと結合して、細胞呼吸を妨げる物質です。シアン化物が口からの摂取や皮膚からの吸収、軌道からの吸入によって体内に入ると以下のような症状が現れます。
- 呼吸困難や動悸
- 頭痛やめまい
- 吐き気や嘔吐
重症になると、昏睡、無呼吸、全身性痙攣、肺水腫などを引き起こし、最悪の場合死に至ることもあります 。
アルカロイドの危険性について
アルカロイドは、人体に対して強い毒性や薬理作用を示すことが多く、医療や娯楽のための麻薬としてや、幻覚儀式において使用されることがあります。
アルカロイドの人体への影響は、種類や摂取量や経路によって異なりますが、一般的には以下のような症状が現れます。
- 不安や不眠
- 呼吸抑制や心停止
- 精神障害や心臓障障害
- 胃潰瘍や胃出血
- 高血圧や低血圧
- 心不全やショック
アルカロイドは人体に様々な影響を与える可能性があるので注意が必要です。
トケイソウの毒性とパッションフルーツの関係
パッションフルーツは、トケイソウの一種であるクダモノトケイソウの果実です 。パッションフルーツは、酸味が強くて香りが良い果物で、ジュースやジャムなどに加工されて食べられます 。
これまでトケイソウの毒性についてお伝えしてきましたが、パッションフルーツが実るクダモノトケイソウの実を始め、葉や茎には毒性はありません。
トケイソウの毒性について知るとパッションフルーツが気になると思いますが、食べ過ぎ以外で体へ害を及ぼすことはありませんので安心して食べられます。
花言葉の正しい知識
トケイソウの花言葉は、「聖なる愛」「信仰」「宗教的熱情」と、一見怖いイメージを持つ言葉が並んでいます。
しかし、これらの花言葉は、トケイソウが持つ独特な花姿とキリスト教的な象徴から由来しており、決してネガティブな意味合いではありません。
聖なる愛
「聖なる愛」は、純粋で揺るぎない愛情を表します。トケイソウは、キリストの受難を象徴する花とされてきました。キリストの無償の愛を体現したトケイソウの花言葉は、深い愛情や献身的な愛を表現するのにぴったりです。
信仰
「信仰」は、信じる心や宗教的な信念を表す言葉です。トケイソウの花が持つ独特な形状や色彩は、人々の信仰心や宗教に対する尊敬を象徴しています。深い信仰を持つ人への敬意や、精神的な支えを願う気持ちを表す花言葉と言えるでしょう。
宗教的熱情
「宗教的熱情」は、宗教に対する情熱や熱意、そしてその信仰を深く持つことを意味します。トケイソウは、キリストの受難や犠牲を思い起こさせる花として、このような花言葉が付けられました。強い意志を持って信仰に取り組む人への称賛や、困難に立ち向かう勇気を与えたいという気持ちを伝えることができます。
このように、トケイソウの花言葉は、決して怖い意味合いではなく、むしろ深い愛情、信仰心、そして宗教的熱情を表しています。贈り物に添えたり、誰かにお花を贈る際の参考にしてみてください。
トケイソウの見た目が気持ち悪いと感じる人の理由
トケイソウの見た目が気持ち悪いと感じる人は少なくありません。その理由として考えられるのは以下のようなものです。
- 花の形が不自然でグロテスクだから
- 花の色が独特の派手さがあり目につきすぎるから
それぞれの理由について見てみましょう。
花の形が不自然でグロテスクだから
トケイソウの花の形は不自然でグロテスクに見える人もいます。
花の中心部にある雌しべは、先端が3つに分かれており、時計の針に見えることから名付けられましたが、中には時計ではなく十字架に見えるという人もいます。
花びらや萼(がく)は放射状に並び、文字盤や冠(かんむり)に見えると時計を連想する人がいる一方で、花びらや萼の間にある細長い突起冠毛は髪の毛や触手に見えるという人もいます。
トケイソウは昆虫や鳥類などを介して受粉されますが、その際に目立つように色や形を変化させたというのが一般的な見方ですが、その姿が人によっては不自然でグロテスクに映ることもあるようです。
花の色がが独特の派手さがあり目につきすぎるから
トケイソウの花は紫や赤、白など様々な色があります。これも受粉するために目立つように進化していった結果ですが、その色合いは派手で目につきすぎると感じる人もいます。
特に紫色や赤色は情熱的で強烈な印象を与えますが、同時に過剰や危険などのネガティブなイメージも持たれやすい色でもあります。
また、白色は清潔や純真などのポジティブなイメージを持たれる一方で、冷たさや無機質さなどのネガティブなイメージも持たれやすい色とも言えます。
これらの色は、トケイソウの花言葉にも反映されていて、ポジティブな意味とネガティブな意味を持つ花言葉があります。トケイソウの花言葉については後ほど詳しくご紹介します。
トケイソウの見た目を美しいと感じる人の理由
トケイソウの花は、不自然でグロテスクに感じる人がいる一方で、その形は独創的でアートだと感じる人もいます。
第一印象では独特の見た目で驚く人もいるかもしれませんが、慣れてくるとその独特な形はエキゾチックな印象を受けるようになるから不思議です。
独創的でアート的な形をしているという表現はトケイソウの花の魅力を表現するには最適な言葉ではないでしょうか。
トケイソウで幻覚を見ることはあるのか
トケイソウは、前述したとおりアルカロイドという毒性のある成分を含む植物ですが、その中には幻覚作用を持つものもあります。
このアルカロイドは、神経伝達物質のセロトニンの代謝を阻害し、脳内のセロトニン濃度を上昇させることで、幻覚や夢遊状態を引き起こすことがあります。
トケイソウの原産地である南米の先住民は、トケイソウの葉や茎を他の植物と混ぜて煎じた飲み物「アヤワスカ」を儀式に用いており、強い幻覚作用があることが知られています。
アヤワスカには、ジメチルトリプタミン (DMT) という強力な幻覚性物質が含まれており、これがハルマラアルカロイドと相乗的に作用することで、強烈な幻視や神秘的な体験を引き起こすとされています。
まとめ:トケイソウを植えてはいけないと言われる理由と実情
トケイソウを植えてはいけないと言われる理由についてまとめました。
トケイソウは、伸びすぎて手に負えなる、毒性がある、見た目がグロテスクに感じるといった点がデメリットがあるほか、花言葉が怖いと言われることがあります。
これからトケイソウを植えようかと検討している方は参考にしてみてください。