クリーピングタイムの育て方は難しくありませんが、増やし方や冬越し・種まきの方法にはコツがあります。
この記事では、クリーピングタイムの育て方のポイントを詳しく解説します。
クリーピングタイムを上手に育てて、美しい花と香りを楽しみましょう。
クリーピングタイムとは
クリーピングタイムとはシソ科イブキジャコウソウ属のハーブの一種で、地面を這うように広がるほふく性の植物です。
花期は4月~6月で、小さなピンクや白の花を咲かせます。葉には爽やかな香りがありますが、料理に使われることはあまりありません。
ハーブティーやハーブ過湿などに使われるほか、グランドカバーや花壇の縁取りとして用いられることが多いハーブです。
クリーピングタイム栽培に適した環境づくり
クリーピングタイムは、暑さと寒さのどちらにも強い性質をもっているので環境づくりにはそれほど気を遣う必要はありませんが、育てる際は日当たりと風通しのよい場所にし、真夏は半日陰か日陰が望ましいです。
用土づくりや水・肥料の与え方について、次の項でご紹介していきます。
用土づくり
クリーピングタイムは、水はけのよい土壌を好みます。
地植えの場合は、土壌が酸性化していると育ちにくいので、苦土石灰を混ぜて中和させてから植え付けてください。
繁殖力が強いので、こうした条件を満たしていれば用土づくりとしては問題ありません。
水やりと肥料の与え方
水やりは、土が乾いたらたっぷりと与えますが、湿気に弱いのでやや乾燥気味に育てます。冬場は水の回数を減らし、土の表面が乾いたら2~3日おいてから与える程度で大丈夫です。
肥料は、植え付け時に粒状のものを土に混ぜます。追肥は必要であれば4月~9月、9月~11月に液体肥料や土の上に置くタイプの固形肥料を与えます。
肥料が多すぎると香りが薄れることもあるので注意しましょう。
クリーピングタイムの種まき時期と方法
クリーピングタイムの種まき時期は、9月~10月が最適です。クリーピングタイムの種はとても小さく、発芽率も低いので、種まきには注意が必要です。
種まき方法は以下のとおりです。
- 苗用のポットに種まき用の土を入れる
- 水をたっぷりと与える
- 種を薄くまき、土で覆わないか、軽く覆う程度にする(種が水で流れないように注意)
- ポットをビニール袋に入れて、明るい日陰に置く(温度は15~20℃が適している)
- 毎日水やりをし、土が乾かないようにする
種が発芽するまでに2~3週間かかります。発芽したらビニール袋を外し、日当たりの良い場所に移します。
本葉が4~5枚になったら間引きをし、7~8枚ほどになったら定植します。
直播きでも発芽させることは可能ですが、種が小さく風に飛ばされやすいので苗用のポットに種まきする方が効率は良いです。
地植えの時期と方法
クリーピングタイムの地植えの時期は、春と秋の2回です。春(3月~5月)か秋(9月~10月)に行うとよいでしょう。
地植えの方法は以下のとおりです。
- 予め育てるのに適した土づくりをしておく
- 苗を植える場所に穴を掘る
- 苗の根を傷めないように植え付ける
- 植え付け後にたっぷりと水やりをする
- 根付くまでは毎日水やりを続ける
- 植え付け間隔は20~30cmくらいにする
以上が、クリーピングタイムの地植えの時期と方法です。
クリーピングタイムは繁殖力が強いので、増えすぎないように定期的に剪定や株分けを行います。(方法は後ほどご紹介します)
鉢植え・プランターで育てる方法
クリーピングタイムを鉢植えやプランターで育てる場合も、これまでお伝えしてきた育て方で問題りません。
ここでは、鉢植え・プランターで育てる場合の注意点についてまとめておきます。
用土は、水はけのよい土が必要です。ハーブ用の培養土を使うのが便利です。鉢の底に鉢底石を敷いて水はけを良くする対策をした上で土を入れるようにしましょう。
肥料は、植え付け時に粒状のものを土に混ぜ、追肥として4月~9月と11月に液体肥料や錠剤タイプの肥料を与えます。
クリーピングタイムの花が咲く時期と香り・花言葉
クリーピングタイムは、春から初夏にかけて小さなピンクや白の花を咲かせます。
花は手毬状や円錐状になり、蜜源植物としても重要です。踏むとすがすがしい香りがします。
クリーピングタイムの花言葉は、「勇気」と「活動力」です。この花言葉は、タイムの語源となったギリシャ語の「thymos/thymus」(勇気)や「thyo」(生贄)に由来していると言われています。
刈り込み(剪定・切り戻し)する方法と目的・時期
クリーピングタイムは、高温多湿で蒸れるのが苦手なハーブです。刈り込み(剪定・切り戻し)は、株の健康と美しさを保つために重要な作業です。
クリーピングタイムの刈り込み(剪定・切り戻し)の方法は以下のとおりです。
花後
花が咲き終わった後は、株元からバッサリと刈り込みます。これは、株の強化と通気性の向上のために必要です。刈り込みの高さは、株元から5cmくらいにします。
冬前
冬に入る前に、地際で切り戻し剪定をします。これは、春に芽がそろってきれいに咲くようにするためです。切り戻した枝は、捨ててしまっても構いません。
夏越しの注意点
クリーピングタイムは、夏の高温多湿に弱いハーブです。特に梅雨時期には、株が蒸れて枯れやすくなります。
夏越しをするためには、以下のような点に注意しましょう。
日陰を確保する
直射日光が当たると、クリーピングタイムは葉焼けや水分不足になります。半日陰の場所に移動したり、日よけネットなどで遮光したりしましょう。
水はけの良い土を使用する
クリーピングタイムは、水はけの悪い土に植えると根腐れの原因になります。ハーブ用の培養土や赤玉土などを使って、水はけを改善しましょう。
こまめな水やりを心掛ける
クリーピングタイムは乾燥にも弱いので、土が乾いたらたっぷりと水やりをしましょう。
ただし、水やりのしすぎは避けましょう。土の表面が乾いてから2~3日置いてから与えるくらいが適切です。
過剰な湿度を避ける
クリーピングタイムは、湿気がこもるとカビや病気にかかりやすくなります。風通しの良い場所に置いたり、株元の枯れ葉や雑草を取り除いたりしましょう。
また、刈り込みをして株をすっきりさせることも有効です。
耐寒性と冬越しの方法
クリーピングタイムは、寒さには強いほうのハーブです。
関東以南の地域では、特に防寒対策は必要ないので、暖かい地方の寒さなら、地上部が枯れても根は生きていて春になるとまた芽を出します。
しかし、降雪する地域や霜が降りる地域では、地上部が凍ってしまう可能性があります。寒い地方では、霜や寒風対策として、軒下や室内など風を防げる場所に置くほうがよいでしょう。
また、冬の間は水やりは控えめにしましょう。土が乾いたら少量だけ与えるくらいで十分です。水やりが多すぎると根腐れの原因になります。
クリーピングタイムの増やし方
クリーピングタイムは、種まき以外にも株分けや挿し木で増やすことができます。
ここでは、株分けや挿し木で増やす方法と適した時期についてお伝えします。
株分けで増やす方法と時期
クリーピングタイムの株分け適期は4月~5月か9月~10月です。
株分けは以下のような手順で行います。
- 株分けしたいクリーピングタイムを土から掘り起こす
- 根っこについた土を軽く払う
- 株を2~3個に分ける
- 根が絡まっている場合は、ナイフやハサミで切り離す
- 分けた株を別の場所に植え付ける
- 植え付け後にたっぷりと水やりをする
- 根付くまでは毎日水やりを続ける。
以上が、クリーピングタイムの株分けの方法と時期です。
挿し木で増やす方法と時期
クリーピングタイムの挿し木の適期は5月頃か9月頃です。
挿し木は以下のような手順で行います。
- 茎を10cmほどに切り、下部の葉を取り除く
- 水に1~2時間浸して水揚げする
- 水や土に挿す
- 水やりは土が乾いたらたっぷりと与える
- 発根するまで明るい日陰で管理する
以上が、クリーピングタイムの挿し木の方法と時期です。
収穫時期と方法
クリーピングタイムの収穫方法は以下のとおりです。
- 必要な分だけ、茎ごと切り取る
- 切り取った茎を水洗いして水気を切る
収穫はたったこれだけの手順でOKです。使うときは、葉を茎からはずして使います。(使わない分は、乾燥させて保存すると良いです)
クリーピングタイムの育て方に関するQ&A
ここでは、クリーピングタイムの育て方に関するQ&A(質問&回答)を紹介します。
- 種はホームセンターで買える?
- 増えない理由には何がある?
- 枯れたらどうなる?どうすれば良い?
- クリーピングタイムは常緑ですか?
上記の問いについて詳しく回答していますので、参考にしてみてくださいね。
種はホームセンターで買える?
クリーピングタイムの種は、ホームセンターの園芸コーナーで販売されていることがあります。
しかし、店舗によっては取り扱っていない場合もあるので、事前に確認することをおすすめします。
もしもホームセンターで見つからなかった場合は、ネット通販で購入することもできます。ネット通販では、様々な品種や価格の種が販売されています。
ただし、ネット通販の場合は、発送や配達に時間がかかることや、種の品質や発芽率が保証されないことがあるので注意が必要です。
増えない理由には何がある?
クリーピングタイムが増えない場合は、以下のような理由が考えられます。
- 土が水はけの悪い粘土質で、根腐れを起こしている。
- 日当たりが悪く、茎が立ち上がってしまっている。
- 肥料が多すぎるか、逆に不足している。
- 鉢植えの場合、根が鉢いっぱいになって栄養が行き渡らない。
- 病気や害虫によって成長が阻害されている。
これまでお伝えしたきた育て方と相違がないか改めて確認してみると、クリーピングタイムが増えない理由が判明する可能性は高いです。
枯れたらどうなる?どうすれば良い?
クリーピングタイムが枯れたら茶色くなりカサカサしてきます。
ただ、根元から新しい芽が出てきている場合は枯れた部分を切り取って、株分けするなどして再生を試みると良いでしょう。
冬の間などは一見すると枯れているように感じるような状態になっていますが、根は生きていて暖かくなると新しい葉が出てくるので、冬の寒さで刈れているように見える場合は暖かくなるのを待つだけで問題ありません。
クリーピングタイムは常緑ですか?
クリーピングタイムは常緑のハーブです。
ただし、降雪する地域では地上部が枯れる可能性があります。その場合は、春になって新たな芽を出るまでは茶色く枯れたような色をしていますが、春の訪れとともにまた緑の状態を保つことができるでしょう。
まとめ:クリーピングタイムの育て方と増やし方のポイント
クリーピングタイムの育て方について、増やし方や冬越し・種まきの方法をご紹介しました。
日当たりと風通しの良い場所で、水はけのよい土に植えると元気に育ちます。刈り込みや水やりも適度に行うことで、茎や葉の密集を防ぎ、株の強化と通気性の向上にもつながります。
夏の高温多湿や冬の寒さに弱いので、日陰や保温を工夫してあげることも大切です。生育旺盛で増やしやすいハーブなので、株分けや挿し木、種まきなどで増やすことができます。
クリーピングタイムは、花言葉が「勇気」と「活動力」であるように、元気に花を咲かせてくれるハーブです。この記事の内容を参考にして、ぜひ挑戦してみてくださいね。