近年、おしゃれなインテリアグリーンとして人気を集めているユーカリですが、「青酸配糖体」と呼ばれる毒性物質が含まれています。
人間やペットが誤って摂取すると、下痢や嘔吐、呼吸困難などの症状を引き起こし、場合によっては死に至るケースも報告されています。
本記事では、ユーカリの毒性について、
- ユーカリのどの部分に毒があるのか?
- 人間や犬猫にどのような影響を与えるのか?
- 安全な使い方と注意点
上記の点についてお伝えしています。大切な家族を守るために、ぜひ最後までお読みください。
コアラの大好物!ユーカリとはどんなハーブなのか?
ユーカリには様々な種類があり、薬用やアロマ、観賞用など、幅広く利用されています。
毒性成分が含まれているため、誤って摂取すると嘔吐や下痢を引き起こす場合があります。しかし、正しい使い方をすれば、様々な効能を楽しむことができます。
ユーカリのハーブとしての効能は次の通りです。
- 抗菌・消臭作用
- 風邪予防
- 花粉症の症状を緩和
- 虫よけ効果
ユーカリは毒性成分を含んでいるため、使用の際は注意が必要ですが、正しい使い方をすれば様々な効能を楽しむことができます。ユーカリの毒性と効能を理解した上で、安全に活用しましょう。
ユーカリの毒性とその影響
ユーカリには毒性が含まれていて、人間に対しても影響を及ぼす可能性があります。
ここでは、ユーカリに含まれる毒性成分と、人間やペットに与える影響についてお伝えしていきます。
含まれる毒性成分
ユーカリには、害虫や動物から身を守るため毒性成分が含まれています。
シネオール、フェノール、タンニン、青酸配糖体などが毒性成分ですが、シネオール、フェノール、タンニンに関しては過剰摂取しない限りではデトックスにも用いられることもあり、それほど有害ではない成分です。
ただ、青酸配糖体は体内で分解されることで有毒物質である青酸を生じさせるため注意が必要です。
大量に摂取しない限り命にかかわるほどの強い毒ではないとされてはいますが、小さなお子さんが誤って口にしないよう注意が必要です。また、ペットにとっても有毒であり、特に犬や猫は症状が出やすいため要注意です。
人間やペットなどへの影響については次の項でお伝えしていきます。
人間に与える影響
ユーカリの葉に含まれる青酸配糖体という成分には毒性があり、誤ってユーカリの葉を摂取した場合、吐き気、頭痛、下痢、嘔吐などの症状が現れることがあります。
喘息がある人は、ユーカリの葉を摂取することで喘息が悪化する可能性があります。
ただし、大量に摂取しない限り致死量には至りません。症状が軽い場合は、自宅で様子をみても良いでしょう。
しかし、症状がひどい場合や、誤って大量に摂取してしまった場合は、すぐに医師の診察を受ける必要があります。
コアラはなぜ毒のあるユーカリを食べるのか
コアラが毒性を持つユーカリを好んで食べる理由は、その独特な生態系と進化の結果です。
ユーカリに含まれる毒素は人間や他の動物にとって有害ですが、コアラはユーカリの毒を分解する酵素を持っています。この酵素は肝臓で作られており、ユーカリの葉に含まれる毒性成分を無毒化します。
また、コアラは長い盲腸を持っています。盲腸は消化管の一部であり、食物を分解する役割を果たします。
コアラの盲腸は非常に長く、ユーカリの葉をゆっくりと消化することで、毒性成分を分解する時間を確保しています。
食物選択の面では、ユーカリの葉は水分も豊富で、乾燥した環境でも生き延びるための重要な水源となっています。さらに、ユーカリ林はコアラにとって安全な避難所を提供し、天敵から身を守る場所となっているのです。
このように、コアラは生存戦略としてユーカリを食べることを選択し、独自の生態系の中で繁栄しています。
なお、コアラが食べるユーカリの種類は限られており、毒性が低い種類を選んで食べていると言われています。
犬や猫に与える影響
ユーカリの毒性は人間に比べて犬や猫にとってはより強く、重篤な症状が現れる可能性があるので注意が必要です。
そのため、犬や猫などのペットがユーカリを誤って摂取した場合は、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。
コアラはユーカリでラリってるという説は誤り
毒性のあるユーカリの葉を呑気に食べているコアラを見て「ユーカリでラリってる」のではと感じる人もいるようですが、実際はユーカリでラリってるわけではありません。
ユーカリの葉には確かに毒性が含まれていますが、コアラはそれを消化することができる特殊な体質を持っています。コアラは大量の微生物と腸内細菌を保有しており、肝臓の解毒酵素も強力なため、ユーカリの毒素を無害化できるのです。
ただ、その毒性を分解するためにたくさんのエネルギーが必要となるため、余分なエネルギーを使わないためにも1日あたり18~20時間寝る生活を送っています。
ユーカリの毒性と効能を知ろう
ユーカリの葉は古くから様々な用途で用いられてきました。抗菌作用、消臭作用、虫よけ効果など、さまざまな効能をもつ一方で、毒性も含まれているため、使い方には注意が必要です。
ここではユーカリの葉の主な用途として次の4つについてお伝えします。
- 抗菌・消臭作用
- 風邪予防
- 花粉症の症状緩和
- 虫除け効果
ユーカリは、使い方を誤ると健康に悪影響を及ぼす可能性があります。その毒性と効能を正しく理解することで、安全に活用しましょう。
抗菌・消臭作用がある
ユーカリの葉の毒性成分は、主に「テルペン類」と「シネオール」です。
テルペン類は、揮発性が高く、強い抗菌・消臭効果を持つ物質ですが、同時に刺激性も強く、大量に摂取すると嘔吐や下痢などの症状を引き起こす可能性があります。
シネオールは、ユーカリの特有の香りの成分ですが、こちらも大量に摂取しないようにしましょう。
風邪予防に効果的
ユーカリの葉の毒性成分の一つであるシネオールという成分は、殺菌作用や抗ウイルス作用があるため風邪予防に効果が期待できます。
花粉症の症状を緩和する
ユーカリの葉に含まれるシネオールには、気道の炎症を抑える作用があるため、鼻水やくしゃみなどの花粉症の症状を軽減するのに役立つと考えられています。
ユーカリの花粉症に対する効果については、まだ十分な研究結果はありませんが、一部の研究では、ユーカリの精油を吸入することで花粉症の症状が改善したという報告もあります。
虫よけ効果もある
ユーカリの葉には、天然の防虫剤として働く成分が含まれています。特にシトロネラールやリモネンなどのテルペン系化合物は、蚊やハエ、ダニなどの虫を寄せ付けない効果があるとされています。
ユーカリの虫よけ効果は、以下のような方法で利用することができます。
ユーカリオイルの塗布 | ユーカリオイルを希釈して肌に塗布することで、虫よけ効果を得ることができます。ただし、皮膚への刺激が強いため、敏感肌の方はパッチテストを行ってから使用するようにしましょう。 |
ユーカリの葉の燻蒸 | ユーカリの葉を乾燥させて燃やすことで、煙が発生します。この煙には虫よけ効果があり、キャンプや庭先などで虫よけとして使用することができます。 |
ユーカリの葉のポプリ | ユーカリの葉を乾燥させてポプリにすることで、虫よけ効果と芳香効果を得ることができます。クローゼットや寝室などに置くと、防虫効果が期待できます。 |
ただし、ユーカリの葉の虫よけ効果は、市販の防虫剤ほど強力ではないことに注意が必要です。また、長期の使用によって皮膚に刺激を与える可能性がありますので、使用量には注意しましょう。
ユーカリを安全に利用する方法
ユーカリは、ハーブティー、芳香剤、抗菌剤、精油やアロマオイルなど、さまざまな用途で利用されています。しかし、ユーカリには毒性成分が含まれているため、安全に利用するための注意点があります。
ハーブティーとして飲む場合、葉の量に注意する必要があります。また、芳香剤や抗菌剤として利用する場合は、換気を十分に行うことが大切です。
精油やアロマオイルを使用する場合は、濃度に注意し、専門家の指導のもとで使用するようにしましょう。
それぞれの方法で安全に利用する方法について、次に詳しくお伝えしていきます。
ハーブティーとして飲む方法
ユーカリの葉には毒性があるため、ハーブティーとして飲む場合は、必ず市販の安全なものを購入し、用法・用量を守って摂取することが重要です。
抗菌・消臭作用や風邪予防に効果があるとされています。また、花粉症の症状を緩和したり、虫よけ効果も期待できます。
ユーカリの葉のハーブティーの作り方の手順は以下のとおりです。
- 乾燥ユーカリの葉を小さじ1杯程度準備する
- カップに熱湯を注ぎ、そこに乾燥ユーカリの葉を入れる
- 5〜10分ほど蒸らす
- 茶こしなどで茶葉を濾す
- お好みで蜂蜜やレモンを加えて飲む
ユーカリの葉のハーブティーは、1日1〜2杯ほどを目安に飲むようにしましょう。
芳香剤や抗菌剤として利用する方法
ユーカリの葉には、ユーカリプトールやシネオールなどのテルペン類と呼ばれる芳香成分が含まれています。これらの成分は、抗菌・抗ウイルス効果や消臭効果を持つことで知られており、古くから芳香剤や抗菌剤として利用されてきました。
しかし、ユーカリの葉は毒性成分も含有しているため、誤って摂取すると吐き気や頭痛、喘息の悪化などの症状が現れる場合があります。特に、子どもやペットは少量でも中毒を起こす可能性があるため注意が必要です。
そこで、安全にユーカリを利用するための方法をご紹介します。
芳香剤 | 乾燥させた葉をキャンドルやアロマポットに入れて使用しましょう。また、ユーカリの葉を煮出して作ったユーカリウォーターをスプレーボトルに入れて、部屋の消臭剤として使うこともできます。 |
抗菌剤 | 乾燥させた葉を粉末状にし、石鹸や洗剤に混ぜて使うことができます。また、ユーカリの葉を煮出して作ったユーカリウォーターを、掃除の際に水拭きとして使うこともできます。 |
ユーカリは、正しく使用すれば私たちの生活に役立つハーブです。しかし、毒性成分も含まれていることを忘れないようにし、安全に利用しましょう。
精油やアロマオイルとして使用する方法
ユーカリは、その特有の香りと抗菌・消臭作用から、精油やアロマオイルとして広く利用されています。主な使い方は以下のとおりです。
芳香浴 | ユーカリの精油を数滴、ディフューザーやアロマポットに入れて香りを楽しみましょう。 |
ルームスプレー | 水とユーカリの精油を混ぜて、ルームスプレーとして使用すれば、消臭効果が期待できます。 |
入浴 | 浴槽にユーカリの精油を数滴加えて、リラックス効果のある入浴剤として使用できます。 |
<注意点>
- 原液を直接肌につけない: 皮膚刺激が強いため、原液を直接肌につけると炎症を起こす可能性があります。
- 飲み込まない: 誤って飲み込むと中毒症状を起こす恐れがあります。
- 妊娠中や授乳中の方は使用を避ける: 妊娠中や授乳中の女性には刺激が強いため、使用を避けたほうが良いでしょう。
- 子供やペットには注意する: 手の届かない場所に保管し、誤飲を防ぎましょう。
安全に使用するためには、用法用量を守り、体調や体質に合わせて使用することが大切です。
主なユーカリの木の種類や品種
マルバユーカリ、レモンユーカリ、コマルバユーカリなど、さまざまな種類のユーカリが存在します。それぞれのユーカリは、異なる特徴を持ち、用途も多岐にわたります。
ユーカリ・ポポラス(マルバユーカリ)
ユーカリ・ポポラスは、別名マルバユーカリと呼ばれる、オーストラリア原産のユーカリの一種です。
高さは30メートルにもなる高木で、葉は丸みを帯びた楕円形で、鮮やかな緑色をしています。乾燥に強く、成長が早いことから、広く栽培されています。
ユーカリ・ポポラスは、芳香性の高い精油を多く含み、アロマテラピーや薬用として利用されます。精油には、抗菌作用、消臭作用、鎮静作用などがあり、風邪やインフルエンザの予防、虫よけ、リラックス効果など、さまざまな効果が期待されています。
しかし、ユーカリ・ポポラスの葉には、ユーカリポポラス油、シネオール、テルピネオールなどの毒性成分が含まれています。誤って摂取すると、吐き気、頭痛、めまいなどの症状が現れることがあります。特に、子供やペットには注意が必要です。
ユーカリ・シトリオドラ(レモンユーカリ)
ユーカリ・シトリオドラ、別名レモンユーカリは、オーストラリア東海岸原産の常緑高木です。葉に爽やかなレモンの香りがすることから、この名が付けられました。
レモンユーカリは、他のユーカリの種類に比べてシトリネラルの含有量が高く、虫よけ効果や抗菌作用などが期待されています。そのため、芳香剤や殺虫剤、化粧品などの成分として使用されることが多くあります。
また、レモンユーカリは精油を抽出することもでき、アロマテラピーやリラックス効果を目的として利用されることもあります。
ただし、レモンユーカリにも毒性成分が含まれているため、大量に摂取するのは危険です。特に、子供やペットには注意が必要です。
ユーカリ・グニー(コマルバユーカリ)
オーストラリアでは最も広く分布しているユーカリの仲間で、乾燥に強く、熱帯から温帯の地域で生育しています。葉は厚みがあり、楕円形をしています。花は白色で、夏から秋にかけて咲きます。
ユーカリ・グニーは、様々な用途で使用されています。葉は薬用に使用され、気管支炎や喘息の治療に効果があるとされています。また、木材は建材や家具の材料として使用されます。
ユーカリ・グニーは、他のユーカリの仲間と同様に、毒性成分であるテルペン類を含んでいます。テルペン類は、人間や動物にとって有害な物質です。テルペン類を大量に摂取すると、吐き気、嘔吐、下痢などの症状を引き起こすことがあります。また、喘息などの呼吸器疾患を悪化させる恐れもあります。
しかし、ユーカリ・グニーは他のユーカリの仲間よりもテルペン類の含有量が少なく、毒性は比較的低いとされています。そのため、適切に使用すれば、安全に利用することができます。
ユーカリ・ラディアータ
高さは40メートルに達し、まっすぐな幹と幅広い葉が特徴です。木材として利用されることが多く、パルプ材や製紙用材として広く栽培されています。
ユーカリ・ラディアータは、成長が早く、適応性が高いため、世界各地で植林されています。オーストラリア、南アフリカ、南アメリカ、ヨーロッパなど、さまざまな地域で栽培されています。
この種は、ユーカリ油の生産にも利用されています。ユーカリ油は、抗菌作用や消臭作用など、さまざまな用途で使用されています。
ただし、ユーカリ・ラディアータの葉には毒性成分が含まれているため、誤って摂取すると健康被害を引き起こす可能性があります。特に、子供やペットは注意が必要です。
ユーカリ・グロブルス
ユーカリ・グロブルスは、主に薬用や芳香剤として利用されています。しかし、この植物にはシネオールという毒性成分が含まれており、摂取すると人体に様々な影響を及ぼす可能性があります。
ユーカリ・グロブルスの葉を誤って摂取した場合、吐き気、頭痛、喘息の悪化などの症状が現れることがあります。大量に摂取すると、致死量には至らないものの、重篤な症状を引き起こす可能性があります。
ユーカリの毒性に関するQ&A
ここでは、ユーカリの毒性に関するQ&A(質問&回答)を紹介します。
- ユーカリの毒性はドライフラワーにも含まれている?
- ユーカリの葉を触っても大丈夫?
- ユーカリの毒の致死量は?
- ユーカリに青酸カリが含まれているのは本当?
- コアラはユーカリの毒性で気絶してるって本当?
- コアラはユーカリが好きじゃないって本当?
上記の問いについて詳しく回答していますので、参考にしてみてくださいね。
ユーカリの毒性はドライフラワーにも含まれている?
ユーカリのドライフラワーにも微量ながらシネオールが残存していることがありますが、その量は生葉に比べて大幅に少なく、通常の使用方法では人体に害を及ぼすことはほとんどありません。
ドライフラワーを大量に粉砕して吸入したり、口に入れたりすることは避けるべきですが、通常であればそれほど心配する必要はありません。
ユーカリの葉を触っても大丈夫?
ユーカリの葉を大量に摂取すると体に悪影響を及ぼす可能性がありますが、葉に触れる分には問題ないため、ガーデニングや装飾用として楽しむことができます。
ただし、ユーカリオイルは肌に直接塗布する際には注意が必要で、稀に皮膚に刺激を与えることがあるため、使用前にパッチテストを行うことをお勧めします。
ユーカリの毒の致死量は?
ユーカリに含まれるシネオールという成分の人間にとっての致死量は、体重1キログラムあたりに約2.0グラムとされています。
しかし、ユーカリの葉を直接食べることは少なく、通常はユーカリオイルとして利用されるため摂取による中毒事例は稀です。
ユーカリに青酸カリが含まれているのは本当?
ユーカリに青酸カリが含まれるという話は誤りです。
ユーカリには体内で分解されることで青酸を生じさせる青酸配糖体が含まれることから、それを青酸カリと混同されたのが誤解を招いているの可能性があります。
コアラはユーカリの毒性で気絶してるって本当?
コアラがユーカリの毒性で気絶するという話は誤解です。
ユーカリに含まれる成分は人間にとっては有害なことがありますが、コアラはこれを無害化する特殊な肝臓を持っています。彼らが昼間ほとんど寝ているのは、ユーカリの葉が栄養価が低いことや毒性を無毒化するためにエネルギーを節約するためと言われています。
コアラはユーカリが好きじゃないって本当?
コアラがユーカリを好むのは、単に食べ物として利用できるからではなく、その生態系で生き延びるために必要な適応の結果なのです。
興味深いことに、ユーカリは種類によって毒性の強さが異なり、コアラは自分にとって安全なユーカリを選んで食べる能力も持っています。
ユーカリとコアラの関係は単純な好みというより、生存戦略の一環として確立されていると言えるでしょう。
まとめ:ユーカリの毒性や影響と安全な使い方
ユーカリは、適切に使用すれば心身をリラックスさせる効果などいくつものメリットを得られる植物ですが、毒性物質が含まれていることを常に念頭に置き、安全な取り扱い方を心がけることが重要です。
少量であれば重大な影響を及ぼす可能性は高くありませんが、子どもやペットなどが誤って口に入れてしまった場合は、医療機関へ受診するようにしてください。
なお、ユーカリの育て方についてはこちらのページで詳しくお伝えしているので参考にしてみてくださいね。