チャイブ(和名:エゾネギ、セイヨウアサツキ、フランスではシブレットと呼ばれる)はユリ科ネギ属の多年草で、葉と花と球根が食用になる植物です。
自宅で簡単に栽培できて栄養素も豊富で、冷凍保存もできるので日々の食事やお弁当のおかずなどに活用したいという方もきっと多いと思います。
チャイブは様々な料理に使うことができますが、美味しく食べるには気を付けておきたいポイントがいくつかあります。
この記事では、チャイブを美味しく食べるのに知っておきたいコツのほか、ポテトサラダや葉・花・球根を使った人気レシピをご紹介します。
キッチンのお供として日々の食卓にチャイブを活用する際の参考にしてみてくださいね。
チャイブの葉の食べ方と人気料理のレシピ
チャイブの葉はネギに似た風味と香りがしますが、ネギを生で食べた時のような辛さもなく繊細でマイルドな味わいです。
食べ方としては、薬味や香味野菜としてそばつゆや納豆に入れたり、卵やジャガイモ料理などのトッピングに用いられるほか、スープやサラダとして用いられることが多いです。
そのほか、バターやクリームチーズに混ぜると風味が増すと言われています。
チャイブの葉を美味しく食べるポイントとしては、
- 料理の仕上げの段階で加える(加熱すると風味が落ちるため)
- 収穫は花がつぼみのうちに行う
この2点が挙げられますが、つぼみのうちに収穫するのは花を咲かせた後は葉が堅くなってしまうからです。早めに収穫して、柔らかい食感を楽しみましょう。
それでは次に、チャイブを使った料理でランキング上位にある人気レシピをいくつかご紹介します。
コリアンダーと白身の魚入りサラダ
用意する材料と具体的な作り方をまとめました。
材料(4人分)
- 白身魚(鯛など) 200g
- いんげん 12本
- カリフラワー 1口大×5個
- フェンネル 5cm×5本
- チャイブ 6本
- ポテトチップ カップ1杯
作り方
- いんげんとカリフラワーを食べやすい大きさに切って茹でる
- チャイブをみじん切りにする
- ポテトチップを大まかに砕く
- ボウルの中に白身魚と1~3を入れて混ぜ合わせる
- お皿に4を盛り付けて、フェンネルを飾り付ける
- 食べる直前まで冷蔵庫で冷やす
ローズマリー味のローストビーフサラダ
用意する材料と具体的な作り方をまとめました。
材料(2人分)
- ローストビーフ 250g
- タイム 2枝
- にんじん 半分
- ローズマリー 4枝
- ブロッコリー 3本
- コリアンダー 5枝
- サラダ菜 6枚
- チャイブ 15本
作り方
- ニンジンとブロッコリーを茹でる
- オリーブオイルを熱したフライパンにローズマリー1枝を入れて香りを出す
- タイムを1枝入れて香りを出す
- ローストビーフを入れて香りづけをしながら焼く
- お皿にサラダ菜を敷く
- 食材を盛り付ける
楽天レシピでもチャイブを使ったレシピは紹介されているので参考にしてみてくださいね。
チャイブの葉はスープやサラダに使いやすい
チャイブの葉は薬味や香味野菜として広く使われますが、スープやサラダとして使いやすいので初心者には特におすすめの食べ方です。
スープやサラダに刻んだチャイブを散らすだけで、風味と彩りが格段にアップします。
チャイブを用いたスープの中でも人気が高いのはポテトスープで、じゃがいもと玉ねぎを炒めて水とコンソメを加えて煮た後にミキサーでなめらかにして牛乳と塩、コショウで味を調えます。
器に盛った後、チャイブの葉を散らします。
チャイブは香りが強いので、初めのうちは少量から試してみることをおすすめします。
花の食べ方と人気料理のレシピ
チャイブの花は白や紫、ピンクなどの色があり見た目も美しく、どの色の花でも食用やビネガーの色や味付けの材料として使われます。
花はばらしてサラダなどに用いられますが、特にフランス料理で利用されることが多いです。
主なチャイブの花の活用方法や人気料理のレシピをいくつかご紹介します。
①チャイブビネガー
チャイブの花を瓶に入れて酢(ビネガー)を注ぎ冷暗所で2週間ほど置いて完成です。色鮮やかなビネガーはサラダやマリネに使えます。
②チャイブの花のサラダ
チャイブの花を水で洗って水気を切り、レタスやトマトなどお好みの野菜と一緒に盛り付けます。ドレッシングはオリーブオイル、酢、塩、コショウ、マスタードなどを合わせたものがマッチします。
③チャイブの花のディップ
チャイブの花と葉を細かく刻みクリームチーズと混ぜて塩、コショウで味を調えます。カリッと焼いたフランスパンやクラッカーにつけて食べるとよく合います。
チャイブの花は葉と同様に香りが強いので少量で十分なので、最初のうちは少しずつ加えるようにしてみてくださいね。
球根の食べ方と人気料理のレシピ
チャイブの球根は酢漬けにしてらっきょうのように食べたり、刻んでスープや炒め物に加えたりすると美味しいです。
チャイブの花が咲く前に収穫した球根を塩水に3時間程度さらした後に水切りをし、予め作っておいたピクルスのタレに球根を漬けます。
半年間ほど冷蔵庫で寝かせておけば完成です。
そのまま食べても美味しいですが、カレーに添えたりスープやチャーハンに入れても美味しく食べられます。
■ピクルスのタレの作り方
下記の材料を混ぜ合わせてタレを作ります。
- 酢 1と1/2カップ
- オリゴ糖 大さじ1杯
- ローリエ 1枚
- 陳皮 少々
- サフラン 5本
大量消費するのに適した使い方
チャイブは株が増えるのが早く大きく育つので、たくさん育ったチャイブを大量消費したいという方も多いでしょう。
アメリカなどの欧米のスーパーマーケットでは束になったチャイブの葉が売られていることが多いですが、こんな時も大量消費の方法が気になりますね。
チャイブはたくさんの栄養素が含まれていますし、体を温める働きもあるので風邪や冷え性対策としても積極的に摂りたいハーブなので、大量消費したい場合は以下の使い方を参考にしてみてくださいね。
【チャイブを大量消費する例】
①サラダやスープ、パスタなどに散らす
味のアクセントとなるだけでなく、チャイブの色鮮やかな緑色によって料理の見た目も華やかにしてくれるので、夏は特に重宝します。
②チーズやバター、マヨネーズなどと混ぜてチャイブクリームを作る
チャイブクリームはパンやクラッカーに塗ったり、肉や魚のソースとして使いやすいです。
③チャイブを卵と一緒に焼いてオムレツやスクランブルエッグにする
チャイブは卵料理と相性が良く、香りと風味をプラスしてくれます。
含まれる栄養素
チャイブには以下のような栄養素が含まれています。(各栄養素の主な働きについても記載しておきます)
栄養素の働きについて詳しく知りたい方はこちらが参考になります。
【チャイブに含まれる栄養素】
- ビタミンA:目や皮膚の粘膜を保護して細菌から身体をまもり、皮膚の健康を保つ働き
- ビタミンB1・B2・B6:糖質の代謝を助けエネルギーをつくり出す
- ビタミンB3(ナイアシン):糖質、脂質、たんぱく質から、細胞でエネルギーを産生する際に働く酵素を補助する
- ビタミンC:活性酸素の発生や酸化力を抑え、動脈硬化、皮膚や血管の老化を防ぎ、免疫力を高める
- ビタミンE:抗酸化作用があり、細胞の老化を防ぐほか、動脈硬化、皮膚や血管の流れを良くし、免疫力を高める
- ビタミンK:血液を凝固させたり、骨の形成に必要な栄養素
- 葉酸:貧血を予防し、細胞の生まれ変わりや、新しい赤血球をつくり出すために欠かせないビタミン
- カルシウム:骨や歯を構成するのに必要なミネラル
- マグネシウム:エネルギー代謝や血圧調整に必要なミネラル
- ナイアシン:皮ふや粘膜の健康維持をサポートしたり、脳神経を正常に働かせるのに必要
- アリシン:新陳代謝を活性化するほか、抗菌・抗酸化作用もある
- カリウム:体内の水分バランスを調整し、余分な塩分を排出する
- 鉄分:全身の細胞や組織に酸素を運ぶ働き
- リン:骨や歯を構成するのに必要なミネラル
上記の栄養素を摂取する際に注意すべき点として、アリシンはチャイブを切ったりして細胞を破壊するとチャイブ内で作り出される栄養ですが、水溶性なので水洗いすると流出してしまう点が挙げられます。
アリシンは特別な栄養であるイオウ化合物の一種で、強烈な匂いを放つ性質を持っており疲労回復に優れたビタミンB1の吸収を手助けして、滋養強壮効果が期待できます。(ニンニクや玉ねぎにも含まれている成分です)
アリシンについてはこちらのページの情報がわかりやすいです。
チャイブとネギの味の違いについて
チャイブはネギと同じネギ属の植物なので、ネギ属が持つ硫化アリルの成分の香りによって独特の風味と香りがあり、味はよく似ています。
ただ、ネギとは茎の太さや香気成分が異なるので、チャイブの方がクセがなく繊細な味わいになります。
サラダなど生で使う場合は違いを感じにくいですが、加熱するとチャイブの香りは飛んでしまうため、加熱した料理ではチャイブとネギの味に違いが出てきます。
チャイブが万能ハーブと呼ばれる理由
チャイブが万能ハーブと呼ばれる理由として、サラダやスープ、卵料理など和風・洋風問わず色々な料理に合うため用途に困らず、さらには様々な栄養素が豊富に含まれている点が挙げられます。
また、家庭菜園でも簡単に育てられるため、手軽に新鮮なチャイブを手に入れることも可能です。
葉だけでなく、花も球根も食べられるチャイブは、ヨーロッパでは古くから料理に使われてきており、まさに万能ハーブと呼ぶにふさわしい植物と言えるでしょう。
チャイブの料理や食べ方に関するQ&A
ここでは、チャイブの料理屋食べ方に関するQ&A(質問&回答)を紹介します。
- チャイブとネギは互いに代用できる?
- ロックチャイブ、レッドチャイブも食べられる?
- チャイブは自宅で栽培できる?
上記の問いについて詳しく回答していますので、参考にしてみてくださいね。
チャイブとネギは互いに代用できる?
チャイブとネギは同じユリ科ネギ属の植物であるためよく似ていますが、全ての料理で代用可能とは言えません。
チャイブはネギと違って加熱することによって香りが飛んでしまうことから、炒め物や煮物のネギをチャイブで代用することは難しいです。
一方で、生のまま野菜サラダやスープ、卵料理などに加えるような料理であれば、チャイブがネギの代用をすることは可能です。
その際には、チャイブはネギよりも水分が多いので水分量には注意しておいた方が良いでしょう。
ロックチャイブ、レッドチャイブも食べられる?
チャイブにはいくつかの種類があり、ロックチャイブとレッドチャイブもその1つで、いずれも食べられます。
ロックチャイブは種皮が残ったままの葉が特徴でニンニクのような味がして、レッドチャイブは紫色の花が美しい種類で葉も花も食べられます。
どちらも基本的な使い方としては、薬味や風味付けにしたり野菜サラダやスープなどに加えるのが一般的です。
自宅で栽培できる?
チャイブはハーブの中でも育てやすい部類に入ります。
チャイブは鉢植えでも栽培できるので、ベランダや窓辺などでも楽しめます。自宅で栽培することで、新鮮な葉や花を収穫して料理に使うことができるのでとても便利です。
チャイブの育て方についてはこちらのページで詳しくご紹介しています。(近日公開予定)
まとめ:チャイブの美味しい食べ方
チャイブはハーブの中でも育てやすく、食べ方も多彩なことから万能ハーブと呼ばれるほど使いやすい植物です。
葉は薬味や風味付けに、花はサラダやビネガーに使えます。球根は漬物や炒め物にするほか、スープやカレーに入れるとコクを出す働きもあります。
また、使い方によってはニンニクやタマネギの代わりにもなりますし、肉料理や魚料理にも合うので、様々な用途で美味しく食べることができます。
育て方も簡単なので、自宅で栽培してチャイブを上手に活用してみてくださいね。