セントジョーンズワートの花言葉は「快活」や「幸福」とされるほど爽やかな花を咲かせるので、自宅で育ててみたいという方はきっと多いでしょう。
育て方は難しいことはなく初心者でも育てることは可能ですが、水はけの悪い土壌や湿気の多い環境には弱いので注意が必要です。
この記事では、土づくりや栽培に適した環境づくりなどセントジョーンズワートの育て方のほか、挿し木・株分けでの増やし方などを詳しくお伝えしています。
セントジョーンズワートを自宅で育ててみたいという方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
セントジョーンズワートとは
セントジョーンズワート(ST. JOHN’S WORT 学名:HypHypericum perforatu)は、ヨーロッパやアジアの温帯地域に自生する多年草で「太陽の花」とも呼ばれる明るい黄色の花を咲かせるハーブです。
多年生のハーブで、伝統的に精神的な健康をサポートするために使用されてきました。
高さは30〜100 cmに達し、細長い葉と黄色い星形の花が特徴でハイペリシン(hypericin)やヒペリフォリン(hyperforin)などの有効成分を含みます。
栽培に適した環境づくり
セントジョーンズワートを育てるには、以下のような環境が適しています。
- 日当たりの良い場所
- 風通しの良い場所
- 霜が降りない場所
これらの条件を整えることで、セントジョーンズワートを育てることができます。なお、セントジョーンズワートは寒さにも強く、耐寒性は-15℃程度まであるとされていますが、寒冷地で育てる場合は冬期間は室内へ移動させる方が望ましいです。
そのほか、セントジョーンズワートのコンパニオンプランツである以下のような植物と一緒に育てるのも、最適な環境づくりに役立ちます。
- キク科の野菜(シュンギク、レタスなど)
- セリ科の野菜(ニンジン、ミツバなど)
- マメ科の野菜(エダマメ、インゲンなど)
- ネギ科の野菜(ニラ、葉ネギなど)
用土づくり
セントジョーンズワートは排水性の良い土壌を好みます。過剰な水分は根腐れを引き起こす可能性があるため、排水性を確保することが重要です。
中性からややアルカリ性(pH 6.0~7.5)の土壌が最適です。それほど肥沃でなくても育ちますが、適度な栄養分を含んだ土壌が望ましいです。
一般的な園芸用土壌をベースにし、排水性を高めるために、全体の用土の20-30%程度を目安に砂やパーライトを混ぜます。
また、適度な栄養分を供給し土壌の構造を改善するために堆肥や腐葉土を適量加えるようにします。
土壌が酸性の場合、石灰を少量加えてpHを調整すると良いです。
水・肥料の与え方
水やりは土が乾いたら行う程度が最適です。過湿になると根腐れの原因になるので注意してください。
特に夏場は、朝晩の涼しいときに水をやると良いです。冬場は、霜が降りる前に水を切るようにします。
肥料は、液体肥料や有機肥料などを春から秋にかけて月に1~2回程度与え、冬場は肥料を与えないようにします。花が咲く前には、リン酸やカリウムなどを多く含む肥料を与えると花付きが良くなります。
種まき時期と方法
セントジョーンズワートの種まきは、春から初夏が最適(発芽適温は15℃~20℃)です。
ふかふかにほぐした土の上に種をまんべんなく撒き、軽く土をかけて水やりをします。
約2週間ほどすると発芽するので、本葉が2~3枚出たら間引きをします。(間引きした苗は、他の場所に移植も可能です)
鉢植えやプランターで育てる方法
セントジョーンズワートは鉢植えやプランターで育てることもできます。
鉢植えやプランターで育てる場合は、以下のような方法を参考にしてください。
- 鉢やプランターは深さが20cm以上、幅が30cm以上のものを選ぶ。
- 苗を植えるときは根を傷めないようにほぐす。
- 他の苗との間隔は20~30cm程度あけて植える。
適した土づくりと水や肥料の与え方は、先述した内容をご参照ください。
収穫方法
セントジョーンズワートは、花や葉を収穫して、ハーブティーやオイルなどに利用することができます。
収穫の手順は次のとおりです。
- 花はしおれるのが早いので開花したらすぐに摘み取る。茎ごと切り取るか、指でつまんで取るようにします。
- 葉は花が咲く前に収穫する。茎の先端から3~4枚を残して切り取ります。
収穫した花や葉は、日陰で風通しの良い場所に広げて乾燥させ、乾燥したら密閉容器に入れて冷暗所に保管します。
なお、セントジョーンズワートのハーブティーやオイルについてはこちらのページで詳しくお伝えしているので、ぜひ参考にしてみてください。
冬越し方法と注意点
セントジョーンズワートは寒さに強い多年草ですが、冬には越冬準備をすることが大切です。
冬越しの方法と注意点は、以下のようになります。
- 越冬前には、枯れた茎や花を切り取っておく。(病気や害虫の予防にもなります)
- 株元から10cm程度の高さに切り戻す。(コンパクトにして寒さに耐えやすくします)
- 霜が降りる地域では、鉢植えやプランターを屋内や温室に移動させ、株元に藁や落ち葉などを敷いて保温する。
- 水やりは土が乾いたら少量だけ行う。(過湿になると根腐れの原因になるので注意してください)
これらの冬越し準備をすれば、問題なく冬を乗り越えてくれます。春になると新しい芽を出して再び成長してくれるでしょう。
増やし方
セントジョーンズワートは、種まき以外にも次の方法で増やすことが可能です。
- 挿し木
- 株分け
それぞれの方法と適した時期について次にご紹介していきます。
挿し木で増やす方法
挿し木は春から夏にかけて行います。
新芽が出た茎の先端から10~15cm程度の長さに切り取り、葉を半分程度落として水に浸けます。約1ヶ月くらいすると根が出てくるので。根が出たら鉢植えや地植えにします。
株分けで増やす方法
株分けは、春から秋にかけて行います。
株が大きくなったら、根ごと掘り上げて分けます。分けた株は、すぐに鉢植えや地植えにします。
上記の方法で挿し木や株分けで増やした後は、これまで記載したとおりの環境で育てると元気に育ってくれます。
セントジョーンズワートの栽培に関するQ&A
セントジョーンズワートの栽培に関するQ&A(質問&回答)を紹介します。
- 花が咲かない理由は何が考えられるか?
- 植え付け時の株間はどれぐらいがよいか?
- セイヨウオトギリソウとの違いは?
- 食べるのに適した料理は?
- ハーブティーとしても使える?
上記の問いについて詳しく回答していますので、参考にしてみてくださいね。
花が咲かない理由は何が考えられるか?
セントジョーンズワートは、聖ヨハネ(John the Baptist)の誕生日とされる6月24日ごろまでに黄色い花を咲かせることからその名が付けられていますが、8月にかけて咲くこともあります。
8月を過ぎても花が咲かない場合は、以下のような理由が考えられます。
- 日当たりが悪い
- 水やりが不適切
- 肥料が不足している
- 病気や害虫に侵されている
日当たりの良い場所で育てるとよく育ちますが、日光が足りていないと花芽がつきにくくなります。
水やりは土が乾いたら行うようにしますが、水やりをしすぎて過湿になると根腐れを起こし花が咲かない原因になります。肥料は、春から秋にかけて液体肥料や有機肥料などを月に1~2回程度与えますが、花が咲く前には、リン酸やカリウムなどを多く含む肥料を与えると花付きが良くなります。
葉や茎に黒い斑点や穴がある場合は、カイガラムシやアブラムシなどの害虫の可能性があるので、殺虫剤や水洗いなどで早めに駆除します。
比較的育てやすい植物なので、これらの理由を解消すれば花を咲かせてくれる可能性がかなり高まります。
植え付け時の株間はどれぐらいがよいか?
セントジョーンズワートは、成長すると高さが50~100cm程度になるので、株間は20~30cm程度のスペースを設けると良いです。
株間が狭すぎると、風通しが悪くなり病気や害虫にかかりやすくなりますし、逆に株間が広すぎると、株が寄り添って支え合えなくなったり花壇の見栄えが悪くなったりします。
セイヨウオトギリソウとの違いは?
セイヨウオトギリソウ(西洋弟切草)とは、セントジョーンズワートの和名で、これらは同じ植物ですが、利用方法に違いがあります。
日本では主に漢方薬として知られており、カンヨウレンギョウという生薬名で呼ばれます。
カンヨウレンギョウは、葉や茎を乾燥させたもので、気分を落ち着かせたり、血行を良くしたりする効果があるとされます。(使用に際しては医師や薬剤師に相談して使用する必要があります)
一方、セントジョーンズワートは、英語圏では一般的なハーブの名前です。
セントジョーンズワートは、花や葉を乾燥させてティーバッグやカプセルなどに加工されたものがうつ病や不安などに効果があるとされるサプリメントとして販売されています。
日本では食品扱いであり薬事法上の規制はありませんが、多くの薬物と相互作用をするので注意が必要です。
上記のとおり、セイヨウオトギリソウとセントジョーンズワートは同じ植物ですが、呼び方だけでなく利用方法に違いがあります。どちらも気分を明るくする効果が期待できますが、副作用や相互作用もあるので注意してください。
食べるのに適した料理は?
セントジョーンズワートは、ハーブティーやオイルなどに利用することが多いですが、食べることもできます。
食べるのに適した料理は、以下のようなものがあります。
- サラダ
- スープ
- パスタ
- リゾット
- ケーキ
ただし、過剰に摂取すると副作用や医薬品の相互作用が起こる可能性があるため、食べるときは摂取量に注意が必要です。また、妊娠中や授乳中の人は食べないでください。
そのため、セントジョーンズワートを食べる前には医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
参考:厚生労働省 eJim「セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)」
まとめ:セントジョーンズワートの栽培・育て方について
セントジョーンズワートの育て方についてご紹介しました。
セントジョーンズワートの栽培はそれほど難しいことはなく、鉢植えやプランターでも気軽に育てられるので、ハーブ栽培の初心者でも安心して育てられます。
土づくりや場所など適した環境を整えて、種まきをするか苗を購入するところから始めてみましょう。
順調に育ったら、挿し木、株分けなどで増やしたり、ハーブティーやオイルづくりに挑戦するのも楽しいですよ。
セントジョーンズワートは比較的寒さに強いですが、寒冷地であれば特に冬越には気を付けて欲しいと思います。