にんにく栽培をしても上手に育てられなかったという経験をしたことがある人は多いでしょう。
にんにくは、正しい育て方をすれば家庭菜園でも比較的簡単に栽培できますが、正しい栽培方法を知らずに失敗して枯らしてしまうケースは少なくありません。
そこでこの記事では、ついやりがちなにんにく栽培の失敗例の紹介と、正しいにんにくの育て方・栽培方法を初心者にもわかりやすく解説します。
自家栽培のにんにくは、市販のものよりも香りが強く栄養価も高いと言われていますので、ご家庭で美味しいにんにくを育てていただけたらと思います。
やりがちな「にんにく栽培の失敗例」5選
ここでは、やりがちな「にんにく栽培の失敗例」として、以下の5つを紹介します。
- 食用のにんにくで栽培する
- 植え付け時期が早過ぎる・遅すぎる
- 植え付けの深さ・角度・間隔などを間違える
- 水やりや肥料やりが不適切
- 収穫時期が不適切
以下に、もう少し詳しく失敗例についてお伝えしていきます。
食用のにんにくで栽培する
にんにくは家庭菜園で育てることができる野菜ですが、食用のにんにくで栽培すると失敗する可能性があります。
理由として次の点が挙げられます。
- その地域での栽培に適した品種ではない場合が多い
- 輸入品が多い
- 保存処理されたものが多い
それぞれの項目について少し補足をしていきます。
1.その地域での栽培に適した品種ではない場合が多い
栽培用のにんにくは、地域や気候に合わせて選ばれた品種で、植え付けや収穫の時期も明確に決まっています。食用のにんにくは、そのような条件に合わない場合が多く、発芽しなかったり、病気にかかったり、小さくて不揃いな球になったりすることがあります。
2.輸入品が多い
食用のにんにくは輸入品が多いです。輸入されたにんにくは、日本の気候においては栽培に適さない場合が多いため、栽培には適しません。
3.保存処理されたものが多い
食用のにんにくは保存処理されたものが多いです。
保存処理されたにんにくは、発芽を防ぐために低温や乾燥にさらされたり、殺菌剤や防カビ剤などの化学物質が使われたりしています。そのため、栽培に適さない場合があります。
食用に購入したにんにくの芽が出てきたから畑に植えて栽培しようとしても、失敗してしまうことが多いのはこうした理由によるものです。必ず種用のにんにくを植えて栽培するようにしましょう。
植え付け時期が早過ぎる・遅すぎる
にんにくの植え付け時期は、9月下旬から10月上旬が適期です。
暑い時期に植え付けると病気になりやすく、遅すぎると寒さで根張りが甘くなり、収穫までに実が太りにくくなります。生育適温が15℃~20℃と低めなので、暑さが残っている場合は少し遅らせるようにしますが、植え付けが遅れすぎると春先に生育期間が不足して球が肥大しないことがあるので注意が必要です。
また、植え付け時期が早過ぎると、土の中の気温が高くなりすぎてにんにくが蒸れてしまい腐ってしまう危険性もあります。反対に植え付け時期が遅すぎると、寒くなると生長が止まってしまい、球が小さくなってしまう可能性があります。
にんにくの植え付け時期の誤りによる失敗例は多いので、気温を確認しながら植え付け時期を検討してみてくださいね。
植え付けの深さ・角度・間隔などを間違える
植え付けの深さや角度や間隔などを間違えると、発芽しなかったり、球が小さくなったり、病気になりやすかったりします。
にんにくを植え付ける際は、丸い部分を下に向けて植えます。これにより、新しい芽が土から上に成長しやすくなります。角度はおおよそ30度から45度の間が適切です。指先で5cmぐらいの深さに押し込むようにします。
また、畝の幅は2条植え(2列植え)の場合は50cm、株の間は15cm程度あけるようにしましょう。
水やりや肥料やりが不適切
にんにくの水やりは、土が乾いたらたっぷりと与える必要があります。にんにくは比較的乾燥に強い野菜ですが、水不足になると球が小さくなる可能性があります。
また、水やりの際には株元に水がかからないように気を付けましょう。株元に水がかかると病気の原因になることがあります。
にんにくの肥料やりに関しては、以下のスケジュールを守ることが重要です。
- 植え付けの2週間前に、土の酸度調整を行うために苦土石灰を使用する。
- 植え付けの1週間前に、堆肥と元肥を土に加える。
- 植え付けから1ヶ月後と2月中旬から3月上旬(地域によって要調整)に追肥を施す。
これらの適切な水やりと肥料の方法を実践することで、にんにくの生育を促進し、病気のリスクを減らすことができます。
収穫時期が不適切
収穫時期が不適切だと、にんにくの品質が悪くなったり、保存性が低くなったりします。
にんにくの収穫時期は葉の8割くらいが枯れたタイミングに行うのが良いですが、収穫時期が早すぎると、球が小さくて不揃いになります。反対に、収穫時期が遅すぎると、球が割れたり外皮が剥がれたりします。
上の画像が収穫に適した状態のにんにくの葉です。何となく時期が遅く感じられるかもしれませんが、これくらいになってから収穫するのが最適です。
収穫は、晴れて土が乾燥しているタイミングで行い、収穫した後は、その場で半日くらい天日干しして水分を飛ばしてから乾燥させるようにします。
種子用にんにくの種類と選び方・使い方
にんにくは、種子用にんにく(にんにく種と呼ばれることもある)と食用にんにくという2種類があります。
種子用にんにくはその名のとおり、にんにく栽培のための種球(たねぎゅう)として使われるもので、食用にんにくよりも小さくて丈夫な品種が多いです。
ここでは、種子用にんにくの種類・選び方と使い方として知っておきたい、
- 種用にんにくの種類
- 寒地向け・暖地向けの品種の違い
- 種球の購入方法と水に浸ける理由
について、詳しくお伝えしていきます。
家庭菜園で栽培できる主な種用にんにくの種類
家庭菜園で栽培できる主な種用にんにくの種類は以下のとおりです。
種用にんにくの種類 | 主な特徴 |
福地ホワイト六片 | 寒地型の代表格で青森県産が有名。一球に4~6片の鱗片があり、肉質が詰まっていて甘味が強い。 |
上海早生 | 中国が原産の暖地型で、九州や四国で栽培されている。一球に約12片の鱗片がありあっさりした味わいで香りもマイルド。 |
壱州早生 | 朝鮮半島から長崎県壱岐市に伝わった暖地型で、一球に約12片の鱗片がある。香りは穏やかで薬味に向いている。 |
島にんにく | 沖縄県で栽培されている暖地型で、球はピンクがかっている。一球に約15~20片の鱗片があり辛みと香りが強い。 |
ジャンボにんにく | 実はネギ科ネギ属リーキ種のネギの仲間で、鹿児島県で栽培されている。一球あたり100~150gにまで育ちます。香りや辛味は控えめ。 |
プチにんにく | 中国など海外産の一片種で、中には小さな塊だけがあある。外側の皮は赤紫がかっているものが多く、マイルドな味わいがする。 |
平戸にんにく | 暖地向けの早生大型球種で、福地ホワイト六片に似た見た目をしている。加熱するとねっとりとした食感が楽しめる。 |
最上赤にんにく | 山形県最上地域の伝統野菜で、外皮が赤みを帯びている。一般的なにんにくよりも一回り大きく、香りと辛味が強い。 |
博多八片にんにく | 福岡県博多地域を中心に栽培されている暖地系で、一球あたり約8片の鱗片がある。早生品種であるため、5月中旬頃には収穫可能。 |
ピンクにんにく | 北海道在来の寒地型で、収穫直後の球がピンク色を帯びている。通常のにんにくよりも香りと辛味が強い。 |
山東にんにく | 中国の山東省を原産とする暖地型で、日本では中国産として流通している。香りや辛味が控えめで主張しすぎない料理への風味づけに最適。 |
寒冷地向けと暖地向けの品種の違い
種子用にんにくは、大きく分けて寒冷地向けと暖地向けの品種があります。
寒冷地向けの品種は、冬越しして春から夏に収穫するもので、暖地向けの品種は、春から夏に植え付けて秋から冬に収穫するものです。
寒冷地向けと暖地向けの品種は、植え付け時期や収穫時期だけでなくその形態や性質も異なります。
寒冷地向けと暖地向けの品種の違いは、主に以下の点にあります。
主な違い | 補足説明 |
耐寒性 | 寒冷地向けの品種は低温でも生育が止まらず、越冬力が高い。暖地向けの品種は低温で生育が停滞しやすく、霜や雪に弱い。 |
収穫時期 | 寒冷地向けの品種は秋植えから春収穫まで約8ヶ月、暖地向けの品種は秋植えから春収穫まで約6ヶ月かかる。 |
保存性 | 寒冷地向けの品種は休眠期間が長くて保存性が高い。暖地向けの品種は休眠期間が短くて保存性が低い。 |
寒冷地向けの品種は一般的に「硬頸(こうけい)」と呼ばれるタイプで、茎が硬くて直立し、球根は6~12個程度の大きな片(かた)から構成されます。
その一方で暖地向けの品種は一般的に「軟頸(なんけい)」と呼ばれるタイプで、茎が柔らかくて曲がりやすく球根は10~20個程度の小さな片から構成されます。
種球の購入方法と水に浸ける理由
種子用にんにくの種球は、植え付け時期(9月~11月)になるとホームセンターや園芸店などで販売されます。
購入する際は、以下の点に注意しましょう。
- 植え付ける地方に適した品種であるか
- 大きくて形が整っているものが良い
- 球根がしっかりしていて傷やカビがないことを確認する
- 収穫時期や保存方法を確認する
購入後は、植え付けまで冷暗所で保存します。
すぐに植え付けるよりも、水分補給や発芽促進のために植え付ける1~2日前から水(水温は15℃~20℃程度)に浸けておくと良いです。
水を替える必要はありませんが、水位が下がったら足す必要はあります。
水に浸けずにそのまま種にんにくを植えても問題なく発芽して成長することもありますが、発芽の促進のためにもひと手間かけておきたいところです。
植え付け時期と発芽適温
寒冷地向けと暖地向けでは、植え付け時期と発芽適温が異なります。
植え付け時期 | 発芽適温 | |
寒冷地向け | 10月~12月 | 15℃~20℃ |
暖地向け | 4月~6月 | 10℃~15℃ |
寒冷地向けは低温(5℃以下)で休眠し、春先から発芽します。
一方で暖地向けは、高温(25℃以上)で休眠し秋口から発芽するという違いがあります。
にんにく栽培に適した環境と土作り
にんにくは冷涼な気候を好み、生育適温は10~22℃です。
25℃以上では休眠状態になり発芽せず、気温が30℃を超えると萌芽が不揃いになるため、寒冷地では秋植え、暖地では春植えが一般的です。
にんにくは、日当たりと水はけの良い場所で栽培するのが理想で、日当たりが悪いと球根が小さくなったり病気にかかりやすくなる原因になり、水はけが悪いと、球根が腐ったり根腐れを起こしたりします。
また、風通しの良い場所で栽培すると湿気を防ぎ、病気や害虫の発生を抑えることができます。
土作りは、植え付けの2週間前までに苦土石灰、堆肥(牛ふん堆肥など)、ぼかしなどの肥料を入れてよく耕してふかふかの土壌にしておきましょう。
ふかふかの土にすることでしっかり根を張ることができます。
にんにくが好む土の酸性度(pH)の6.5~7.0程度にします。酸性度が高すぎると病気や害虫に弱くなってしまうのでご注意ください。
植え方・植え付け方法
にんにくの植え方・植え付け方法は、以下の手順で行います。
- 種子用にんにくを片(かた)に分ける。
- 畝(うね)を作る。
- 水をたっぷりと与える。
- 黒いビニールを畑の表面に張ってマルチングする。
- にんにくの球根を植え付ける。
- 軽く土を被せて水を与える。
それぞれの項目についてもう少し詳しくお伝えしていきます。
種子用にんにくを片(かた)に分ける
にんにくを1片ずつバラバラにして植え付けの準備をします。
薄皮は剥かずにそのまま植えても問題ありませんが、剝いた方が水分を吸収しやすいという説もあるので、2粒だけ剥いて植えてみることにしました。
幅60cm、高さ10~15cmくらいの畝をつくる
にんにくは、水はけのよい肥沃な土が好きな野菜です。水はけの悪い土では、根が腐ったり、球が小さくなったりします。
そのため、畝づくりをすることで排水を改善し、根の張りやすい柔らかい土を作ることができます。
幅60cm、高さ10~15cm程度にしておくと良いでしょう。
水をたっぷりと与える
にんにくの球根の植え付け前に、水をたっぷりと与えておきます。
黒いビニールを畑の表面に張ってマルチングする
春先の地温UPのためにも黒マルチはおすすめです。
畝の間は15~20cm空ける必要がありますが、一般的なマルチを買えば適した位置に穴が空いているはずです。
ちなみに、我が家にはマルチキーパーがなかったので、とりあえず石を置いてマルチが飛ばされないようにしてみました。
雪が降らないうちにマルチキーパーで留めておこうと思います。
にんにくの球根を植え付ける
たっぷりと水を与えた後に、にんにくの球根を植えます。穴を掘って、にんにくのとがった方を上にして植えるようにします。(寒冷地向けの品種は5cm程度、暖地向けの品種は2~3cm程度の穴を掘って植えます)
軽く土を被せて水を与える
軽く土を被せて、最後に水を与えて植え付けは完了です。
晴天が続く時は水やりが必要になりますが、基本的には降雨に任せておいて問題ありません。
にんにくは「そのまま植える」で良い?
にんにくは、そのまま植えるだけで良いと思って植えてみたものの、芽が出ずに枯れてしまったという声は多く聞こえます。
例えば、食用に買っておいたにんにくが芽を出したので植えてみたというようなケースですが、これだとそのまま植えただけではうまく栽培できずに終わってしまうでしょう。
そのまま植える前にしておきたいことは下記の2点です。
- お住まいの地域に適した種類のにんにくであるか確認する
- 種球を植え付ける直前に分ける
地域に合った種類のにんにくであれば、あとはにんにく栽培に適した環境を作ったのちに、種球を分けたうえで、そのまま植えるだけで良いでしょう。
ただし、植え付けに最適な時期があるので、時期にも注意が必要です。
肥料と水やりのコツと追肥のタイミング
にんにくは肥沃な土壌を好むので、肥料と水やりは重要な管理です。
肥料と水やりのコツと追肥のタイミングは以下の通りです。
肥料の与え方のコツ
肥料は有機質肥料や化成肥料を適量与えます。有機質肥料は植え付け前に混ぜ込み、化成肥料は発芽後に初めて与えます。
化成肥料は、窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)の比率が10:10:10程度のものを選びます。
水やりのコツ
水やりは土が乾いたら行います。(水はけが良い土壌が望ましいですが、万が一水はけが悪い場合は控えめにします。)
水やりは、朝か夕方に行い、葉にかからないようにします。葉に水がかかると、病気や害虫の原因になります。
追肥のタイミング
追肥は、発芽後と収穫前に行います。
発芽後の追肥は、化成肥料を畝間に散布します。収穫前の追肥は、液体肥料を与えます。液体肥料は、窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)の比率が5:10:15程度のものを選びます。
追肥の量や回数は、品種や栽培環境によって異なりますが、一般的には以下の通りです。
発芽後 | 収穫前 | |
寒冷地向け | 化成肥料を1㎡あたり100g程度の散布を2~3回に分けて行う。 | 液体肥料を1㎡あたり500ml程度を、1~2回に分けて与える。 |
暖地向け | 化成肥料を1㎡あたり50g程度の散布を1~2回に分けて行う。 | 液体肥料を1㎡あたり300ml程度を1回与える。 |
以上が、肥料と水やりのコツと追肥のタイミングです。適切な肥料と水やりで、にんにくを大きく美味しく育てましょう。
芽かきと摘蕾のタイミングとやり方
芽かきと摘蕾(てきらい)は、にんにく栽培の重要な作業です。芽かきと摘蕾のタイミングとやり方は以下の通りです。
芽かき
芽かきとは、球根から出る余分な芽を取り除くことです。芽かきをすることで球根が大きくなりやすくなります。
タイミングとしては発芽後から収穫までの間です。発芽後すぐに芽かきをすると球根が小さくなる可能性があるので注意が必要です。
また、収穫直前に芽かきをすると、球根が傷ついて腐る可能性があります。
芽かきのやり方は、余分な芽を手で折るか切るかします。余分な芽とは、球根から出る芽のうち一番太くて立派なもの以外のものです。余分な芽は早めに取り除くことが望ましいです。
摘蕾
摘蕾とは、茎から出る花茎(かけい)を取り除くことです。摘蕾をすることで、球根が大きくなりやすくなります。
摘蕾のタイミングは、茎から出た花茎が10cm程度に伸びた時です。摘蕾を早すぎると、球根が小さくなる可能性がありますし、摘蕾を遅すぎると球根が硬くなる可能性があるので、摘蕾のタイミングは重要です。
摘蕾のやり方は、花茎を手で折るか切るかします。花茎は根元から切るか折ることが望ましいです。
以上が、芽かきと摘蕾のタイミングとやり方です。適切な芽かきと摘蕾で、にんにくを大きく美味しく育てましょう。
収穫時期と方法
にんにくの収穫時期と方法は、以下のとおりです。
収穫時期
収穫時期は、品種や栽培環境によって異なりますが、一般的には以下の通りです。
- 寒冷地向け:6月~7月
- 暖地向け:11月~12月
収穫の目安は葉の色や状態で、葉が黄色くなり半分以上が倒れたら収穫の時期です。試し掘りをしてみて底が平らになっていれば収穫適期だと判断できます。
葉が完全に枯れると、球根が割れたり腐ったりする可能性があります。
収穫方法
収穫方法は、以下の手順で行います。
- 収穫の前日に水やりをします。
- 球根を傷つけないように注意して畝から球根を掘り出す。
- 球根を土から払い落とす。(土が付いたままだと乾燥や保存に影響する)
- 球根を日陰で乾燥させる。
- 球根が乾燥したら、茎や葉を切り落とす。
収穫の前日に水やりをすることで、球根がふっくらとするので必ず行いましょう。
掘り起こした球根を乾燥させることで保存しやすくなります。乾燥させるときは、茎や葉を切らずにそのままにします。
乾燥後は、刃物を消毒してから茎や葉を切りますが、茎や葉は5cm程度残しておくようにします。
プランターでの育て方
にんにくはプランターでも簡単に栽培できます。
育て方は畑での栽培とほぼ同じですが、以下の点に注意しましょう。
- プランター選び
- プランターの環境づくり
- プランターの置き場所
プランターは底に穴が開いているもので、深さが30cm以上、幅が40cm以上のものを選びます。プランターが浅いと、球根が十分に育ちませんし、十分な広さがないと、空気や水分の循環が悪くなってしまいます。
プランターの底に軽石や鹿沼土などを敷いて水はけを良くします。水はけが悪いと、球根が腐ったり根腐れを起こしたりするのでご注意ください。
土は市販の野菜用土などがおすすめです。肥料は植え付け時に元肥として化成肥料や鶏糞などを入れておきます。
プランター栽培では栄養不足による失敗も起こりがちなので忘れずに行っておきましょう。
プランターの置き場所は日当たりと風通しの良い場所にすると、丈夫なにんにくに育てることができるでしょう。
ペットボトルを使った栽培方法
ペットボトルを使ったにんにく栽培は、手軽に楽しめる方法です。
ペットボトルを使ったにんにく栽培の方法は以下のとおりです。
- 2リットル以上のサイズのペットボトルを用意する。
- 水はけと通気のため、ペットボトルの底と側面に穴を開ける。
- ペットボトルの半分程度、培養土や赤玉土など入れる。
- ペットボトルに種子用にんにくを植え付ける。(片同士の間隔は5cm程度空ける)
- 種子用にんにくを土で覆う。
- 水やりをする。
- 日当たりと風通しの良い場所に置く。
以上が、ペットボトルを使ったにんにく栽培の方法です。基本的には畑への植え付け方法と違いはないので、細かな注意点は植え付けの方法を参照してください。
水耕栽培する方法
にんにくは水耕栽培でも育てることができます。水耕栽培は土が必要ないので場所を選ばずに栽培できるほか、病気や害虫の心配が少ない点が魅力ですね。
なお、水耕栽培で育てるにんにくは通常のにんにくとは違って、球根ではなく芽や茎が食用に用いられます。これらは「スプラウトにんにく」と呼ばれ、普通のにんにくよりも鉄分が豊富で独特の臭いが少ないのが特徴で、サラダやスープなど様々な料理に使えます。
ここでは、にんにくを水耕栽培する方法として、パーライトを使う方法とペットボトルだけで作る方法の2つの方法を紹介します。
パーライトを使う方法
パーライトとは、火山岩を高温で焼いた白い粒状のもので、水や空気を保持する性質があります。園芸店や100円ショップなどで簡単に手に入れることができます。
パーライトを使って水耕栽培する方法は以下のとおりです。
- にんにくの皮をむいて1片ずつにばらす。(市販のにんにくを球根にできます)
- 水耕栽培キットもしくはペットボトルを用意する。
- 尖った部分を上にして置く。(尖った部分から発芽するため)
- 根が生える部分(にんにくのお尻)に水が触れるように水を調整する。
- パーライト敷いて水分と空気のバランスを保つ。(キッチンペーパーでも代用可)
- しばらくすると根が伸びて発芽する。
- 発芽後、日当たりと風通しの良い場所へ移動する。
- 水を毎日入れ替える。
- 芽が10~15cmほど伸びたら収穫する。
続いて、ペットボトルだけでにんにくを水耕栽培する方法をご紹介します。
ペットボトルだけで作る方法
こちらは、スーパーで売っている丸ごとのにんにくを使う方法です。ペットボトルだけで簡単に作れます。
作り方は次のとおりです。
- ペットボトルの上から3分の1程度を切り取る。
- 切り取ったものをひっくり返して、残りのペットボトルにセットする。
- 丸ごとのにんにくを入れてお尻がひたるくらい水を注ぐ。
- 1日~2日もすれば芽と根が出てきます。
- 水を毎日入れ替える
- そのまま置いておけば茎にんにくができあがります。
以上が、水耕栽培でにんにくを育てる方法です。土や肥料が必要ないため、手軽かつ安全な野菜作りが楽しめます。
自家製スプラウトにんにくは香りも味も格別なので、ぜひチャレンジしてみてください。
大きく育てるには何が重要か
にんにくを大きく育てるには、以下のことが重要です。
大きく育てるのに重要なこと | コメント |
品種選び | 自分が住む地域や季節と合わない品種を選ぶと、球根が小さくなったり病気や害虫に弱くなったりします。 |
土作り | にんにくは肥沃な土壌を好むので、堆肥や有機質肥料をたっぷりと混ぜ込みます。また、酸性度(pH)は6.5~7.0程度が適しています。酸性度が高すぎると、病気や害虫に弱くなってしまいます。 |
適切な植え付け | 植え付けは、品種ごとの特徴や要求条件を考慮して行います。植え付け時期や深さ・角度・間隔などは、品種ごとに異なります。 |
管理 | 管理することで、球根が大きく美味しく育ちます。管理することは、「肥料」と「水やり」、「追肥」と「芽かき」、「摘蕾」と「防除」など |
以上が、にんにくを大きく育てるための重要なことです。
これらのことに気を付けることで、にんにくを大きく育てることができるようになります。
にんにく栽培で気をつける病害虫と対策
にんにく栽培では、病害虫に注意する必要があります。病害虫によって、球根が腐ったり枯れたりすることがあるためです。
ここでは、にんにく栽培で気をつける病害虫と対策を紹介します。
- 主な病気(さび病や葉枯病など)
- 主な害虫(アブラムシやハダニなど)
- 病害虫の予防と防除の方法
上記3点について、詳しくお伝えしていきます。
主な病気(さび病や葉枯病など)
にんにく栽培で発生しやすい主な病気は以下のとおりです。
病気 | 症状 | 原因と対策 |
さび病 | 葉に赤褐色の斑点や粉が出て、次第に枯れてしまう。 | 菌類が原因の病気。防除剤を発芽後から収穫前まで定期的に散布することと、日当たりと風通しを良くするのが効果的。感染した部分を切り取ることで、他の部分への感染を防ぐ。 |
葉枯病 | 葉に水滴状の斑点が出て、次第に黒くなって枯れてしまう。 | 細菌が原因の病気。対策はさび病と同じ。 |
いずれの病気に対しても、防除剤と日当たりと風通しの良い環境が有効です。
感染してしまった場合は、感染した部分を早めに切り取ることで感染の拡大を防ぐことができます。
主な害虫(アブラムシやハダニなど)
にんにく栽培で発生しやすい主な害虫は以下の通りです。
害虫 | 症状 | 対策 |
アブラムシ | 春から夏にかけて発生しやすく、葉がしおれたり変形させてしまう。 | 防除剤を発芽後から収穫前まで定期的に散布する。水やせっけん水などで洗い流すのも有効。 |
ハダニ | 葉裏に吸着して植物液を吸い、葉に黄色や白色の斑点が出て枯れてしまう。乾燥した時期に発生しやすい。 | 同上 |
病害虫の予防と防除の方法
予防とは事前に病気や害虫が発生しないようにすることです。予防することで球根が健康に育ちます。
予防する方法は以下の通りです。
- 品種選び・土作り・植え付け・管理など基本的な栽培方法を守る
- 種子用にんにくや道具など消毒する
- 日当たり・風通し・水はけ・湿度など栽培環境を整える
次に、切除についてですが、防除とは事後に病気や害虫が拡大しないようにすることです。防除することで、球根が回復します。
防除する方法は以下の通りです。
- 防除剤・水・せっけん水など散布する
- 感染した部分・個体・土壌など処分する
- 天敵・有用菌・植物抽出物など利用する
以上が、にんにく栽培で気をつける病害虫と予防と防除方法です。
病害虫の被害を避けるのは、にんにく栽培を成功させる一つのコツと言えるので、しっかりと行っておきたいですね。
にんにくの育て方に関するQ&A
ここでは、にんにくの育て方に関するQ&A(質問&回答)を紹介します。
- にんにくの育ち方は?
- 寒冷地(北海道や青森)のにんにく栽培の注意点は?
- 九州など暖地でのにんにく栽培の注意点は?
上記の問いについて詳しく回答していますので、参考にしてみてくださいね。
にんにくの育ち方は?
にんにくの育ち方は、寒冷地向けと暖地向けの品種で異なります。
寒冷地向けの品種は寒さに強く、冬越しして花茎を出します。花茎を出すことで、球根が大きくなります。
寒冷地向けの品種の育ち方は以下の通りです。
- 秋から冬:植え付ける。発芽すると葉が出てくる
- 冬:休眠する。葉は枯れてしまうが球根は生きている。
- 春:再び発芽して葉が出てくる。茎が伸びて花茎が出る。
- 夏:収穫する。葉が黄色くなり半分以上が倒れたら収穫できる。
一方で、暖地向けの品種は暖地向けの品種は、寒さに弱く花茎を出しません。花茎を出さないことで、球根が小さくなります。
暖地向けの品種の育ち方は以下の通りです。
- 春から夏:植え付ける。発芽すると葉が出てくる。
- 夏から秋:葉がどんどん伸びて成長する。
- 秋から冬:収穫する。葉が黄色くなり半分以上が倒れたら収穫できる。
同じにんにくでも寒冷地と暖地では育ち方が異なるので、家庭菜園で育てる際には種種の選定に注意が必要です。
寒冷地(北海道や青森)のにんにく栽培の注意点は?
寒冷地(北海道や青森)では雪が降ることが多く、気温が低いことが特徴です。このような地域でにんにく栽培をする場合、以下の点に注意する必要があります。
- 寒冷地向きの品種を選ぶ
- 植え付け時期を守る
- マルチを利用する
- 寒さ対策をする
北海道でのにんにく栽培の方法については、別のページで解説しているのでご参照ください。
九州など暖地での注意点は?
九州など暖地では、気温が高く湿度も高いことが特徴です。このような地域でにんにく栽培をする場合、以下の点に注意する必要があります。
- 暖地向きの品種を選ぶ
- 植え付け時期を守る
- マルチを利用する
- 水やりや防除をしっかり行う
各ポイントについて、以下で解説していきます。
1. 暖地向きの品種を選ぶ
暖地向きの品種は寒さに弱く、花茎を出しません。花茎を出さないことで、球根が小さくなります。暖地で栽培できる代表的な品種は、「白六片」や「紫六片」などです。
2. 植え付け時期を守る
暖地では春から夏にかけて植え付けを行います。植え付け時期は、3月から5月にかけてが目安です。植え付け時期を早めると、夏の暑さで球根が割れたり腐ったりする恐れがあります。
3. マルチを利用する
マルチとは、畝やプランターにビニールやワラなどを敷いたりかぶせたりすることです。マルチを利用することで、土温や水分量を調節したり雑草を抑制したりすることができます。
暖地では、白色や銀色のビニールマルチやワラマルチなどを使うことが一般的で、白色や銀色のビニールマルチやワラマルチは、夏場は土温を下げて水分蒸発を防ぎます。
4. 水やりや防除をしっかり行う
暖地では、特に夏場に水分蒸発量が多く乾燥しやすいです。水分不足によって球根が小さくなったり枯れたりすることがあるので、土が乾いたら水やりを行います。
また、暖地では病気や害虫も発生しやすいです。特に葉枯病やアブラムシなどに注意して防除剤を散布します。
まとめ:にんにく栽培の失敗例と注意点
この記事では、にんにく栽培でついやってしまいがちな失敗例のご紹介とともに、にんにくの育て方・栽培方法を初心者にもわかりやすく解説しました。
にんにく栽培の主な失敗例は次の5つです。
- 食用のにんにくで栽培する
- 植え付け時期が早過ぎる・遅すぎる
- 植え付けの深さ・角度・間隔などを間違える
- 水やりや肥料やりが不適切
- 収穫時期が不適切
にんにくは地域に不敵な食用にんにくを植えたり、芽が出たにんにくをそのまま植えるなどなどして失敗した経験がある人が多いですが、適切な時期や方法で植え付ければ、家庭菜園でも簡単に栽培できる野菜です。
また、自家栽培のにんにくは市販のものよりも香りが強く、栄養価も高いというメリットがあります。ただし、水やりや収穫時期などの管理が重要ですので失敗例や注意点をしっかり把握しておきましょう。
自分で育てたにんにくで、おいしい料理を作ってみてくださいね。