シトロネラは、レモングラスに似た爽やかな香りのするハーブです。
虫除けや芳香剤として人気があるので、自宅で栽培してみたいという方は少なくないでしょう。
それほど栽培している人は多くありませんが、シトロネラは冬越しなどに気を付ければ地植えでも室内でも元気に育ちます。
また、収穫した茎や葉は、乾燥させて保存することができます。
この記事では、シトロネラの育て方について、種まきから収穫までの具体的な方法や注意点をご紹介します。
シトロネラを育てる際の参考にしてみてくださいね。
シトロネラ栽培に適した環境づくり
種まきを終えたら、シトロネラ栽培に適した環境づくりを始めましょう。
シトロネラは、日当たりの良い場所で育てることが大切です。直射日光が6時間以上当たる日向が最適で、夏の暑さにも耐えることができます。
ただし、暑さが厳しい地域では午後の強い日差しを避ける半日陰に移すか日よけをすると良いです。
次に、シトロネラ栽培に適した用土づくり、みずやり、肥料の与え方についてお伝えします。
用土づくり
シトロネラは水はけの良い土を好みます。
水はけが悪いと根腐れや茎葉の腐敗を起こしやすくなるので、花壇に植える場合は赤玉土などを混ぜて排水性を高めるようにします。
水やり
シトロネラは乾燥に強い一方で、過湿を嫌うため、水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと与えるようにします。特に鉢植えの場合は、乾燥が早くなるので注意が必要です。
ただ、長雨や湿気が多い時期は水分が過剰になりやすいため、水やりを控えめにしたり雨よけをしたりする必要があります。
肥料の与え方
シトロネラ栽培は肥料は少なめにすることがおすすめです。肥料が多すぎると葉の香りが弱まったり、茎が伸びすぎたりするためです。
春から秋にかけては、液体肥料を月に1~2回与える程度で十分で、冬は休眠期に入るため肥料は与えなくても大丈夫です。
種まき時期と方法
発芽に適した温度は20~25℃なので、種まき時期は春(4月下旬)から夏(6月中旬)が適期です。
寒さに弱いので、霜が降りる可能性のある地域では室内で発芽させるか、霜よけをする必要があります。
シトロネラの種まき方法は以下のとおりです。
- 赤玉土などの種まき用の土を用意する。
- 育苗ポットやプラスチック容器に土を入れて湿らせる。
- 深さ1cmほどの穴を掘り、種を2~3粒まく。
- 軽く土をかぶせ、水を霧吹きで噴きかける。
- ビニール袋や透明なフタで覆って保温・保湿する。
- 日当たりの良い場所に置き、毎日水分や発芽状況をチェックする。
- 種から10日~14日で発芽する。
- 発芽したらビニール袋やフタを外す。
- 直射日光を避けて風通しの良い場所に移す。
- 本葉が2~3枚になったら間引きし、株間を5~10cmにする。
6月頃から徐々に日光に慣らし、7月頃から鉢植えや地植えに移植するくらいが良い時期です。
地植えの時期と方法
シトロネラは鉢植えで育てることもできますが、地植えにするとより元気に育ちます。
ただし、寒さに弱いので冬に霜が降りるような地域では地植えには向かないため、東北から南の暖かい地域以外では鉢植えでの栽培が望ましいです。
地植えの時期は、春(4月下旬)から夏(8月上旬)にかけてが最適です。この時期は気温が高く土が温まっているので、根付きやすくなります。また、秋から冬にかけては休眠期に入るので、成長が止まってしまいます。
シトロネラの地植えの方法は以下のとおりです。
- 日当たりの良い場所を選ぶ。(直射日光が6時間以上当たる日向が最適)
- 土を掘り起こしてほぐし、赤玉土などを混ぜて排水性を高める
- 植え穴を掘る。(鉢と同じくらいの深さと幅にする)
- 鉢から苗を取り出し、根をほぐす。
- 根が絡まっている場合は、やさしく引っ張ってほどく。
- 植え穴に苗を入れて土をかぶせる。(根元が少し高くなる程度に)
- 土を軽く押さえて固める。
- 根元から水があふれるくらいたっぷりと水やりをする。
鉢植え・プランターで育てる方法
寒さに弱いので冬に霜が降りるような地域では鉢植えやプランターに植えて、冬期間は室内に移動するようにします。
シトロネラを鉢植え・プランターで育てる方法は以下のとおりです。
- 水はけの良い鉢・プランターを選ぶ。
- 鉢底石と鉢底ネットを敷く。
- 赤玉土や腐葉土などの有機質の多い土を入れる。
- 根がしっかり埋まるようにシトロネラの苗を植える。
- (複数植える場合は)苗の高さの半分くらいの間隔をあけて植える。
- 水やりは、土が乾いたらたっぷりと行う。
- 日当たりの良い場所に置く。(ただし、真夏の直射日光は避ける)
- 茎が伸びすぎたら適宜刈り込む。
なお、水やりの際には葉にも水をかけてあげると、香りが強くなります。
刈り込んだ茎は、乾燥させて虫除けや芳香剤として使うことができるので、上手に活用してくださいね。
植え替え時期と方法
シトロネラを鉢植えやプランターで育てる場合、根が鉢いっぱいになると成長が悪くなります。
そのため、定期的に植え替えを行うことが必要ですが、植え替えは根の活動が活発になる春か秋に行います。
シトロネラの植え替え方法は以下のとおりです。
- 古い鉢よりも一回り大きい鉢・プランターを用意する。
- 新しい土を入れる。
- 古い鉢からシトロネラを取り出す。
- 根が張り付いている場合は、根を傷つけないようにやさしく叩いてほぐす。
- シトロネラの根が傷んだり枯れたりしていれば切り取りる。
- 根が長く伸びすぎている場合は、適度に切り詰める。
- 以降は、鉢植え・プランターでの育て方と同様
植え替え後は、日陰でしばらく様子を見ましょう。根が新しい土に馴染むまでに時間がかかる場合があります。
室内での育て方
シトロネラは、蚊や虫を寄せ付けない香りがするハーブなので室内で育てたいハーブの一つですね。
室内で育てる場合は、以下の点に注意しましょう。
注意点 | |
日光 | 日当たりの良い窓辺に置きます。直射日光が6時間以上当たる場所が理想ですが、暑さの厳しい夏は半日陰に移動させるとよいでしょう。 |
水やり | シトロネラは乾燥を好む植物なので、水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。 |
温度 | 霜に当たると枯れてしまうので、温度は10℃以上を保つようにします。 |
肥料 | 肥料は控えめにし、春と秋に緩効性の肥料を与える程度にします。 |
剪定 | 茎が伸びすぎると倒れやすくなるので、剪定は花がら摘みと形を整える目的で行います。早春に枯れた茎葉を切り戻し、開花期間中は萎れた花や枯れた花を切り取りましょう。 |
剪定の時期と方法
シトロネラの剪定の時期は春から初夏にかけてが最適な時期です。この時期は新しい成長が始まるため、剪定後の回復が早いです。
枯れた枝や葉を取り除き植物のエネルギーが健康な部分に集中するようにすること、内部の風通しを良くして密集している枝を間引き病気や害虫の発生を防ぐことを目的に行います。
また、シトロネラは高く成長することがあるため、希望の高さと形に合わせて剪定します。枝の先端を切り戻すことで、横に広がるようになります。
枝を切る際は、外側の芽のすぐ上で切ります。これにより、新しい成長が外側に向かうようになります。
花の特徴・開花時期
シトロネラの花は、夏から秋にかけて咲きます。
花色は桃色で、水辺に生えるヨシの花に似ています。花序は茎頂に小花が数個集まって散形花序をつくります。個々の花は、花弁が5枚の5数花です。
シトロネラの花は葉と同様に香りがありますが、葉ほど強くはありません。
花を鑑賞するだけでなく、摘んでドライフラワーにしたり、ポプリやアロマテラピーに利用したりすることもできます。
シトロネラの花は、葉と同じく蚊を寄せ付けない効果があると言われていますが、実際には効果は限定的です。蚊を忌避するには、葉を摘んで揉んだり、エッセンシャルオイルを使ったりする必要があります。
夏越しの方法
シトロネラは、直射日光が好きな植物ですが、暑さの厳しい夏は午後の強い日差しから遮光してあげるようにします。
長雨が続く場合は、雨の当たらない場所に移動させたり鉢の下に砂利や軽石を敷いて通気性を高めたりしましょう。
高温多湿の環境では、風通しを良くすることが病気や害虫の予防に役立ちます。シトロネラの周りの枝や葉を間引き、内部の風通しを確保しましょう。
冬越しする方法
シトロネラは、耐寒性が低く霜に当たると枯れてしまうため、寒冷地では室内に取り込んで冬越しさせる必要があります。
室内に移動させる前には、枯れた茎葉や花を切り戻して草姿を整えましょう。室内では、明るく温かい場所に置き、乾燥しないように適度に水やりをします。最低でも10度以上を保つようにしますが、暖房器具の近くや、急激な温度変化のある場所は避けるようにしましょう。
また、室内では虫が発生する可能性もあるので、定期的に葉の裏などをチェックしておくと良いです。
シトロネラの増やし方
シトロネラはの増やし方として、
- 挿し木で増やす方法
- 株分けで増やす方法
上記2つの方法があります。
ここでは、それぞれの方法についてお伝えしていきます。
挿し木で増やす方法と時期
挿し木で簡単に増やすことができます。具体的な手順は以下のとおりです。
- シトロネラの茎の先端から4~5節分を切り取る。
- 上部の3~4枚だけ葉を残して、残りの葉はすべて取り除く。
- 切り口を半日から一日ほど日陰で乾燥させる。
- 水はけの良い土に挿す。(土は、赤玉土と腐葉土を半々に混ぜたものがおすすめ)
- 日陰で保湿しながら根が出るまで待つ。
- 発根したら植え替える。
手順3で乾燥させるとありますが、乾燥させることで切り口が傷んだりカビたりするのを防ぐことができるので、省略せずに行うようにしましょう。
なお、根が出るまでには、約2~3週間かかりますが、それまでの間は土が乾いたら水やりをして管理します。
株分けで増やす方法と時期
挿し木だけでなく株分けでも増やすことができますが、春か秋に行うようにします。
株分けの方法は以下のとおりです。
- シトロネラの株を鉢から抜き取る
- 根が絡まっている場合は水に浸してほぐす。
- 根と茎がつながっている部分を切り離す
- 切り口を半日から一日ほど日陰で乾燥させる
- 水はけの良い土に植る
- 日陰で保湿しながら根付くまで待つ
手順3で切り離すときは、茎に2~3枚の葉と、根に2~3本の根が残るようのがポイントです。
なお、株分けも挿し木と同様に、根付くまでには約2~3週間かかるので、その間は土が乾いたら水やりをして管理します。
収穫時期と方法
収穫時期は、植え付けから約6か月後、茎が太くなって葉が茂ったときです。
収穫方法は、茎の根元から切り取るか抜き取るかのどちらでも構いません。切り取った場合は、根元から新しい芽が出て再び成長します。
抜き取った場合は、根を残して水に浸けておくと、根が伸びて挿し木にすることができます。
なお、収穫したシトロネラはゴキブリ対策などに用いることができます。シトロネラの虫除けや芳香剤の効果についてはこちらのページで詳しくお伝えしています。
シトロネラの育て方に関するQ&A
ここでは、シトロネラの育て方に関するQ&A(質問&回答)を紹介します。
- レモングラスの違いは何?
- センテッドゼラニウムを配合したハーブは何?
上記の問いについて詳しく回答していますので、参考にしてみてくださいね。
レモングラスの違いは何?
どちらもイネ科オガルカヤ属の植物でレモンのような香りに共通点があります が、見た目や用途には違いがあります。
双方の違いを以下にまとめます。
見た目 | 用途 | |
シトロネラ | 幅広い葉で深い緑色で、根元の仮根が赤っぽい色をしている | 主に精油として利用される。 |
レモングラス | 細長くて色は薄緑色で、根元が緑色をしている | 主に食用として利用される。 |
シトロネラとセンテッドゼラニウムを交配したハーブは何?
シトロネラとセンテッドゼラニウムを交配したハーブは、蚊連草(カレンソウ)と呼ばれる植物です。
蚊連草は、葉を触るとさわやかな柑橘レモン系の香りを放ちます。この香りには、蚊が嫌うとされるシトロネラールという成分が含まれています。
そのため、蚊連草は蚊除け効果があるとして人気のあるハーブです。
まとめ:シトロネラの育て方のポイント
シトロネラは、虫除けや芳香剤として使えるハーブです。自宅で育てることも可能で、冬越しなどに注意すれば、鉢植えやプランターでも育ちます。
育て方のポイントとしては、水はけの良い土に植え、日当たりの良い場所に置きましょう。水やりは土が乾いたらたっぷりと行い、茎が伸びすぎたら刈り込みます。
寒さに弱い植物なので温暖地以外は屋内に取り込んで冬越しするようにしましょう。
収穫した茎や葉は、乾燥させて保存することができます。シトロネラの爽やかな香りを楽しみながら、虫除け効果も得られるので、一石二鳥です。
この記事がシトロネラ栽培の参考になれば嬉しいです。