北海道でにんにく栽培をしてみたけど、すぐに枯れてしまった…という経験をお持ちの方はきっと多いでしょう。
にんにくを家庭菜園で育てるには無理なのかと思うかもしれませんが、北海道でのにんにく栽培は注意ポイントさえ押さえればそれほど難しくありません。
北海道は全国2位を誇るにんにく産地であることからも、にんにく栽培に向かない土地ではないことがわかるでしょう。
ここでは、北海道の家庭菜園でにんにくを育てる方法について、おすすめの品種のほか冬越しやプランター栽培などを交えてご紹介しています。
北海道でのにんにくの種まき・植え付け時期
北海道のにんにくの種まき・植え付け時期は、一般的には10月下旬から11月上旬です。
北海道の気候は寒暖の差が大きく、にんにくの栽培に適していますが、冬越しを誤ると上手に栽培できないのでご注意ください。
なお、地域や品種によっては種まき・植え付け時期が異なる場合もあるため、栽培するにんにくの特性や環境をよく調べて、最適な時期を見極めることが重要です。
にんにく栽培で失敗する人は多いので、まずは一般的なにんにく栽培の失敗例を確認しておくことをおすすめします。
適切な冬越し方法
北海道でにんにくを栽培する場合、冬越しは重要なポイントです。
冬越しに必要な作業は次の6つが挙げられます。
- 雪が降る前に根を張らせる
- 畝間にマルチを敷く
- 米ぬかをまいて土寄せをする
- (雪が少ない場合など)落ち葉などで保温する
- 適度に雪かきをする
- 雪解け後はすぐにマルチを取り除く
それぞれのポイントについて少し補足していきます。
1. 雪が降る前に根を張らせる
北海道では雪が多く降るため、にんにくは雪の下で越冬します。そのため、雪が降る前に根を張らせることが大切です。
また、根元が霜や雪で傷つかないように保護するため、植え付け後に土を盛り上げて根元を覆います。
2. 畝間にマルチを敷く
畝間には藁や落ち葉などのマルチを敷きます。これは、地温を確保し土の温度を安定させて乾燥や凍害を防ぐために必要な作業です。
3. 米ぬかをまいて土寄せをする
冬越し前の適正サイズは、葉が5枚から6枚で茎が太くしっかりしているものです。このサイズなら、根が深く張っていて水分をよく集めることができます。
適正サイズの場合、12月上旬と2月に株の周りに米ぬかをまいて軽く土寄せしましょう。これは、生育を促進するためと病気予防のためです。
4. (雪が少ない場合など)落ち葉などで保温する
冬越し中は、水やりや追肥は必要ありません。ただし、雪が少ない場合や気温が低すぎる場合は、藁や落ち葉などで覆って保温することがおすすめです。
5. 適度に雪かきをする
また、雪が積もりすぎると根が圧迫されたり、腐ったりする可能性があるので、適度に雪かきも行います。
6. 雪解け後はすぐにマルチを取り除く
マルチが湿っていると病気の原因になるため、雪解け後は早めにマルチを取り除くようにします。
プランター栽培する方法
北海道でもプランターでにんにくを栽培することは可能です。
北海道におけるにんにくのプランター栽培の注意点としては、冬越し時の温度管理が挙げられます。
北海道でプランター栽培での冬越しは畑栽培よりも難しいと言われますが、主な理由としてはプランターは地面から浮いているため地温が低くなりやすいからです。
対策としては、冬越し前にプランターを雪の下に置いておくこと、黒いビニールマルチや藁などで覆って保温することが効果的です。
追肥のタイミングと方法
北海道でにんにくを栽培する場合、追肥は収穫量や品質に大きな影響を与えます。
追肥のタイミングや与え方については、にんにくの追肥の方法の項にまとめましたのでご参照ください。
寒冷地向けの品種の発芽後・収穫前の追肥のタイミングと、与える肥料についてお伝えしていますので、北海道でのにんにく栽培時の追肥のタイミングと方法について参考にしてみてください。
収穫時期と保存方法
にんにくは北海道では6月~7月頃が収穫時期です。
北海道でも他の寒冷地と収穫時期は同じなので、葉の色や状態で収穫適期を見て収穫します。
晴天が続いて土が乾いている時に収穫すると良いでしょう
詳細は、にんにくの収穫時期と保存方法の項をご参照ください。
北海道(寒冷地・雪国)でのにんにく栽培に適した品種
北海道は寒冷地となるため、ニンニクも寒冷地に向いた品種を選ぶようにします。有名なものでは、ホワイト六片があります。
北海道で栽培されている富良野であれば、北海道でも間違いなく育つでしょう。
また、販売されている種球に品種が明記されていなくても、どこで育てられたものかは記載されていることがほとんどです。九州や中国地方などが産地となっているものは、暖地系であることが多いため避けるようにします。同じ寒冷地である、青森や北海道などの記載があるものを選んで購入します
北海道でのにんにく栽培に適した品種は、以下のようになります。
- ホワイト6片
- ピンクにんにく
- ジャンボにんにく
これらの品種は北海道の気候や土壌に適応しており、冬越しすることで大きく育ちます。
また、それぞれに特徴があるので、料理や保存方法に合わせて選ぶことができます。
北海道のにんにく農家や産地
北海道は、2021年度の収穫量は約2,000トンで全国2位(青森県に次ぐ)であり、日本全体の収穫量の約9%を占めているほどのにんにく産地です。
中でも富良野市や小清水町などが有名なにんにく産地ですが、十勝清水町もにんにくの産地として復活を目指しており、十勝清水にんにくというブランドを確立しようとしています。
富良野市では「富良野ニンニク」というブランドを作り、全国的にも知名度を高めているほか、小清水町では「小清水ニンニク」というブランドを作り、日本一の生産量を誇っています 。
これらの産地では寒冷地向きの品種を栽培し、各農家の方々が北海道の厳しい気候条件を乗り越えて美味しいにんにくを作っています。
他にも美瑛町や江差町などでにんにく栽培が行われており、それぞれ「北海道のダイヤモンドにんにく」や「甚作にんにく」というブランド名で販売されており、ますます北海道でのにんにく生産が盛んになっています。
北海道のにんにく栽培に関するQ&A
北海道でのにんにく栽培についてよく聞かれる、
- 地域特有の失敗例は?
- 寒冷地での栽培の難しさと対策は?
上記の質問について、その答えをご紹介します。
地域特有のニンニク栽培の失敗例は?
北海道でのニンニク栽培では、特に植え付け時期や地温確保などが重要です。
基本的には寒冷地向けの種球の植え付け時期どおりに植え付ければ良いですが、北海道の場合だと特に、雪が降るのを見越して早めに植え付けて失敗する例が挙げられます。
寒さの厳しい北海道だからといった考慮は必要なく、一般的な寒冷地の植え付け時期に行うようにする方が失敗はなくなるはずです。
寒冷地での栽培の難しさと対策は?
にんにくは耐寒性が強い野菜ですが、北海道で栽培する場合は、気温や日照時間などの気候条件に注意する必要があります。
北海道では他の地域よりも寒くなり始めるのが早くて暖かくなり始めるのが遅いため、植え付け時期や収穫時期がずれることがあります。また、雪や霜によって株が傷んだり病気や害虫にかかったりするリスクも高まります。
植え付け時期については、一般的な植え付け時期を参考にしつつ夏の暑さが過ぎて朝晩が涼しくなってきたら植え付けるようにします。
病害虫については早期発見して病変部を切り取ったり周りの草を整理して風通しをよくするほか、適切な薬剤を散布して対処する方法も有効です。
また、秋に成長しすぎると雪の重みで茎が折れたり凍害を受けやすくなったりすることもあるため、元肥でしっかりと肥料を入れておき、追肥は雪解け後に行うようにします。
まとめ:北海道のにんにく栽培方法と失敗を防ぐポイント
この記事では、北海道でのにんにくの栽培方法と育て方をご紹介しました。
寒さに強い品種を選定することで、冬越しやプランター栽培も可能になります。冬越しする場合は、10月下旬から11月上旬に植え付けて、マルチングをしておきます。
プランター栽培する場合は、12月から2月に植え付けて、室内やベランダなどで管理します。
おすすめ品種は、「北海道産白花」「北海道産紫花」「北海道産大蒜」などです。収穫時期は6月から7月で、乾燥させて保存します。自分で育てたにんにくは、香りも味も格別です。ぜひ挑戦してみてください。