アーティチョークは、ヨーロッパやアメリカで人気の高い野菜・ハーブです。
栄養価が高く、美容や健康にも良い効果がたくさんあるほか、独特の食感と風味が楽しめることから、最近では日本でも栽培を始める人が増えてきています。
この記事では、そんなアーティチョークの栽培方法を中心に、北海道でもできる育て方についてご紹介しています。
我が家でのアーティチョークの記録も一緒に参考にしてみてくださいね。
アーティチョーク栽培に適した環境づくり
アーティチョークは、日当たりと水はけの良い場所に植えるのが適しています。
生育適温は10~25℃で 高温に弱く、気温が30℃以上になると生育が悪くなるため、夏場は日陰や風通しの良い場所に移動したり、日よけをしたりする必要があります。
用土づくりと水・肥料やりのポイントについては次の項で詳しくお伝えします。
用土づくり
アーティチョークは水はけの良い用土を好むので、市販の培養土を使っても良いですが、赤玉土と腐葉土とバーミキュライトを7:2:1の割合で混ぜて作ることも可能です。
また、酸性土壌を嫌うため、用土には苦土石灰や化成肥料を混ぜ込むと栽培に適した土になります。
用土の量は、プランター栽培の場合は中型(60cm)以上のものを利用し、1株植えなら大型の植木鉢でもかまいません。露地栽培の場合は、畝幅1m、株間50~70cmで畝を立てておきます。
水やりと肥料の与え方
アーティチョークは、土が乾いたらたっぷりと水を与えるのが基本です。ただし、過湿を嫌うため水を与えすぎると根腐れを起こしてしまうので注意が必要です。(夏場は特にご注意ください)
肥料は、緩効性の化成肥料を元肥として土に混ぜ込んでおきます。その後は、生育期の5月~6月に追肥として液体肥料を2週間に1回のペースで与えます。
種まき時期と方法
アーティチョークの発芽適温は15~20℃で、種まき適期は3月下旬~4月下旬です。種まき前に、種を一晩水に浸しておくと発芽が早くなります。
種まき方法は、直まきとポットまきがあります。直まきの場合は、日当たりと水はけの良い場所に深さ5~10mmで種をまき、発芽後は本葉が2枚出たら間引きをします。間引きの際は、株間を10~15cmにします。
ポットまきの場合は、3号のポリポットに種まき用の培養土を入れて水をたっぷりとかけ、1か所あたり2~3粒の種をまきます。
用土を10mm被せて指先で軽く押さえて用土と種を密着させます。発芽するまでは風通しを良くして乾燥させないように管理します。
地植えの時期と方法
アーティチョークは株が大きくなるので、基本的には地植えで育てるのがおすすめです。地植えの時期は、4月上旬~5月上旬に、種から育てた苗や園芸店で購入した苗を植え付けます。
地植えの方法は、以下のとおりです。
- 日当たりと水はけの良い場所に、畝幅1m、畝高10~15cmの平畝を作る。
- 畝に苦土石灰と化成肥料をまいて耕す。
- 苗を株間50~70cmになるように植え付ける。
- 根鉢を崩さないように注意して、土をしっかりと押さえる。
- 水をたっぷりと与える。
以上がアーティチョークの地植えの時期と方法です。鉢やプランターで育てる方法については次の項でお伝えします。
鉢植え・プランターで育てる方法
アーティチョークは地植えの方が適していますが、鉢植えやプランターでも育てることができます。アーティチョークは根が張るので、大き目のサイズ(直径30cm以上、深さ40cm以上)のものを選ぶようにします。
鉢植えやプランターで育てる場合は、以下の点に注意しましょう。
- 鉢やプランターに水はけの良い土を使う。
- 鉢植えやプランターでは土が乾きやすいので、毎日水やりをする。
- 水やり過ぎは根腐れの原因になるので注意する。
- 液体肥料を10日~2週間に1回程度与える。
- 日当たりと風通しの良い場所に置く。
寒冷地など冬の寒さが厳しい地域では冬越しのことも考慮して鉢やプランターで育てる方が望ましいでしょう。
植え替え時期と方法
アーティチョークは多年草ですが、毎年同じ場所で栽培すると病気や害虫にかかりやすくなったり、根が張って土壌の養分を消費してしまうため植え替えが必要になります。
植え替えを行う時期は春か秋が適しており、2~3年に1回程度の頻度で行うのが目安です。
植え替える際の手順については、株分けの方法をご参照ください。
アーティチョークの花が咲く時期と香り・花言葉
アーティチョークは花が咲く前の花芽を食べますが、そのまま育てることで花が咲かせることもできます。
紫色や青色の美しいキクのような形をしているのが特徴で、花が咲く時期は5月~7月にかけて旬を迎えます。
アーティチョークの花は、甘い香りがします。アーティチョークの花言葉は、「傷つく心」「警告」「独立独歩」「孤独」「厳格」などです。これらの花言葉は、大きな葉の先にトゲがあり触れると怪我をすることに由来すると言われています。
花が終わったら何をすべきか
アーティチョークの花が終わったら、以下のことをすると良いでしょう。
- 花がしぼんだら、子株を残して根元近くまで茎ごと切り取る。
- 花が咲かなかった株は、冬越しの準備をする。
- 春になったら肥料を与える
冬越しの方法については次の項でお伝えしていきます。
耐寒性と冬越しの方法
アーティチョークは寒さに強い植物ですが、北海道などの寒冷地の厳冬期には凍害を受ける可能性があります。
ここでは、アーティチョークの耐寒性と冬越しの方法についてご紹介します。
耐寒性
アーティチョークの耐寒性は品種によって異なりますが、一般的には-10℃程度まで耐えることができます。
ただし、長期間低温にさらされると生育不良や枯死することがあるほか、凍結と解凍の繰り返しにも弱い特徴があります。
冬越しの方法
アーティチョークの冬越しの方法は、以下のとおりです。
地植えの場合
11月頃~12月頃までに、株の周りに藁や落ち葉などを敷き詰めて覆います。その上にビニールや不織布などをかけて固定します。
これにより、株を凍害から守ります。春になったら、覆いを取り除きます。
鉢植えやプランターの場合
11月頃から12月頃までに、鉢やプランターを屋内や温室などに移動します。
冬の間は、水やりは控えめにし、日当たりの良い場所に置き、春になったら、屋外に戻します。
アーティチョークの株分け時期と方法
アーティチョークは株分けによって増やすことができます。株分けは、植え替えと同じく春か秋に行います。株分けの方法は以下のとおりです。
- 新しい植え付け場所を耕して土壌改良材を混ぜておきます。
- 鉢植えの場合は新しい用土を鉢に入れる。
- 根や茎を傷めないように注意して株を掘り起こす。
- 根と芽がついている部分を残すようにして2~3株に分ける。
- 植え付け間隔は80cm~1m程度あけて株を植え付ける。
- 植え付け後はたっぷりと水やりをする。
植え替えが必要になる時期に合わせて株分けをして増やしていくくらいが目安となります。
収穫時期と方法
アーティチョークの収穫時期は6月~7月頃で、鱗のような萼が重なったつぼみが付き始めたら、花が咲く前に収穫します。(苗を植えてから2年目以降に収穫が可能になります)
収穫の際は、茎を3~5cmほど残してハサミなどで切り取ります。少しツボミが開きかけている時が収穫の適期で、茎や葉にトゲがあるので注意してください。
アーティチョークの中で最も美味しいと言われているのは茎の部分ですが、ガクの付け根部分や「ハート」と呼ばれる芯の部分も食べることは可能です。(アーティチョークは可食部が少なく、全体の1割程度しか食べる箇所がありません)
種取りのやり方
アーティチョークの種取りの方法は以下のとおりです。
- 大きくて健康な花芽を種取り用に選ぶ。
- 花が咲いたら、そのまま放置する。
- 花がしぼんだら、種が熟したサインなので種取りの準備をする。
- 花びらの中にある黒くて小さくて扁平な形の種を取る。
- 取り出した種は水洗いして乾燥させる。
- 乾燥させたら冷暗所で保管します。
来春まで冷暗所で保管して、次の種まきに備えましょう。
北海道でのアーティチョーク栽培記録
私が北海道でアーティチョークを栽培した記録をご紹介します。
アーティチョークの種まき時期は、北海道では4月~5月頃が適しているので、2023年の4月に種まきをしました。
アーティチョークの地植えの時期は、北海道では6月~7月頃が適しているので、7月に地植えをしました。
鉢植えやプランターで育てる方法も試しましたが、地植えの方がより良い成長を見せました。水やりと肥料はこまめに行い、冬越しの準備もしっかりとしました。
結果として、2024年の8月には、美味しそうな花芽を収穫できる見込みです。
アーティチョークの育て方に関するQ&A
ここでは、アーティチョークの育て方に関するQ&A(質問&回答)を紹介します。
- 枯れる原因は?
- コンパニオンプランツは?
上記の問いについて詳しく回答していますので、参考にしてみてくださいね。
枯れる原因は?
アーティチョークが枯れる原因としては、以下のようなことが考えられます。
- 水やりの不足や過剰
- 肥料の不足や過剰
- 凍結や霜による凍害
- 病害虫の被害
これらの原因を防ぐためには、以下のような対策を行うことが大切です。
- 土が乾いたらたっぷりと水やりをし、過湿を避ける
- 生育期に緩効性の化成肥料を元肥として与え、追肥として液体肥料を月に2回程度与える
- 冬になったら腐葉土や敷きワラを株元に敷くか、土を株元に寄せて土が
- 凍結しないように防寒する
- 葉が多く茂るため、風通しを良くし、病害虫の発生を予防する
アーティチョークが枯れてしまった場合の、原因の予測やその対策を検討に際しての参考にしてみてくださいね。
コンパニオンプランツは?
アーティチョークのコンパニオンプランツとは、アーティチョークと一緒に植えると相性が良い植物のことです。
主に、以下のような植物がアーティチョークのコンパニオンプランツとしておすすめです。
バジル | 同じくらいの水やりや肥料で育ち、花が咲くとミツバチや蝶などを誘引します。 |
エンドウ | アーティチョークより低く育ち、根粒菌によって空気中の窒素を固定して土壌に供給します。 |
ヒマワリ | アーティチョークより高く育ち、花が咲くとミツバチや蝶などを誘引します。 |
タラゴン | 同じくらいの水やりや肥料で育ち、花が咲くとミツバチや蝶などを誘引します。 |
キャベツ科 | 同じくらいの水やりや肥料で育ち、カルシウムを多く必要とします。 |
まとめ:アーティチョーク栽培のポイント
この記事では、アーティーチョクの栽培のポイントと北海道で栽培している記録をお伝えしました。
アーティーチョークは水はけの良い用土でアルカリ性の土を好むので、土づくりや植える場所選びは条件を満たすように事前に準備しておきましょう。
アーティーチョークの耐寒性は比較的高いですが、北海道の屋外で冬越しするにはしっかりとした対策が必要です。
それほど難しいことはないので、野菜やハーブを育てた経験がそれほど多くない初心者にとっても育てやすい植物と言えるでしょう。
これからアーティチョークの栽培をしたいと考えている方はぜひ挑戦してみてくださいね。