キャットニップは、別名西洋マタタビとも呼ばれネコが大好きなハーブとして有名ですが、人間にもリラックス効果があります。
愛猫家をはじめとして多くの方が興味を持っており、育て方は簡単か室内でも栽培できるかと聞かれることが多い植物です。
キャットニップは自宅で簡単に育てることができますが、いくつかのポイントを押さえておくとより良い成長を期待できるでしょう。
この記事では、キャットニップの種まきから収穫までの育て方を詳しくお伝えしていますので、キャットニップを育ててみたい!という方はぜひ参考にしてみてくださいね。
キャットニップ栽培に適した環境
キャットニップ(イヌハッカ)栽培に適した環境は、日当たりと風通しが良い場所ですが、半日陰でも育てられます。
用土づくりや水・肥料の与え方のポイントは次のとおりです。
用土づくり
キャットニップは、水はけがよければ土質はあまり選ばない丈夫なハーブですが、酸性の土は嫌うため、用土づくりをする場合は、以下の点に注意してください。
- 地植えの場合は、植え付けの2週間前に苦土石灰を混ぜて酸度を中和する。
- 腐葉土を混ぜて通気性をよくする。
- 水はけの悪い土の場合は、川砂を混ぜるなどして改善する。
土を自作する場合は、赤玉土7:腐葉土3の基本的な配合の培養土を作り、少量の苦土石灰も混ぜておきましょう。草花用の培養土やハーブ専用の土を使うと手軽で便利です。
水・肥料の与え方
水やりは土の表面が乾いたら行います。水やりの際は、根元からたっぷりと与えます。水やりの回数は季節や気温によって調整します。
肥料は必要ありませんが、より旺盛な生育を促したい場合は、液体肥料を月に1回程度与えます。肥料は薄めに作ってください。
また、花期に入る前に一度だけ緩効性肥料を施すこともできます。
種まき時期と方法
種蒔きは春(3月~4月)と秋(9月中旬~10月中旬)の年2回行うことができます。
発芽温度は15℃~25℃なので、気温がこの範囲内に入る時期に行うのが良いです。ただし、気温が高すぎる夏場は避けたほうが良いでしょう。
キャットニップの種は小さくて細かいので、まずは育苗ポットに入れた培養土の表面に2~3ヶ所浅いくぼみをつけて、くぼみの中に1粒ずつ種をまきます。
軽く土で覆った後に霧吹きで優しく水やりを行い、土が乾かないように湿らせます。
種まき後は、日当たりの良い場所に置きます。
1週間~2週間ほどすると発芽してくるので、本葉が5~6枚生えてきた頃に生育状態の良い株を残して間引きます。その後、草丈が15cmほどに育ったら鉢や庭に植え付けましょう。
地植えの時期と方法
キャットニップの地植えの時期は、春から秋までです。ただし、霜が降りる寒冷地では冬場は地植えではなく鉢植えにして室内に入れる必要があります。
また、種まきと同様に気温が高すぎる夏場に地植えするのは避けた方が良いでしょう。
地植えする場合は、株間を30cm~40cm程度あけて植え付け、水やりや除草などの管理を行います。
鉢植え・プランターで育てる方法
キャットニップを鉢植え・プランターで育てる方法もあります。鉢植え・プランターで育てる場合は、鉢底に穴があるものを選びます。
鉢の中に鉢底石や赤玉土などを敷いて水はけを良くします。用土は市販の培養土や赤玉土などを混ぜて使います。
鉢植え・プランターで育てる場合も日当たりの良い場所を選びます。
水やりや肥料などの管理は地植えの時と同じで良いですが、鉢植え・プランターでは水分や栄養分が失われやすい点には注意してください。
植え替え時期と方法
キャットニップを鉢植えしている場合、根が鉢からはみ出すと成長が止まってしまうため、根が鉢からはみ出したら、大きめの鉢に植え替える必要があります。
なお、春に植え替える場合は芽が出る前、秋に植え替える場合は、花が終わった後に行います。
具体的な方法は以下のとおりです。
- 水やりをしてから鉢から抜き取る。
- 根球を崩さないように注意しながら古い用土を落とす。
- 新しい用土を入れた鉢に根球を入れる。
- 根元から水やりをして固定します。
- 日陰に置いて様子を見ます。
なお、地植えの場合は、株分けをして移植することもできます。
花が咲く時期
キャットニップの花は時期は夏から秋にかけて咲きます。
花穂が伸びて小さな花が密集して咲き、花色は白やピンク、紫などがあります。
キャットニップの花も猫に好まれる香りがありますが、人間にとっても美しい香りがします。花期中は切花として楽しむこともできます。
なお、花が咲く前に液体肥料を与えると花付きが良くなるので、長く花を楽しみたい方は開花前に液体肥料を与えると良いです。
室内での育て方
ャットニップは室内でも栽培可能です。室内で育てる場合は以下の点に注意してください。
- 日当たりの良い窓辺などに置く。
- 水やりは土が乾いたら行うようにする。
- 室内では乾燥しやすいので霧吹きなどで葉水を与える。
- 肥料は液体肥料を月に1回程度与える。
- 害虫や病気に注意する。
- 家族の猫が食べ過ぎないように注意する。
室内で育てる場合は、キャットニップの香りが部屋中に広がる可能性があるので、猫が興奮したり落ち着いたりする効果があります。
猫がキャットニップを食べることは安全ですが、食べ過ぎるとお腹を壊したり吐いたりすることもあるので注意が必要です。
また、キャットニップを食べると猫の性格や気分によっては攻撃的になったり嫉妬したりすることもあるので、初めのうちは特に注意して観察するようにしてください。
水耕栽培で育てる方法
キャットニップを水耕栽培で育てる方法もあります。水耕栽培とは、土を使わずに水や栄養液だけで植物を育てる方法です。水耕栽培のメリットは以下のとおりです。
- 土を使わないので、用土の準備や交換が不要。
- 水やりや肥料の管理が簡単。
- 害虫や病気にかかりにくい。
- 根が張らないので、鉢のサイズに制限されない。
水耕栽培で育てる場合は以下の点に注意してください。
- 水耕栽培用の器具や栄養液を用意する。
- 水耕栽培用の苗か挿し木を準備する。
- 水位や水温やpHなどを定期的にチェックする。
- 栄養液は2週間~1ヶ月に1回程度交換する。
- 日当たりの良い場所に置く。
水耕栽培はそれほど難しいことがないので、気になる方は是非挑戦してみてくださいね。
剪定・切り戻しする方法と目的・時期
キャットニップの剪定は、枝切りばさみやはさみなどを使って、茎の先端や花がらを切り取ります。切り戻しの場合は茎の半分くらいを切り取ります。
切り口は、葉の付け根や節の近くにします。切り取った部分は、乾燥させて猫用のおもちゃや枕などに使うことができます。
なお、キャットニップを剪定する目的は以下のとおりです。
- 茎が伸びすぎて倒れたり、枯れたりしないようにするため。
- 花が咲き終わった後に種が飛ばないようにするため。
- 花の咲き方や形を整えるため。
- 新芽の発生を促して植物の活力を高めるため
上記のことから、剪定を行うのは以下の時期に行うようにします。
時期 | 目的・行うこと |
春 | 芽が出る前に、冬に枯れた部分や病気になった部分を切り落とす。(剪定する) |
夏 | 花が咲いた後に花がらを切り取ります。また、茎が伸びすぎている場合は半分くらいに切り戻す。 |
秋 | 花が終わった後に、種が飛ばないように花がらを切り取ります。また、株分けをする場合は、根元から10cmくらいの高さに切り戻す。 |
夏越し・冬越しの方法
キャットニップ(イヌハッカ)は夏でも耐暑性が高いので、特別に夏越しのための対策は必要としません。
乾燥したら過湿にならない程度に水やりをすることと、日差しが強すぎる場所であれば移動するか日よけをする程度で問題ありません。
キャットニップは耐寒性も高いので温暖地では冬越しの対策は必要ありませんが、霜が降りる地域では、霜が降りる前に種まきをするか、鉢植えにして室内に入れる必要があります。
また、雪が積もる場合は、雪を払って凍結を防ぐと良いでしょう。
キャットニップの増やし方
キャットニップを増やす方法として、次の方法をご紹介します。
- 挿し木・挿し芽で増やす方法と時期
- 株分けで増やす方法と時期
挿し木・挿し芽で増やす方法と時期
キャットニップ(イヌハッカ)は挿し木・挿し芽で増やすことができます。挿し木・挿し芽で増やす方法は以下のとおりです。
増やし方 | やり方 |
挿し木 | 新芽が出ていない健康な枝から10cm~15cm程度の長さに切って取ります。葉を半分程度落としてから水苔などに挿します。発根までは日陰に置きます。発根したら鉢植えか地植えに移植します。 |
挿し芽 | 新芽が出ている健康な枝から5cm~10cm程度の長さに切って取ります。葉を2~3枚残してから水苔などに挿します。発根までは日陰に置きます。発根したら鉢植えか地植えに移植します。 |
なお、挿し木・挿し芽でキャットニップを増やす時期は、春から秋まで(気温が高すぎる夏場を除く)が適しています。
株分けで増やす方法と時期
キャットニップ(イヌハッカ)は株分けで増やすこともできます。株分けで増やす方法と時期は以下のよおりです。
植え付け方 | やり方 |
地植えの場合 | スコップなどで株元から2~3個に分割します。それぞれ新しく穴を掘って植え付けます。 |
鉢植え・プランターの場合 | 鉢から抜き取って根球を2~3個に分けます。それぞれ新しい用土を入れた鉢に植え付けます。 |
なお、株分けで増やす方法も、気温が高過ぎる夏場を避けた春から秋までが適しています。
収穫時期と方法
キャットニップは春から秋口までの間で生育の良い時期であれば、いつでも収穫ができるハーブです。
葉や茎を摘んで利用しますが、花を楽しむよりも香りを重視するなら開花する前に収穫したほうが良い香りを楽しめます。
収穫時期と方法は以下のとおりです。
- 葉や茎を摘む
- 乾燥させる
- 刈り取る
キャットニップの葉や茎は、株元から10cmほど上の部分を摘み取ります。摘んだ部分は水洗いして汚れや虫を落とします。
生でも利用できますが、乾燥させて保存することもできます。乾燥させる場合は、茎ごと切り取って束ねて風通しの良い日陰に吊るします。
完全に乾燥したら、葉を茎からはがして密閉容器に入れて保存します。
乾燥させて保存する場合は、つぼみがつき始める4月下旬~5月上旬にかけて、株元から株全体を刈り取るようにして収穫します。刈り取った株は同じく乾燥させて保存します。
キャットニップのハーブティーの効果についてはこちらのページで詳しくお伝えしています。
キャットニップの育て方に関するQ&A
ここでは、キャットニップ(イヌハッカ)の育て方に関するQ&A(質問&回答)を紹介します。
- 繁殖力が強くて増えすぎるハーブなの?
- 猫が喜ぶキャットニップの香りで野良猫や犬が寄ってくる?
- 枯れる主な原因は?
- 気を付けるべき病害虫は?
- 苗はホームセンターに売ってる?
上記の問いについて詳しく回答していますので、参考にしてみてくださいね。
繁殖力が強くて増えすぎるハーブなの?
キャットニップは繁殖力が強くて増えすぎるハーブというイメージがありますが、実際はそうでもありません。
キャットニップは種子や根から簡単に増えることができますが、適切な管理をすればコントロールすることができます。
繁殖をコントロールするには以下のような対策が有効です。
- 花が咲いたら摘み取って種子を飛ばさないようにする。
- 根が広がらないように鉢植えやプランターで育てる。
- 地植えの際は根をネットに入れて植え付ける
猫が喜ぶキャットニップの香りで野良猫や犬が寄ってくる?
結論から書くと、キャットニップを植えていても野良猫や犬が寄ってくることはあまりありません。
キャットニップに含まれるネペタラクトンという成分が、猫の脳に作用して興奮やリラックスなどの効果をもたらすため、キャットニップの香りを嗅いだ猫はキャットニップのある場所に引き寄せられるのは確かです。
しかし、キャットニップに対する感受性は遺伝的なものであり、すべての猫が反応するわけではなく、キャットニップに反応する猫でも個体差や気分によって反応の強さが異なります。
また、犬にとってはキャットニップの香りは特別なものとして感じません。たまにキャットニップに含まれるマグネシウムやビタミンなどの栄養素が犬の健康に良い影響を与えることから香りを好むケースもありますが、それほど多くありません。
ちなみに、イヌハッカの「イヌ」は動物の犬ではありません。昔は、似非(えせ)の意味合いで使われていた「イヌ」から来ており、「似非ハッカ」という意味から名付けられたものとされています。
枯れる主な原因は?
キャットニップが枯れる主な原因は以下のとおりです。
枯れる理由 | |
水不足 | 水不足になると葉がしおれたり黄色くなったりします。水やりは土が乾いたら行うようにしましょう。 |
水過多 | 水過多になると根腐れや茎腐れを起こしたりします。水やりは適度に行います。 |
日光不足 | 日光不足になると葉が伸びすぎたり色あせたりします。日当たりの良い場所に置きます。 |
寒さ | 寒さに弱く、霜や雪に当たると枯れてしまいます。冬場は室内や温室などに移動させます。 |
害虫や病気 | 次の項で詳しくお伝えします。 |
気を付けるべき病害虫は?
キャットニップ栽培で気を付けるべき病害虫は以下のとおりです。
病害虫 | 特徴と対処法 |
アブラムシ | 葉裏や茎先に集まって吸汁します。葉がしおれたり変形したりします。手で取ったり水洗いしたりします。 |
カイガラムシ | 茎や葉に茶色や黒色の甲羅状の虫体をつけて吸汁します。葉が黄色くなったり落ちたりします。爪楊枝などで取ったりアルコールで拭いたりします。 |
灰色かび病 | 茎や葉に灰色のカビが生えます。湿度が高いと発生しやすいです。感染部分を切除したり殺菌剤を散布したりします。 |
立枯れ病 | 茎の基部から黒変して枯れてしまいます。水過多や根腐れが原因です。感染部分を切除したり用土を交換したりします。 |
苗はホームセンターに売ってる?
キャットニップの苗はホームセンターに売っているところもあります。ただし、季節や店舗によって在庫が異なることもあるのでご注意ください。
また、同じイヌハッカ属で名前も似ているキャットミントと間違えることもあるので注意してください。(キャットミントは観賞用で食用にはできません)
キャットニップの苗を購入する場合は以下の点に注意してください。
- 健康そうで新鮮な苗を選ぶ。
- 根詰まりしていない苗を選ぶ。
- 葉や茎に害虫や病気の跡がない苗を選ぶ。
- キャットニップと表示されている苗を選ぶ。
まとめ:キャットニップ(イヌハッカ)の育て方のポイント
この記事では、キャットニップ(イヌハッカ)の育て方について紹介しました。
キャットニップは、猫に嗅がせると興奮したりリラックスしたりする効果があるハーブです。自宅で育てることができますし、猫にとっても人間にとってもメリットがたくさんあります。
自宅で育てるには、種まきから収穫までに以下のポイントを押さえておくと良いでしょう。
- 種まきは春から夏にかけて行う
- 日当たりの良い場所に植える
- 水やりは土が乾いたら行う
- 肥料は月に一回程度与える
- 花が咲いたら摘む
- 収穫は茎から切って行う
キャットニップを育てることは難しくありません。少しの手間で、愛猫の健康や幸せに貢献することができます。ぜひチャレンジしてみてくださいね。