クラリセージ(サルビア・スクラレア)は、セージの仲間で、地中海沿岸から中央アジアにかけてが原産のハーブです。和名は「オニサルビア(鬼サルビア)」といい、その名のとおり葉も花穂も大きく、存在感のある植物です。
香りがとても良く、アロマテラピーにも使われます。「女性に寄りそう香り」と形容されることもある、やさしい香りが魅力です。
この記事では、クラリセージの種まきや苗の植え付けなど、基本的な育て方を解説します。耐暑性・耐寒性ともにあり育てやすい植物なので、ぜひ栽培の参考にしてみてくださいね。
クラリセージとは|基本情報
クラリセージは、シソ科アキギリ属(サルビア属)の二年草(越年草)です。1年目に葉を茂らせ、2年目に花を咲かせて結実し、その後は枯れるという生活サイクルを持ちます(詳しくは後述します)。
草丈は1~1.5mほどに大きく育ち、初夏に長い花穂を立ち上げて、白や淡い藤色の花と、ピンク色の苞(ほう)を楽しませてくれます。花や葉から採れる精油は、香料やアロマテラピーに利用されます。
| 分類 | シソ科アキギリ属(サルビア属) |
|---|---|
| 学名 | Salvia sclarea |
| 和名・別名 | オニサルビア(鬼サルビア)、クラリーセージ |
| 原産地 | 地中海沿岸~中央アジア・ヒマラヤ西部 |
| 性質 | 二年草(越年草) |
| 草丈 | 約1~1.5m |
| 開花期 | 5月~7月ごろ |
| 花色 | 白・淡い藤色(苞はピンク~白緑色) |
| 耐寒性/耐暑性 | 耐寒性は強い(-18℃程度)/高温多湿は苦手 |
| 用途 | 観賞、芳香(精油・ポプリ)、一部食用 |
クラリセージ栽培に適した環境づくり
クラリセージは、日当たりがよく乾燥した環境を好みます。寒さに強く-18℃程度まで耐えられますが、高温多湿は苦手なので、涼しく風通しのよい場所が向いています。
用土づくり
水はけのよい土を好み、やや乾燥気味の環境を好みます。酸性が強い土や過湿を嫌うので、中性寄りで水はけのよい土を用意しましょう。
鉢植えは、市販のハーブ用・草花用培養土でも構いませんが、水はけが悪い場合は砂やパーライトを混ぜて改善します。自分で配合するなら、赤玉土・腐葉土・パーライトを6:3:1の割合が目安です。
地植えは、あらかじめ植え場所に堆肥や腐葉土をすき込んで耕しておきます。水はけが悪い場合は川砂も加えます。酸性土の中和には、苦土石灰や、籾殻くん炭・草木灰を混ぜるのも有効です。
水やりと肥料の与え方
乾燥には強いものの、極端な水不足では葉がしおれるので、土が乾いたら水を与えます。
ただし過湿は根腐れを招くため、水やりは控えめにします。特に夏は暑さと湿気で根腐れしやすいので注意が必要です。冬は水分が凍らないよう気をつけます。
肥料は生育期に月1~2回ほど液体肥料を与える程度で十分です。開花期には、花色をよくするためにリン酸分の多い肥料を与えるのもよいでしょう。
種まきの時期と方法
発芽適温は20℃前後なので、種まきは春(3~4月ごろ)か秋(9~10月ごろ)が適期です。
- 育苗ポットにバーミキュライトや赤玉土を入れて平らにする
- 種を3~4粒、重ならないようにまく
- 薄く土をかけて軽く押さえる
- 霧吹きで水を与えて土を湿らせる
- 直射日光を避け、風通しのよい場所に置く
- 土が乾いたら水やりをして管理する
- 1~2週間で発芽したら、少しずつ日光に慣らす
- 必要に応じて間引きをする
- 1か月ほどで本葉が4~5枚になったら、鉢植えや地植えに移す
地植え(植え付け)の時期と方法
クラリセージは地植えにすると大きく育ち、花も豊富に咲かせます。
地植えの適期は、春(3~5月)か秋(9~10月)です。気温が穏やかで根が張りやすい時期です。夏は暑さと湿気で根腐れしやすく、冬は寒さで水分が凍る恐れがあるため避けます。
- 日当たりと風通しのよい場所を選ぶ
- 堆肥や腐葉土をすき込んで耕す
- 水はけが悪い場合は川砂を加える
- 必要に応じて苦土石灰・籾殻くん炭・草木灰で酸度を調整する
- 苗と同じくらいの深さ・幅の穴を掘る
- 株間は30~40cmほどあける
- 苗を抜き取り、根を軽くほぐす
- 穴に入れて土をかぶせ、しっかり押さえる
- 植え付け後はたっぷり水やりをする
- その後は土が乾いたら水やりをする程度に管理する
鉢植え・プランターで育てる方法
クラリセージは鉢植えやプランターでも育てられます。
根が張りやすいので、根詰まりを防ぐため、深さ・幅とも20cm以上の鉢を選びます。素焼きのテラコッタ鉢や陶器鉢など、水はけ・通気性のよいものがおすすめです。
鉢底に穴があることを確認し、鉢底ネットや鉢底石を敷いておきましょう。大きく育つので、倒れ防止に支柱を立てておくと安心です。
植え替えの時期と方法
鉢植え・プランターで育てる場合、根詰まりを防ぐために、春(3~5月)か秋(9~10月)に植え替えます。
- 新しい鉢の底に鉢底ネットや鉢底石を敷く
- 新しい用土を入れる
- 古い鉢から苗を抜き取り、周りの土を1/3ほど落とす
- 軽く根をほぐす
- 新しい鉢に入れて土をかぶせる
- 株元をしっかり押さえて固める
- 植え替え後はたっぷり水やりをする
なお、クラリセージは二年草のため、苗から育てた株は2年目の開花後に寿命を迎えます。植え替えは主に、1年目の苗を生育に合わせて移す目的で行います。
クラリセージの花が咲く時期と香り・花言葉
クラリセージは5~7月ごろ、1~1.5mほどに伸びた茎の先に、白や淡い藤色の花とピンク色の苞を咲かせます。花そのものは小さめですが、色づいた苞が長く残るため、見応えがあります。
花と葉には強い芳香があり、ここから精油が採れます。香りはハーブ調にフルーティーな甘さが混じる独特なものです。
花言葉は「澄んだ」「透明な」など。「清らかな心」といった意味も伝えられています。
クラリセージは古くから女性に親しまれてきたハーブで、主成分のスクラレオールは女性ホルモンに似た働きをするとされ、リラックスを目的にアロマテラピーで用いられています。
※精油を利用する際の注意:クラリセージの精油には通経・子宮収縮にかかわる作用があるとされ、一般に妊娠中の使用は避けるよう注意が呼びかけられています。また鎮静作用があるため、運転前や飲酒時の使用も控えるのが無難です。利用にあたっては製品の注意書きに従い、心配な場合は専門家に相談しましょう。
室内での育て方
クラリセージは日当たりと水はけのよい場所を好みます。室内栽培は基本的に鉢植えと同じですが、次の点に注意します。
- 日光が十分に当たる、窓辺など明るい場所に置く
- 冬は暖房器具から離れた場所に置く
- 水やりは、土の表面がしっかり乾いたらたっぷりと行う
- 肥料は、春と秋に一度ずつ緩効性肥料を与える
剪定・切り戻しの方法と目的・時期
クラリセージは、剪定・切り戻しで草姿と風通しを整えます。主な目的は次のとおりです。
| 目的 | ポイント |
| 枝数を増やす | 切り戻した茎から新しい芽が出て分枝が増え、株がふさふさと見栄えよくなります。 |
| 花付きをよくする | 分枝した茎それぞれに花が咲くので花数が増えます。咲き終わった花を切ると、種づくりに使うエネルギーを節約できます。 |
| 風通しをよくする | 茎葉が密集すると湿気がこもり、病害虫の原因になります。不要な枝を切って風通しを確保します。 |
切り戻しの時期の目安は以下のとおりです。
| 時期 | ポイント |
| 春(3~4月) | 冬に傷んだ枝を切り落とします。伸びすぎた枝や頂芽を摘んで分枝を促します。 |
| 夏(6~7月) | 花が咲き終わったら花穂ごと茎を切り戻します。密集した部分は透かして風通しをよくします。 |
夏越しの注意点
クラリセージは高温多湿や蒸れに弱い植物です。真夏の暑さ自体には耐えますが、水はけの悪い土や雨の多い環境では根腐れや病気の原因になります。
| 注意点 | 補足 |
| 水やりは控えめに | 土の表面が乾いたら与えますが、頻度は少なめにします。過湿にならないよう、水切れしない程度に調整しましょう。 |
| 風通しをよくする | 茎葉が密集したら切り戻しで透かします。鉢植えは鉢同士の間隔をあけて置きます。 |
| 強すぎる日差しを避ける | 直射日光が強すぎると葉焼けすることがあります。その場合は半日陰へ。ただし日陰すぎると花付きが悪くなるので、午前中は日が当たるようにすると良いでしょう。 |
耐寒性と冬越しの方法
クラリセージは耐寒性のある二年草で、-18℃程度まで耐えられるため、関東以南の暖地では地植えのまま冬越しできます。
寒冷地や、マイナスの気温まで下がる地域では、株元にマルチングをして根を保護すると安心です。鉢植えなら、寒さの厳しい時期は室内に取り込むとよいでしょう。
1年目に育てた株は、冬を越して2年目に開花します。冬の間に地上部が傷んでも、根が生きていれば春に再び生育を始めます。
クラリセージは二年草|生活サイクルと種とり
クラリセージは「二年草(越年草)」です。種をまいた1年目は主に葉を茂らせて株を育て、冬を越した2年目の初夏に花を咲かせ、種を実らせると一生を終えます。
そのため、コモンセージのように同じ株が何年も育つわけではありません。毎年クラリセージを楽しみたい場合は、次のいずれかの方法で世代をつないでいきます。
- 花後に種を採取し、適期にまいて新しい株を育てる
- こぼれ種から自然に芽が出るのを活かす(環境が合えば、こぼれ種でも増えます)
開花を見越して、1年ずらして種まきをしておくと、毎年花を切らさずに楽しめます。
挿し木によるクラリセージの増やし方
クラリセージは種まきのほか、挿し木でも増やせます。適期は5月から7月ごろです。
- 今年伸びた元気な新芽を10~15cmほど切り取り、切り口を斜めにカットする(発根促進剤をつけると発根が早まります)
- 先端の葉を2~3枚残し、他は落とす
- 割りばしなどで土に穴を開けてから挿し穂を挿す(用土は赤玉土やバーミキュライトなど肥料分のない清潔な土)
- 直射日光を避けた明るい場所に置き、土を乾かさないよう水やりをする
1か月ほどで発根し、本葉が4~5枚出たら鉢上げします。鉢上げ後は日当たりのよい場所へ移しましょう。
収穫の時期と方法
クラリセージは生育期に葉を収穫できます。特に蒸れやすい6~7月の梅雨どきは、剪定を兼ねて収穫すると風通しもよくなり一石二鳥です。
香りが高まる朝か午前中の収穫がおすすめです。葉は枝の付け根から切り取ります。
収穫した葉は、そのまま使うほか、乾燥保存もできます。
- 収穫した枝を束ねて、風通しのよい日陰に吊るす
- 1週間ほどで乾いたら、葉を枝からはずして保存容器に入れる
- 密閉容器に入れ、冷暗所で保管する
なお、葉はフリッターやスープの具として食用にされることもありますが、主に香りを楽しむハーブです。精油を利用する際は、前述の安全上の注意(妊娠中・運転前・飲酒時は避ける)にご留意ください。
まとめ:クラリセージの育て方のポイント
クラリセージ(オニサルビア)は、初夏に大きな花穂と色づいた苞を楽しめる、存在感のあるハーブです。
育てるポイントは、日当たりがよく水はけのよい土でやや乾燥気味に育てること、剪定・切り戻しで風通しを保つこと、そして高温多湿の夏に注意することです。
二年草なので同じ株は2年で一生を終えますが、種まきやこぼれ種で世代をつなげば、毎年その香りと花を楽しめます。
特別に難しい植物ではないので、ポイントを押さえてクラリセージ栽培に挑戦してみてくださいね。