クラリセージ(サルビア スクラレア)はセージの仲間で、南ヨーロッパ原産のハーブです。
葉も花も大きく存在感のある植物ですが、香りもとても良く、アロマテラピーなどにも使われます。
この香りは「女性に寄りそう香り」と形容されるほど優しい香りがするので、自分でも育ててみたいという方はきっと多いと思います。
この記事では、クラリセージの種まきや苗の植え付け方法など、基本的な育て方をご紹介します。クラリセージは耐暑性も耐寒性も高いので育てるのは難しくありませんので、育てる際の参考にしてみてくださいね。
クラリセージ栽培に適した環境づくり
クラリセージ(サルビア スクラレア)は南ヨーロッパ原産の植物で、日当たりがよく乾燥した土地で生育できます。
低温に強く-18℃の環境下でも生育できますが、高温多湿の条件には弱く涼しく風通しのよい場所を好みます。
用土づくり
クラリセージは水はけと保湿性に優れた土を好みます。また、酸性が強い土や過湿を嫌うので、中性寄りの土や水はけの良い土を使うのが望ましいでしょう。
鉢植えの場合は、市販のハーブ用培養土や草花用培養土を使っても構いませんが、水はけが悪い場合は砂やパーライトを混ぜて改善しましょう。自分で用土を作る場合は、赤玉土と腐葉土、パーライトを6:3:1の割合で混ぜると良いです。
地植えの場合は、あらかじめ植え場所に堆肥や腐葉土をすき込んで耕しておきます。水はけが悪い場合は川砂も加えてください。
また、酸性土の中和のために苦土石灰を施したり、用土に籾殻くん炭や草木灰を混ぜたりするのも有効です。
水やりと肥料の与え方
クラリセージは乾燥に強い植物ですが、水不足になると葉がしおれてしまうため、水やりは土が乾いたら行うようにしましょう。
ただし、過湿によって根腐れを起こしてしまうので、水やりは控えめにします。
特に夏場は暑さと湿度で根腐れしやすくなるので注意が必要です。冬場は寒さで水分が凍ってしまわないように注意してください。
肥料は生育期に月に1~2回程度液体肥料を与えると良いです。開花期には花色を良くするためにリン酸系の肥料を与えると良いです。
種まき時期と方法
クラリセージ(サルビア スクラレア)が発芽しやすい温度は気温20℃前後なので、種まき時期は、春(3~4月頃)か、秋(9~10月頃)が適期です。
種まき方法は次のとおりです。
- 育苗ポットにバーミキュライトや赤玉土を入れて平らにする。
- 種を3~4個ずつ重ならないように蒔く。
- 上から薄く土をかけて軽く押さえる。
- 霧吹きで水を与えて土を湿らせます。
- 直射日光を避けて風通しの良い場所に置く。
- 土が乾いたら水やりをして管理する。
- 種まきから1~2週間して発芽したら日光に当てて徐々に慣らす。
- 必要に応じて間引きをする。
- 1ヶ月ほどで本葉が4~5枚になったら、鉢植えや地植えに移す。
地植えの時期と方法
クラリセージは、鉢植えだけでなく庭や畑などに地植えすることもできます。地植えにすると、より大きく育ち花も豊富に咲かせることができます。
地植えの時期は、春(3〜5月)か秋(9〜10月)が適期です。この時期は気温が適度で、根がしっかりと張ることができます。
夏は暑さと湿気で根腐れしやすく、冬は寒さで水分が凍ってしまう恐れがあるので避けましょう。
クラリセージの地植えの方法は以下のとおりです。
- 日当たりと風通しの良い場所を選ぶ。
- 堆肥や腐葉土をすき込んで耕しておく。
- 水はけが悪い場合は川砂を加える。
- 酸性土の中和のために必要に応じて苦土石灰、籾殻くん炭や草木灰を混ぜる。
- 苗と同じくらいの深さと幅の穴を掘る。
- 苗同士の間隔は30〜40cm程度空ける。
- 鉢から苗を抜き取り、根をほぐす。
- 穴に苗を入れて土をかぶせ、しっかりと押さえる。
- 植え付け後はたっぷりと水やりをする。
- 土が乾いたら水やりする程度で管理する。
鉢植え・プランターで育てる方法
クラリセージは、地植えだけでなく鉢植えやプランターで育てることもできます。
根が張りやすいので、根詰まりを防ぐために深さと幅が20cm以上の鉢やプランターを選びます。素焼きのテラコッタ鉢や陶器鉢など、水はけの良いものがおすすめです。
鉢底には穴があることを確認し、鉢底ネットや鉢底石を敷いておきましょう。
植え替え時期と方法
クラリセージを鉢植えやプランターで育てる場合は、1~2年に1回、春(3~5月)か秋(9~10月)に植え替えを行います。
植え替えは、根詰まりを防ぎ根の生育を促進するために必要です。
植え替えの方法は以下のとおりです。
- 新しい鉢やプランターに鉢底に鉢底ネットや鉢底石を敷く。
- 新しい用土を入れる。
- 古い鉢やプランターから苗を抜き取り、周りの土を1/3ほど落とす。
- 軽く根をほぐす。
- 新しい鉢やプランターに苗を入れて土をかぶせる。
- 手でしっかりと株元を押さえて固める。
- 植え替え後はたっぷりと水やりをする。
クラリセージの花が咲く時期と香り・花言葉
クラリセージは、5~7月に高さ1~1.5mほどに伸びた茎の先端に、ピンク色の苞(ほう)と白や紫の花を咲かせます。
花は小さく目立ちませんが、苞は長く残ります。
花と葉には強い芳香があり、精油が採れます。香りはハーブ調でフルーティーな甘い匂いがする独特なものです。
クラリセージの花言葉は、「澄んだ」「透明な」です。「清らかな心」「清浄な魂」「清潔な生活」などの意味もあります。
クラリセージは古くから女性を幸せな気分にするとして民間療法で用いられてきました。精油には、女性ホルモンに似た働きがあり、生理痛や更年期障害の緩和に効果があるとされています。
室内での育て方
クラリセージは、日当たりがよく、水はけのよい場所を好みます。
基本的には鉢植・プランターで育てる方法と同じで構いませんが、室内で育てる場合の注意点は以下のとおりです。
- 日光を十分に与えるため、窓辺など明るい場所に置く。
- 冬は暖房器具から離れた場所に置く。
- 水やりは、土の表面がしっかり乾いたらたっぷりと行う。
- 肥料は、春と秋に一度ずつ緩効性肥料を与える。
剪定・切り戻しする方法と目的・時期
クラリセージは、剪定や切り戻しを行う必要があります。
それぞれの目的は以下のとおりです。
目的 | ポイント |
枝数を増やす | 切り戻した茎から新しい芽が出て分枝が増えます。これにより、株がふさふさとして見栄えがよくなります。 |
花付きをよくする | 分枝した茎にはそれぞれ花が咲くので花数が増えます。また、咲き終わった花を切り戻すことで種を作るエネルギーを節約できます。 |
風通しをよくする | 茎葉が密集していると湿気がこもって病気や害虫の発生を招きます。不要な枝を切り戻すことで、風通しを確保できます。 |
株の若返りを図る | 数年経った太い枝は花付きが悪くなったり弱ったりすることがあります。根元から切り詰めて若い枝を出させることで、株の活力を高めます。 |
クラリセージの切り戻しの時期は、以下のとおりです。
時期 | ポイント |
春(3~4月) | 冬に枯れた枝や傷んだ枝を根元から切り落とします。また、伸びすぎた枝や茎先の頂芽を摘むことで分枝を促します |
夏(6~7月) | 花が咲き終わったら花穂ごと茎を切り戻します。これにより、秋に再び花を咲かせることができます。また、茎葉が密集している部分は透かすように切って風通しをよくします。 |
秋(9~10月) | 夏に伸びた枝や弱った枝を根元から切り落とします。これにより冬越しに備えて株の強度を高めます。 |
夏越しの注意点
クラリセージは高湿度や蒸れに弱い植物です。真夏の暑さには耐えられますが、水はけの悪い土や雨の多い地域では根腐れや病気の原因になります。
夏越しには、以下の点に注意しましょう。
注意点 | 補足 |
水やりは控えめにする | 土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えますが、頻度は少なくします。特に鉢植えの場合は、鉢底から水が出るまで与えると過湿になります。水切れを起こさない程度に水やりを調節しましょう。 |
風通しをよくする | 日当たりの良い場所に植えても、茎葉が密集して風通しが悪くなることがあります。その場合は、切り戻しで枝を透かすように切って風通しをよくします。また、鉢植えの場合は、鉢同士の間隔を空けて置くようにします。 |
日陰に移動する | 直射日光が強すぎる場所では、葉焼けや枯れることがあります。その場合は、半日陰の場所に移動させましょう。ただし、日陰すぎると花付きが悪くなりますので、午前中だけ日光が当たるようにするといった工夫をすると良いです。 |
耐寒性と冬越しの方法
クラリセージは耐寒性多年草で、最低気温が-18℃前後まで耐えられるので、関東南部などの暖地では地植えでも問題なく冬越しできます。
ただし、北海道などの寒冷地では-18℃を下回ることもあるので、室内に取り込んで冬越しをした方が良いでしょう。
最低気温が-10℃までいかなくてもマイナスに近い気温まで下がる地域では、地植えでも根が凍る可能性があるので、マルチングをして冬越しさせることをおすすめします。
挿し木によるクラリセージの増やし方
クラリセージは種まき以外にも挿し木で増やすことができます。挿し木で増やす適期は5月から7月頃です。
まずは、挿し穂として今年伸びた元気のよい新芽を10~15cmほどの長さに切り取り、切り口を斜めにカットします。(切り口に発根促進剤をつけると発根が早くなるのでおすすめです。)
枝の先端に付いている葉を2~3枚残して他は切り落とします。
切り口を傷めないように、割りばしなどの細い棒で穴を開けてから挿し穂を土に挿します。用土は赤玉土やバーミキュライトなど肥料分のない新しい土がおすすめです。
挿し木した鉢は直射日光の当たらない明るい場所に置き、 用土が乾かないように水やりをして管理します。
約1ヶ月ほどすると発根し、そのまま本葉が4~5枚出たら鉢上げします。 鉢上げしたら、日当たりのよい場所に移しましょう。
収穫時期と方法
クラリセージは、4月から10月まで長い期間収穫できますが、6月や7月などの梅雨時は湿気が多いために根元が腐りやすくなるため、剪定を兼ねて収穫するとよいでしょう。
収穫は香りが良くなるため朝か午前中がおすすめです。葉は枝の付け根から切り取ります。
収穫したクラリセージは、そのまま使うか、乾燥させて保存することができます。乾燥させる場合は、以下の手順を参考にしてください。
- 収穫した枝を束ねて、風通しのよい日陰に吊るす。
- 1週間ほどで乾燥するので、葉を枝からはずして保存容器に入れる。
- 保存容器は密閉できるものを選び、冷暗所に保管する。
まとめ:クラリセージの育て方のポイント
この記事では、クラリセージの育て方についてご紹介しました。
ポイントとしては、日当たりが良く水はけと保湿性に優れた中性寄りの土で育てること、剪定や切り戻しによって風通しの良い状態を保つこと、適切な夏越し・冬越しの対策が必要となります。
特に難しいことは必要ではありませんので、ポイントを押さえてクラリセージ栽培に挑戦してみていただきたいと思います。