サントリナ(和名:綿杉菊(ワタスギギク))は、銀白色の葉と黄色い花が美しいハーブです。
地中海沿岸原産で、乾燥した気候を好みます。葉には防虫効果があり、コンパニオンプランツやドライフラワーとしても人気があります。
また、ローズマリーやラベンダーなどと同じように、良い香りがある(コットンラベンダーやラベンダーコットンという別名があるほど)ので、リラックス効果も期待できます。
この記事では、サントリナの育て方について、地植え・剪定の方法や木質化の対処法などを詳しく解説します。 サントリナを上手に育てて、庭やベランダを彩りましょう。
サントリナ栽培に適した環境づくり
サントリナは、日当たりと風通しが良く乾燥気味の土地を好む植物です。
栽培に適した環境づくりのポイントをまとめました。
用土づくり | 水はけの良い土が好み多湿を嫌うので水はけの良い用土を用意します。地植えと鉢植えに適した用土については、それぞれの育て方の項をご参照ください。 |
水やり | 地植えの場合は水やりをする必要はありません。鉢植えの場合は乾燥気味に管理し、土が乾いてから水やりをしましょう。多湿が嫌いなので、受け皿に水が溜まっている場合にはすぐに捨てます。 |
肥料 | 地植えの場合は、ほとんど肥料をあげる必要はありません。鉢植えの場合は、春と秋に緩効性の化成肥料か堆肥などの有機質肥料を施します。液体肥料なら年4回くらいで十分です。高温多湿の夏場は株が弱りやすいので、肥料を与えてはいけません。 |
地植えの時期と方法
サントリナの地植えは、真夏と真冬以外ならいつでもできますが、適期は4~5月、9月下旬~10月です。
用土は水はけが良ければそれほど選びませんが、好ましい状況を作るのであれば赤玉土4:鹿沼土3:腐葉土3の配合土を使うと良いでしょう。
地植えの方法は次のとおりです。
- 植え穴は鉢よりも一回り大きく掘る。
- 根鉢を崩さないように優しく抜き取る。
- 深植えしないように注意し、周りに土を足して苗を安定させる。
- (複数植える場合)風通しをよくするために株同士の間隔を30~50cm空ける。
- たっぷりと水やりをします。
鉢植え・プランターで育てる方法
サントリナは地植えだけでなく、鉢植えやプランターでも栽培は可能です。
鉢植えやプランターで育てる場合のポイントは、以下のとおりです。
用土 | サントリナは水はけの良い用土を好みます。市販の草花用やハーブ用の培養土か、赤玉土4:腐葉土3:川砂3の割合で配合した土を使用します。 |
鉢 | サントリナは根が張りやすいので、根詰まりしないように苗よりも一回り大きな鉢を選びます。鉢底に穴があることを確認し、鉢底石を敷いて水はけを良くします。 |
植え付け | 真夏と真冬を避けて植え付けます。4~5月か9月下旬~10月が適期です。鉢の縁から下2~3cmのところまで土を入れたら、苗を植えて周りに土を足して苗を安定させます。深植えしないように注意し、植え付け後はたっぷりと水やりをします。 |
置き場所 | 日当たりと風通しの良い場所で育てます。耐寒性は強いですが高温多湿は苦手なので、夏場は直射日光が当たらない半日陰の場所に移動させます。 |
管理 | 水やりは用土が乾いたら行いますが、多湿にならないように注意します。肥料は春と秋にそれぞれ1回ずつ置き肥をするか、2週間に1回くらいのペースで液体肥料を施します。 |
剪定 | サントリナは枯れた花や葉っぱをこまめに摘み取ります。また、5~7月に枝葉の混み合ったところを大胆に刈り込んで風通しをよくします。 |
サントリナは根詰まりや用土の劣化で生育が悪くなるので、春か秋に一回り大きな鉢に植え替えると良いでしょう。
植え替えについては次の項をご参照ください。
植え替え時期と方法
サントリナは鉢植えやプランターで育てる場合、根詰まりや用土の劣化で生育が悪くなることがあります。
そのため、定期的に植え替えを行って根や土の状態を整えることが大切です。
植え替えの時期は植え付けと同様に、真夏と真冬を避ければ問題ありませんが、3~5月か9月下旬~10月が適期です。
植え替えの方法は、以下のとおりです。
- 水やりをしてから鉢から苗を取り出す。
- 根が張り付いている場合は、鉢を叩いてほぐす。
- 根鉢の周囲を軽くほぐして古い土や枯れた根を取り除く。
- 根全体の1/3くらいをハサミで短く切る。
- 根が短くなると吸い上げる水の量が減るので、枝や葉も1/3ほど切り落とす。
- 新しい鉢に鉢底石を敷き、鉢の縁から下2~3cmのところまで用土を入れる。
- 苗を植えて周りに土を足して苗を安定させる。(深植えしないように注意する)
- 植え付け後はたっぷりと水やりをする。
サントリナの花が咲く時期と香り・花言葉
サントリナは、初夏から秋にかけて枝先に黄色い小さな花を咲かせます。花の直径は約2cmで花弁はありません。
花の形は頭状花と呼ばれるもので、キク科の特徴的な花です。
サントリナの花には香りはありませんが、葉にはラベンダーとヨモギを合わせたようなさわやかな香りがあります。この香りは虫よけにもなると言われており、乾燥させてリースやポプリにしたり、枕や衣類の中に入れたりすると良いでしょう。
サントリナの花言葉は「悪を遠ざける」「移り気な人」「さりげない魅力」です。「悪を遠ざける」は虫よけ効果に由来すると考えられますが、「移り気な人」や「さりげない魅力」の由来は不明です。サントリナは8月3日の誕生花でもあります。
サントリナの花が咲かない時の対処法
サントリナの花が咲かない時は、以下のような原因が考えられます。
対処法と併せてまとめました。
考えられる原因 | 対処法 |
日当たりが悪い | より明るい場所に移動させましょう。サントリナは直射日光を好みますが真夏の暑さには弱いので、半日陰にするか遮光板を使って日光を遮ると良いでしょう。 |
水やりが多すぎる | 土の表面が乾いてから水やりをするようにしましょう。サントリナは乾燥に強く、水はけの良い用土を好みます。多湿になると根腐れや病気の原因になります。 |
肥料が足りない | 肥料が足りない場合は開花期前の4~5月と10~11月に液体肥料を与えましょう。サントリナは肥料切れになると花芽をつけにくくなります。鉢植えの場合は置き肥をすると便利です。 |
剪定が不十分 | 枝葉の混み合ったところを大胆に刈り込んで風通しを良くしましょう。適期は5~7月頃です。サントリナは生育が旺盛で、枝葉が密集すると花芽が出にくくなってしまいます。 |
室内での育て方
サントリナを室内で育てる場合は、以下のようなポイントに注意してください。
日当たりが十分にある場所に置く | サントリナは地中海沿岸に自生する植物で、直射日光を好みます。室内で育てる場合は、南向きの窓辺など日当たりの良い場所に置くようにします。真夏の暑さには弱いので、午後から日陰になるか遮光板を使って日光を遮ると良いでしょう。 |
水やりは土が乾いたらする | サントリナは乾燥に強く、水はけの良い用土を好みます。室内で育てる場合は水やりのしすぎは根腐れや病気の原因になるので、土の表面が乾いてから水やりをするようにしましょう。 |
肥料は春と秋に与える | 室内で育てる場合も同様に、4~5月と10~11月に液体肥料を与えましょう。夏場は肥料を与えないでください。 |
剪定は5~7月頃にする | 室内で育てる場合も同様に、5~7月に枝葉の混み合ったところを大胆に刈り込んで風通しを良くします。 |
剪定・切り戻しする方法と目的・時期
サントリナは、枝葉が密集すると花芽が出にくくなるだけでなく、蒸れに弱い性質のため風通しの悪い状態が続くと病気にかかりやすくなります。
そのため、サントリナを美しく健康に育てるためには剪定や切り戻しを行うことが大切です。
剪定や切り戻しの目的は、以下のようなものがあります。
- 花芽の形成を促す
- 樹形を整える
- 風通しを良くする
- 病気や害虫の予防をする
- 花後の枯れ枝を取り除く
剪定や切り戻しの方法は、以下のように行います。
- 切る道具は消毒しておく
- 切る部分は斜めに切る
- 切り口は清潔に保つ
- 切った後は水やりや肥料を控える
なお、時期別の剪定・切り戻しの目的と方法は次のとおりです。
初夏(5~7月) | 花後の枯れ枝を取り除き株全体を半分程度に刈り込む。花芽の形成を促すとともに、風通しを良くする。 |
秋(9~11月) | 伸びすぎた枝や混み合った枝を選んで切る。樹形を整えるとともに、冬越しの準備をする。 |
サントリナが木質化した時の対処法
サントリナは常緑性の低木で、葉や茎が銀白色に輝く美しい植物です。
しかし、長く育てると株の下の方が木質化してスカスカになってしまうことがあります。
木質化したサントリナは見た目が悪くなるだけでなく生育も悪くなるため、次のような対処が必要です。
剪定 | サントリナは、花後や秋に刈り込んで枝葉を更新することが大切です。木質化した部分は根元から切り落としてください。 |
挿し木 | 剪定した枝は、挿し木で増やすことができます。真冬と真夏を除いてほぼ周年できますが、元気のよい若い芽の方が発根が早いです。 |
植え替え | 鉢植えの場合は根詰まりや用土の劣化で木質化しやすくなります。春か秋に新しい用土で植え替えると良いです。 |
以上のように、サントリナが木質化した時は、剪定や挿し木、植え替えなどで対処することができます。
夏越しは多湿に注意する
サントリナは耐暑性が高く日差しや乾燥に強い植物ですが、高温多湿には弱い性質があります。
夏場は蒸れに注意して風通し良く管理することがポイントになります。
サントリナの夏越しの注意点は、以下のようなものがあります。
多湿を避ける | 水やりは土が乾いたらたっぷりと行う。多湿を嫌うので、土が湿っているときは水やりを控える |
蒸れを防ぐ | 初夏に花後の枯れ枝を取り除き、株全体を半分程度に刈り込む。蒸れを防ぐとともに、花芽の形成を促す。 |
肥料を与えない | 多肥は根腐れの原因となるため、肥料は与えずに育てる。 |
直射日光を避ける | 直射日光が苦手なので、プランターならば半日陰の場所に移動させる。花壇ならば遮光板を施してきつい日光を遮る。 |
病害虫対策 | アブラムシがつくことがあるので、見つけたらすぐに防除する。 |
耐寒性と冬越しの方法
サントリナは寒さに強い植物で、-15℃までの気温に耐えることができるので、積雪下でも冬越しできます。
サントリナの冬越しの方法は、以下のようなものがあります。
- (鉢植えの場合) 鉢底から水が抜けるようにして、凍結した水が根を傷めることを防ぐ。
- (庭植えの場合) 特に対策は必要ないが、雪が多い地域では雪かきをして株を守る。
- 冬場は水やりや肥料は控え、乾燥気味に管理する。
春になったら、枯れ枝や枯れ葉を取り除き株全体を半分程度に刈り込みます。そうすることで、花芽の形成を促すとともに蒸れを防ぐことができます。
サントリナを挿し木で増やす方法
サントリナの挿し木は、4月~5月か9月~10月が適期です。
挿し木の手順は次のとおりです。
- 元気のよい若い枝の先端を10cmくらい切り取る。
- 下の方の葉を取り除く。
- 水揚げ(挿し穂を1~2時間ほど水に浸ける)する。
- 水はけの良い清潔な土に穴を空ける。
- 空けた穴に挿し穂を挿す。
- 根付くまで明るい日陰で水を切らさないように管理する。
根が充分に出たら切り離して鉢植えや地植えにします。
収穫時期と方法
サントリナは葉や花にさわやかな香りがあり、乾燥させると香りが増す性質があるため、ドライフラワーやポプリとして使わるほか、防虫剤などにも利用されます。
収穫は通年可能ですが、開花時期に特に香りが強くなるため6月~7月に収穫するのがおすすめです。
収穫方法は次のとおりです。
葉の収穫 | 必要に応じて適宜枝先を切り取ります。 |
花の収穫 | 花が咲いたら刈り込みも兼ねて株元からばっさりと切り取ります。花は風通しの良い日陰で逆さに吊してよく乾かしてから利用します。 |
サントリナの育て方に関するQ&A
ここでは、サントリナの育て方に関するQ&A(質問&回答)を紹介します。
- 枯れる原因は?
- 毒性はある?
- サントリナの品種は何がある?
上記の問いについて詳しく回答していますので、参考にしてみてくださいね。
枯れる原因と対策は?
サントリナは高温多湿に弱く、株が蒸れると枯れてしまうことがあるため、次のような対策を行う必要があります。
- 風通しの良い場所で栽培する。
- 水やりは控えめにする。
- 枯れた花や葉っぱはこまめに摘み取る。
- 開花時期の6月~7月に大胆に刈り込む。
- 霜や寒風に当たらないように冬越しする。
毒性はある?
サントリナは、軽い毒性を持つといわれているハーブです。そのため、次のような注意点があります。
アロマテラピーには使わない | 皮膚刺激やアレルギー反応を起こす可能性があると言われています。 |
食用には用いない | サントリナの葉や茎に含まれる成分は胃腸障害や嘔吐などを引き起こすことがあります。 |
ペットが食べないようにする | サントリナを食べたペットは、下痢や嘔吐などの症状を示すことがあります。 |
サントリナの品種は何がある?
サントリナは、キク科ワタスギギク属(サントリナ属)に属する常緑性低木です。サントリナ属には約20種があるといわれますが、一般的に栽培されるのはサントリナ・カマエキパリッスス種(Santolina chamaecyparissus)です。
サントリナ・カマエキパリッスス種には、以下のような品種があります。
ローズマリー・サントリナ | グレーがかった細長い葉と甘い香りが特徴です。黄色い花を咲かせます。 |
グリーン・サントリナ | 鮮やかなグリーン色の葉を持つ品種です。寒さに強く、花壇や寄せ植えの前面に向いています。 |
サントリナ・レモンライム | レモンライム色の葉が美しい品種です。鉢植えや室内栽培におすすめです。 |
まとめ:サントリナの育て方のポイント
サントリナは、日当たりと水はけのよい場所で育てることがポイントです。
水やりは土が乾いたら行い、肥料は春と秋に少量与えます。剪定は開花後に花がらを刈り込み、枝葉が混み合わないようにします。
木質化した部分は切り落とし、挿し木で苗を更新します。
サントリナは、銀白色の葉と黄色い花が美しいハーブで、防虫効果やリラックス効果もあります。 ぜひ、サントリナを育ててみてください。