カレーリーフ(カレーの木・オオバゲッキツ)は、インド料理やタイ料理などのエスニック料理に欠かせないハーブです。
日本ではあまり馴染みのない植物なので、栽培は難しそうに感じるかもしれませんが、いくつかの注意点に気を付けるだけで自宅で簡単に栽培できます。
この記事では、カレーリーフの育て方について、種まき時期や方法、栽培に適した環境や水やりとなど、カレーリーフ栽培のコツを紹介します。
カレーリーフの新鮮な葉をいつでも収穫できるようになるだけでなく、観葉植物としても魅力的なので、是非カレーリーフ栽培に挑戦してみてくださいね。
カレーリーフとは
カレーリーフとは、インドやスリランカが原産のスパイスです。
カレーノキというミカン科の植物の葉で、別名でオオバゲッキツやナンヨウザンショウとも呼ばれます。その名前の通りカレーによく使われるスパイスですが、特にインド料理には欠かせないものとされています。
カレーリーフは、柑橘系の香りとスパイシーな香りを持ち、料理の風味づけに利用されます。生の状態で使用するのが最も良いといわれていますが、日本では乾燥されたものが多く市販されています。乾燥させると香りが弱まるため、油で炒めたり、他のスパイスとブレンドしたりすることで香りを引き出します。
カレーリーフには、滋養強壮や食欲増進、消化促進などの効能があるといわれています。また、殺菌作用や解毒作用、解熱作用などもあるとされています。さらに、白髪予防にも効果があると伝えられており、ココナッツオイルと一緒に頭皮に塗ると良いといわれています。
カレーリーフは、カレー以外にも豆の炒め物やラッサム、チャツネ、サンバルなどのスープやソースにも使えます。また、ピラフやお粥などに入れて風味付けに使うこともできます。ハーブティーにすると香りも味もまろやかになります。
種まき時期と方法
カレーリーフ(カレーの木・オオバゲッキツ)は種から育てることができます。
種まきに適した時期は春(5月)から夏(8月)です。乾燥した種は発芽率が低くなるので、新鮮なものを選びましょう。
種まきの方法は以下のとおりです。
- 種まき用のポット(直径10cm程度のもの)に土を入れる。
- 土を湿らせる。
- 種をポットに1粒ずつ植える。(深さは1cm程度で十分です)
- 種を覆うように土をかぶせる。
- ポットを直射日光が当たらない明るく暖かい場所に置く。
- 土が乾かないように水やりをする。
- 種から発芽する約2週間から1ヶ月間、管理する。
- 発芽したら日光に当てるようにする。(最初は半日陰から始めて徐々に日光量を増やすと良い)
以上でカレーリーフの種まきは完了です。
カレーリーフ栽培に適した環境
種まきを終えた後は、カレーリーフ栽培に適した環境づくりを始めましょう。
カレーリーフは暖かく乾燥した気候に適しています。日本では夏場は屋外で栽培できますが、冬場は室内で管理する必要があります。
日光が大好きなので直射日光が当たる場所に置きますが、真夏の強い日差しは葉焼けの原因になることがあるので、その場合は午前中だけ日光に当てたり、半日陰に移動させたりして調節しましょう。
用土づくり
カレーリーフは水はけの良い用土を好みます。市販の培養土や赤玉土などがおすすめです。また、排水性を高めるためにパーライトやバーミキュライトなどを混ぜることでも対応可能です。
水やり・肥料の与え方
カレーリーフは乾燥耐性が高いですが、完全に乾かすと枯れることがあります。水やりは土の表面が乾いたら行います。一度にたっぷりと与えるよりも、少しずつ頻繁に与える方が良いです。水はけが良いように注意しましょう。
カレーリーフは肥料切れすると葉色が悪くなったり枯れたりすることがあります。肥料は春から秋まで月1回程度与えます。液体肥料や有機肥料などがおすすめです。
鉢植えで育てる方法
カレーリーフは鉢植えで育てることができます。鉢植えで育てる場合で特に注意が必要な点は、鉢の大きさが挙げられます。
カレーリーフは根が深く伸びる傾向があるので、深めの鉢を選びましょう。鉢の素材は陶器やプラスチックなど何でも構いませんが、水はけの良さや重さなどを考慮して選びましょう。
鉢の置き場所は、カレーリーフ栽培の環境の項でもお伝えしたとおり、直射日光が当たる場所に置きましょう。ただし、真夏の強い日差しや冬場の低温に注意しましょう。
次に、カレーリーフの苗の植え替え時期と方法と注意点についてお伝えします。
苗の植え替え時期と方法
カレーリーフは鉢の大きさに合わせて大きくなるので、生育に合わせて植え替えが必要です。植え替えをすることで、根が健康になり、葉の成長や香りも良くなります。
カレーリーフの苗の植え替えは春か秋の気温が20℃以上、30℃以下の時期が適しています。夏は暑すぎて根が傷みやすいですし、冬は寒すぎて根が伸びにくいので避けるようにします。
です。植え替えの方法は以下のとおりです。
- 鉢の底に網と鉢底石を敷き水はけを良くする。
- 新しい鉢に用土を入れる。
- 古い鉢からカレーリーフの苗を抜き取る。
- 新しい鉢にカレーリーフの苗を植え付けて軽く押し固める
- 水抜き穴から水が出るまでたっぷりと水やりをする。
- 日光に当てます。最初は半日陰から始めて徐々に日光量を増やす。
上記の方法で、1~2年に1回程度の頻度で植え替えを行うようにしましょう。
カレーリーフの花が咲く時期
カレーリーフの花は白色で小さくて目立ちませんが、甘い香りがします。
花が咲く時期は春から夏ですが、すぐに咲くことは無く、3年目から4年目くらいに花が咲き始めます。
カレーリーフの花は、そのまま楽しんだり、収穫して料理に使ったりできます。花は生葉と同じようにカレーなどの料理に風味を加えることができます。
室内での育て方
カレーリーフは、冬場や寒冷地では室内で育てる必要があります。室内で育てる場合は以下の点に注意しましょう。
要素 | 注意点 |
日光 | カレーリーフは日光が大好きなので、窓際など明るい場所に置きましょう。ただし、直射日光が当たると葉焼けすることがあるため、その場合はカーテンなどで調節しましょう。 |
気温・室温 | カレーリーフは低温を嫌います。気温が10℃以下になると葉が落ちたり枯れたりすることがあるので、暖房器具などで調節が必要です。 |
湿度 | カレーリーフは乾燥を好みます。室内では湿度が高くなることがあるので、除湿器や換気扇などで調節が必要です。 |
水やり | カレーリーフは乾燥耐性が高いですが、完全に乾かすと枯れることがあります。水やりは土の表面が乾いたら行います。一度にたっぷりと与えるよりも、少しずつ頻繁に与える方が良いです。 |
肥料 | カレーリーフは肥料切れすると葉色が悪くなったり枯れたりすることがあるので、肥料は春から秋まで月1回程度与えます。液体肥料や有機肥料などがおすすめです。 |
剪定・摘心方法と目的・時期
カレーリーフは、剪定や摘心をすることで葉の成長や香りを良くし、樹形も整えることができます。
剪定は生育にとって大切な作業ですが、摘心も同様に重要です。摘心は成長している先端を摘み取ることで、脇芽の発芽成長を促し、枝の数や葉の収穫量を増やすことができます。
カレーリーフは先端優勢(頂芽優勢)という性質を持っており、幹の先端にある芽が優先的に成長するため、枝が伸びすぎて葉が少なくなったり、樹形が乱れたりします。
また、冬に葉や枝が傷むと幹から落ちてしまい、新芽が幹の先端にしか出なくなることもあります。
剪定・摘心をすることで、以下のような効果が期待できます。
- 葉の数や香りを増やす
- 樹形を整える
- 根の健康を保つ
- 花や種子を付ける
- 剪定・摘心の時期
剪定・摘心の具体的な方法は次のとおりです。
- 鋭利なハサミを用意して消毒する。
- 剪定は幹や枝の分岐点(節)より下に葉がついていない部分を切り落とす。
- 剪定は幹や枝が密集している部分を間引きする。
- 剪定は幹や枝の先端にある芽(頂芽)も摘み取る。
- 摘心は成長している先端だけを摘み取る。
- 剪定・摘心した部分から新芽が出るまで水やりを控えめにする。
なお、カレーリーフの剪定・摘心の時期は、春か秋の気温が20度以上、30度以下の時期が適しています。夏は暑すぎて根が傷みやすく、冬は寒すぎて根が伸びにくいため避けるようにします。
目安としては、剪定は1~2年に1回、摘心は暑いうちであればいつでもできますが、特に新芽が出始めた頃がおすすめです。
冬越しの方法
カレーリーフは熱帯地方原産の植物で、寒さに弱く最低気温が5℃以下になると枯れる恐れがあるので冬越しはとても重要になります。
室内で管理する場合は、前述の「室内での育て方」を参考にしてください。
作業 | 冬越しの方法 |
葉の収穫 | 冬になると葉の色や香りが落ちるので、収穫できるだけ葉を収穫しておきましょう。葉柄を付け根から折り取るかハサミで切り取ります。 |
剪定 | 翌年の新芽を早く芽吹かせるためにも、剪定を早めにしておきましょう。剪定は幹や枝の分岐点より下に葉がついていない部分を切り落とします。 |
鉢の置き場所 | 土が凍らないように、室内や温室などに移動させましょう。最低気温が10℃付近になる場合は、室内で管理したほうが安全です |
冬越し中は、土が過乾燥しないように水やりをしますが、葉が少ない状態では水分の消費量が少ないので控えめにしましょう。土が乾いていなければ水やりは不要です。
気温が低くなると葉が黄色くなって落ちることがありますが、これはカレーリーフの自衛反応で、落葉後も根は生きているので心配はいりません。
挿し木で増やす方法と時期
カレーリーフは、挿し木で増やすことができます。挿し木で増やすことで、親株と同じ品種のカレーリーフを手軽に増やせます。
挿し木に適した時期は春から夏です。成長期に挿し木することで、根付きやすくなります。
挿し木で増やす方法は以下のとおりです。
- 挿し木用のポットに土を入れる。(ポットは直径10cm程度のものが適しています)
- 土を湿らせる。
- 親株から枝を切り取る。(切る枝は太さが1cm程度で長さが10cm程度のものが適しています)
- 切った枝の下部から葉を取り除く。(残す葉は上部の2~3枚だけ)
- 切った枝の下部に発根促進剤を塗る。
- 切った枝をポットに挿す。(深さは3~4cm程度で十分です)
- ポットを直射日光は避け、明るく暖かい場所に置く。
- 土が乾かないように水やりをする。
- 約1ヶ月から2ヶ月すると枝から根が出る。
- 根が出たら日光に当てるようにする。
- 最初は半日陰から始めて徐々に日光量を増やす。
以上の手順でカレーリーフを挿し木で増やすことができます。
カレーリーフの実の収穫時期と方法
カレーリーフは、花が咲いた後に実がなります。実は緑色から黒色に変わると収穫できます。
カレーリーフの実の収穫時期と方法は以下の通りです。
- 時期:秋から冬にかけて、実が黒く熟したら収穫します。
- 方法:枝先をハサミなどで切り取ります。切った実は乾燥させて保存します。
カレーリーフの実はそのまま食べることもできますが、苦みが強いので料理に使う場合は種を取り除いて使います。種は乾燥させて保存することもできます。
カレーリーフが枯れた時の復活方法
カレーリーフが枯れてしまった場合、以下の方法で復活させることができる可能性があります。
補足 | |
剪定 | カレーリーフが枯れた部分は剪定して取り除きましょう。剪定することで新芽や新葉の発生を促進できます。 |
根洗い | カレーリーフが根腐れしている場合は根洗いを行います。 |
根洗いの方法は以下のとおりです。
- 根を傷つけないように鉢からカレーリーフを抜き取る
- 水道水かぬるま湯で根から土を洗い流す
- 根腐れした部分や傷んだ部分を切り落とす
- 新しい鉢と用土を用意して植え付ける
- 水やりをする
なお、カレーリーフが枯れた原因については、水やり不足や水やり過多、低温や高温、病気や虫害など様々です。
上記、「カレーリーフに適した環境」の項を参考に環境を整えましょう。
カレーリーフの苗はダイソーで100円で買えるのか
ダイソーではカレーリーフの苗を買えることがあります。しかし、在庫や店舗によって異なるため、必ずあるという保証はありません。
ちなみに100円商品ではなく300円商品として販売されているのが確認されています。
3ヵ所目のダイソーでようやくカレーリーフとご対面😍
名古屋用と新宮用に2ポット購入😊 pic.twitter.com/yqyNdKg2qI— Miho Ikoma (@Shanti3434) October 23, 2020
ダイソーでカレーリーフの苗を買う場合は以下の点に注意しましょう。
注意点 | |
品質 | ダイソーで買える苗は品質が低い可能性もあります。葉色が悪かったり枯れかかっていたりする場合は購入しない方が無難です。 |
大きさ | ダイソーで買える苗は小さくて成長が遅いことが多いです。大きく育てたい場合は、他の販売店で大きめの苗を買う方が良いかもしれません。 |
種類 | ダイソーで買える苗はカレーリーフの種類が分からないことが多いです。カレーリーフには様々な品種があり、葉の形や香りや味に違いがあります。特定の品種を求めている場合は、他の販売店で確認して買う方が良いかもしれません。 |
ダイソーでカレーリーフの苗を買うメリットは、安くて手軽に入手できることです。しかし、デメリットがある可能性についても考慮に入れて購入を検討してみてくださいね。
ホームセンター(カインズ・コーナン)に売ってるのか
ホームセンターではカレーリーフの苗を売っていることがあります。しかし、在庫や店舗によって異なるため、必ずあるという保証はありません。
ホームセンターでカレーリーフの苗を買う場合は以下の点に注意しましょう。
注意点 | |
品質 | ホームセンターで買える苗は、比較的品質が高いことが多いです。葉色が良くて元気なものが多く見られます。しかし、時々枯れかかっていたり虫食いされていたりするものもあるので、その際は購入しない方が無難です。 |
大きさ | ホームセンターで買える苗は大きさが様々です。小さくて安いものから大きくて高いものまであります。予算や目的に合わせて選びましょう。 |
種類 | ホームセンターで買える苗はカレーリーフの種類が分かることが多いです。ラベルに品種名や特徴などが書かれています。特定の品種を求めている場合は、確認して買う方が良いでしょう。 |
ホームセンターでカレーリーフの苗を買うメリットは、品質や大きさや種類が選べることです。しかし、デメリットは、値段が高めであることや在庫が不安定であることが挙げられます。
カレーリーフの育て方に関するQ&A
ここでは、カレーリーフの育て方に関するQ&A(質問&回答)を紹介します。
- ひょろひょろしている時の対策は?
- 気を付けるべき病害虫は?
上記の問いについて詳しく回答していますので、参考にしてみてくださいね。
ひょろひょろしている時の対策は?
カレーリーフがひょろひょろしている時の原因と対策は以下のとおりです。
原因 | 対策 |
日光不足 | 直射日光が当たる場所に移動させましょう。 |
水やり不足 | 土が乾いたらたっぷりと与えるようにします。 |
根詰まり | 深めの鉢に用土を入れて植え替えをします。 |
根腐れ | 根から土を洗い流して傷んだ部分を切り落とします。 |
病害虫 | 市販の殺菌剤や殺虫剤などを使って対処します。 |
気を付けるべき病害虫は?
カレーリーフ栽培で気を付けるべき病害虫は以下のとおりです。
病害虫 | 防除 | 防止 |
アブラムシ | 手で取ったり水で洗い流すほか、ニンニクやタバコなどの水に浸した液体を散布することも効果的です。 | アブラムシは弱った植物に付きやすいため、日光・水やり・肥料などを適切どを適切に管理することで防止できます。 |
カビ | 湿気が多いと発生しやすいです。カビが発生すると、葉や茎に白いふわふわしたものが見られます。 | 水やり・換気・日光などを適切に管理することで防止できます。 |
まとめ:カレーリーフの育て方のポイント
インド料理に欠かせないスパイスであるカレーリーフの育て方についてお伝えしました。
カレーリーフは日当たりと水やりに気を付ければ、室内でも鉢植えで育てられますし、挿し木や種まきで増やすことも可能です。
この記事では、カレーリーフの苗の選び方や植え方、管理方法などを紹介しました。
カレーリーフを自宅で育てて新鮮なカレーリーフの香りと味を楽しんでみてくださいね。収穫したては格別ですよ。
なお、カレーリーフの使い方についてはこちらのページで詳しくお伝えしているので参考にしてみてくださいね。