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ジュニパーベリー(セイヨウネズ) の育て方|主な産地や日本での栽培方法

ジュニパーベリーとは、セイヨウネズという常緑針葉樹の球果で、ジンの主原料として有名です。しかし、ジュニパーベリーはジンだけでなく、料理や薬草としても使われる多用途な植物です。香りが良く、花や実が美しいので、観賞用にもおすすめです。

しかし、ジュニパーベリーがなるセイヨウネズは日本ではあまり馴染みがなく、育て方や栽培方法について知らない人も多いでしょう。

そこで、この記事では、セイヨウネズの育て方や栽培方法、主な産地や日本での栽培状況について詳しく解説します。

ジュニパーベリー(セイヨウネズ)とは

ジュニパーベリーとは、セイヨウネズというヒノキ科の常緑針葉樹の果実のことです。

セイヨウネズの樹高は3mから10m程度になり、ジュニパーベリーは小さくて球形で、最初は緑色ですが、熟すと紫から黒色になります。

ジュニパーベリーには独特の香りがあり、肉料理やソースの香辛料や、ジンの香り付けなどに使われます。また、精油としても利用され、消化促進や利尿作用などの効能があるとされます

主な産地

セイヨウネズの原産地はギリシャで、ヨーロッパ諸国や北アメリカを中心に、イタリア、フランス、ドイツ、ハンガリーなど広範囲にわたる地域で栽培されています。日本国内でも、関東以南で栽培が行われ和漢薬やスパイスとして幅広く利用されています。

それに対して、ジュニパーベリーの商業的な生産は主にバルカン半島の国々で行われており、アルバニア、マケドニア、ブルガリアなどから多くの供給があります。日本のクラフトジン製造においても、多くの場合、この地域から輸入されたジュニパーベリーが使用されています。

また、日本国内にはセイヨウネズとは異なる香りや味わいを持つ自生のネズの木も存在します。北海道に多く見られるミヤマビャクシンや滋賀県の鶏冠山に自生するネズなどがその例です。

これらのネズもジュニパーベリーとして活用可能ですが、セイヨウネズとは異なる特性を持っています。

セイヨウネズ栽培に適した環境づくり

ジュニパーベリーができるセイヨウネズの栽培に適した環境としては、午前中に良く日光が当たる場所が理想的です。

生育全般に冷涼な気候を好みます。植え付け時の地温が比較的高く、生育期間中の平均気温が15~20℃で、生育前半の日長が多く開花期以降の気温差が大きくて雨量の少ない地域での栽培に適します。

用土づくり

セイヨウネズは土への適応性が高いので特に土質は選びませんが、水はけの良い土壌を好みます。

用土づくりにおすすめなのは、赤玉土小粒と腐葉土を5:5の割合で混ぜ合わせる方法です。赤玉土は水はけを良くし、腐葉土は保水力を高めます。ピートモスを少し加えても良いです。

用土づくりの手順は以下のとおりです。

  • 赤玉土小粒と腐葉土を5:5の割合で混ぜ合わせる
  • ピートモスを適量加える(任意)
  • 用土を鉢に入れて平らにならす
  • 用土に穴を開けて苗木を植え付ける
  • しっかりと根元に土をかけて固める
  • 水やりをする

以上でジュニパーベリーができるセイヨウネズの栽培に適した土を作ることができます。

水やりと肥料の与え方

庭植えで育てる場合は、真夏の高温乾燥が続くとき以外には水やりは必要ありません。

肥料は、12月から2月に寒肥として緩効性化成肥料(チッ素N-リン酸P-カリK=10-10-10など)や、固形の油かすを施すだけで良いです。

種まき時期と方法

セイヨウネズの種まきに適した時期は秋から冬です。実から採取した種をすぐにまくか、保存して11~3月にまいていきます。種は細かいので、水に流れないようザルなどの中で果肉を外すようにすると安心です。

セイヨウネズの種まき方法は以下のとおりです。

  • ザルに実を入れ、水洗いして果肉をきれいに取り除く
  • 種をビニール袋などに入れ、冷蔵庫で保管する ※すぐにまく場合は不要
  • 適期を迎えたら、育苗ポットなど浅い容器に赤玉土(小粒)を入れて種をまく
  • 土が乾かないよう水やりをして管理する
  • 翌年の春発芽し、株が十分に生長したら、鉢か地面に植え付ける

以上の手順で種まきを行っていきましょう。

地植えの時期と方法

セイヨウネズの地植えに適した時期は、11月~3月上旬です。この時期は落葉期で根が休眠しているので、移植に適しています。

ジュニパーベリーの地植えに適した方法は以下のとおりです。

  • 日当たりのよい場所を選び、苗よりも1~2回り大きな植え穴を掘る
  • 穴底に掘り起こした土を入れ、2つかみほどの腐葉土入れて混ぜ合わせる
  • 苗の根についた土をほぐし、穴の中心に苗を置く
  • 幹がまっすぐになるよう、植え穴を掘った土を戻していく
  • 苗の回りにたっぷりと水を与える

セイヨウネズの花が咲く時期と香り・花言葉

セイヨウネズは白い小さな花を咲かせますが、その花は3月下旬~4月上旬に見頃を迎えます。

花びらは5枚で、桜に似た形をしており、直径は1~2cm程度と小さいですが花つきが良いので満開時にはとても見応えがあります。

ジュニパーベリーの花の香りは、爽やかでスパイシーな香りです。ライムに似たさわやかさと、ジンにも使われるスパイスのような刺激があります。香りは強くなく、ほんのりと漂う程度です。

ジュニパーベリーの花言葉は、「永遠の愛」「守護」「忠実」などがあります。古くから薬草や香料として使われてきたことから、強い生命力や癒しの力を象徴しています。

また、果実が熟すまでに時間がかかることから、長い時間をかけて育む愛情や忍耐力を表しています。

ジュニパーベリーが臭い原因

ジュニパーベリーが臭いと感じる人もいるかもしれませんが、それは果実の香りが原因です。

ジュニパーベリーに含まれる成分には、ピネンやリモネンなどのテルペン類がありますが、これらの成分はジンや香辛料などにも使われる香りの強い物質です。

人によってはこの香りを好ましく感じない場合がありますが、悪臭ではありません。

剪定する方法と目的・時期

セイヨウネズの剪定の目的は、以下のようなものがあります。

樹形を整える 枝が伸びすぎて樹形が乱れたり、枝同士が絡まったりするのを防ぎます。また、樹冠を軽くすることで風通しを良くし、病害虫の発生を抑えます。
枝や葉の密度を調整する 枝や葉が密集しすぎると、光や空気が不足して生育が悪くなります。また、花や実の付きも悪くなります。適度に間引くことで、光や空気の循環を促し、花や実の質を向上させます。
枯れ枝や病気枝を除去する 枯れ枝や病気枝は、樹木の健康に悪影響を及ぼします。また、見た目も悪くなります。早めに切り取ることで、樹木の回復を助けます。
実付きを良くする セイヨウネズは雌雄異株で、雌株だけが実を付けます。しかし、雌株でも実付きには個体差があります。剪定することで、花芽分化を促進し、実付きを良くすることができます。

剪定作業は以下のとおり行うと良いでしょう。

  1. 剪定する前に、不要な枝や徒長枝、胴吹き枝、枯れ枝、ひこばえなどを見分ける
  2. 剪定バサミや剪定ノコギリなどの道具を用意する
  3. 剪定する枝を根元から切り落とすか、必要な長さに切り詰める
  4. 切り口に殺菌剤を塗って保護する
  5. 切り落とした枝はガーデンシュレッダで細かくするか、可燃ごみとして処分する

なお、セイヨウネズの剪定に適した時期は、11月から3月上旬です。

夏越しは暑さと乾燥に注意する

セイヨウネズは寒さに強い植物ですが、夏の暑さや乾燥には弱いです。夏越しする場合は、以下の点に注意してください。

水やりを増やす 土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。朝か夕方に根元から20cmほど離して水やりをします。
肥料を控える 夏は生育が停滞する時期なので、肥料を与える必要はありません。肥料を与えると根が傷んだり、虫や病気にかかりやすくなったりします。肥料は春か秋に与えましょう。
害虫や病気に注意する 夏は害虫や病気が発生しやすい時期です。特にアブラムシやカイガラムシ、ハダニなどの吸汁性害虫に注意しましょう。発見したら早めに駆除してください。また、葉が黄色くなったり落ちたりする場合は、根腐れや枯死病などの可能性があります。根元の土を掘って根の状態を確認しましょう。

耐寒性と冬越しの方法

ジュニパーベリーは耐寒性が高い植物です。自生地では雪に覆われるような寒い環境にも耐えます。

しかし、鉢植えの場合は冬越しに注意する必要があります。冬越しの方法は以下のとおりです。

  1. 鉢を風通しの良い日陰に移動する。
  2. 鉢底に敷いた砂利や軽石を取り除く。
  3. 鉢の周りに落ち葉や枯草などを巻き付けて保温する。
  4. 霜や雪が降ったら、葉や枝に付いたものを払い落とす。
  5. 水やりは乾燥したら少量だけ与る。

基本的には庭に地植えしていることの多いセイヨウネズですが、もしも鉢植えしている場合は上記のように冬越しをするようにしてください。

挿し木で増やす方法と時期

セイヨウネズの増やし方は挿し木がおすすめです。挿し木は夏から秋に行います。方法は以下のとおりです。

  1. 健康な枝から10センチ程度の長さに切り取る。
  2. 切り口から数センチ上の葉を取り除く。
  3. 切り口に発根促進剤を塗る。
  4. 挿し木用の鉢に排水性の良い用土を入れ、表面を平らにする。
  5. 挿し木を斜めに刺す。

水やりは霧吹きで行い、乾燥しないようにします。発根までに数週間かかる場合がありますので、気長に待ちましょう。

ジュニパーベリーの収穫時期と方法

ジュニパーベリーの収穫時期は秋から冬です。収穫方法は以下のとおりです。

  1. 熟した果実を選ぶ。色が青紫色になっているものが熟しています。
  2. 枝から果実をそっと摘み取る。力を入れすぎると果実が潰れたり、枝が傷ついたりします。

収穫した果実は水洗いして乾燥させますが、日陰で風通しの良い場所で干すようにします。

セイヨウネズの育て方に関するQ&A

ここでは、セイヨウネズの育て方に関するQ&A(質問&回答)を紹介します。

  • グランドカバーに適している?
  • 苗はどこで販売している?

上記の問いについて詳しく回答していますので、参考にしてみてくださいね。

グランドカバーに適している?

セイヨウネズはグランドカバーに適しています。グランドカバーとは、地面を覆うように植物を植えることで、雑草の抑制や土壌の保護などを目的とするものです。

セイヨウネズは以下の理由でグランドカバーに適しています。

  • 耐寒性や乾燥耐性が高く手入れが楽
  • 葉色が美しく、四季折々に変化する
  • 枝が地面に這うように広がり、密度が高くなる
  • 香りがあり、虫除け効果がある

苗はどこで販売している?

ジュニパーベリーの苗は園芸店やネットショップで販売している場合がありますが日本では希少な植物であるため、入手しにくい場合があります。

たまにメルカリでセイヨウネズの苗が販売されていることがあるので、メルカリをチェックしてみるのも良い方法です。

まとめ:セイヨウネズの育て方のポイント

セイヨウネズは、ジンの主原料として有名な植物ですが、料理や薬草としても使われます。香りが良く花や実が美しいので、観賞用にもおすすめです。

セイヨウネズの育て方は難しくありません。日当たりと水やりに注意すれば、少し肥料を与える程度で成長していくでしょう。

剪定も必要に応じて行う程度で良いのでそれほど手間もかからず育てることができます。

自宅でセイヨウネズを育ててみたいという方はぜひ参考にして立派なセイヨウネズに育ててジュニパーベリーを収穫してみてくださいね。

  • この記事を書いた人

「ハーブ民」編集部

北海道でハーブ苗の販売を行っている合同会社リンクウィットのハーブブログ編集部。 「初心者にもわかりやすく・楽しく」をモットーに、ハーブの魅力や育て方をハーブ愛MAXでお伝えしています! 姉妹サイト「ハーブティータイムズ」も楽しく運営中^^

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