ラベンダーは、香り高くて可愛らしい花を咲かせるハーブです。
ガーデニングやアロマテラピー、ドライフラワーなどさまざまな楽しみ方ができるので、自宅でも育ててみたいという方は多いでしょう。
ラベンダーは植えてはいけないと言われることもあり、育てるのが難しいかと気になる方は多いかもしれませんが、実はラベンダーは適切な環境とお手入れをすれば、初心者でも育てやすい植物です。
この記事では、ラベンダーの育て方について、地植えでラベンダーを育てる場合の注意点や、植えてはいけないと言われる説とともに解説します。
品種や土づくり、水やりや剪定などのポイントを押さえて、ラベンダー栽培を楽しんでいただけたらと思います。
ラベンダーとは
ラベンダーは、シソ科の多年草で、優雅な紫色の花穂と芳香で広く知られています。
原産地は地中海沿岸地域で、現在は世界中で観賞用や香料用に栽培されています。
その特徴的な香りは、アロマセラピーでリラックス効果やストレス軽減に利用され、精油として抽出されることも多いです。また、ドライフラワーとしても人気があり、ポプリや香り袋にも用いられます。
ラベンダーは丈夫で育てやすく、日当たりと排水の良い土壌を好みます。品種も豊富で、イングリッシュラベンダーやフレンチラベンダーなど、それぞれ異なる特性を持っています。
料理への利用も可能で、ラベンダーシュガーやハーブティーなど、その独特の風味を楽しむ方法も多様です。
また、蜂蜜の原料としても重宝され、ラベンダーハニーは上品な甘さと香りで評価されています。
ラベンダーを植えてはいけないと言われる4つの理由
ラベンダーを植えてはいけないと言われる主な理由としては次に挙げる4つの理由があります。
- 根が弱りやすく植え替えに向かないから
- 木質化する可能性があるから
- 高温多湿の環境に弱いから
- 根から成長阻害物質を出すから
それぞれの理由について少し補足していきます。
根が弱りやすく植え替えに向かないから
ラベンダーは直根性で根が深くまで伸びるため、植え替え時に根を傷つけてしまいがちです。
ラベンダーは根が傷つくと枯れやすいという性質があるため植え替えには向かないことから、植えてはいけないと言われることがあります。
木質化する可能性があるから
木質化とは、茎が木のように硬くなり、葉が少なくなる現象のことです。木質化すると、花付きが悪くなったり、枯れやすくなったりするため、ラベンダーの観賞価値が低下してしまいます。
土壌や栽培環境が悪かったり、剪定を怠ると木質化しやすくなってしまうため注意が必要です。
高温多湿の環境に弱いから
地中海沿岸が原産の植物であるラベンダーは、乾燥した気候を好み、水はけの良い土壌を必要とします。
そのため日本では、ラベンダーを地植えで育てるのは難しいと言われることがあります。
育て方のポイントを押さえることで栽培自体は可能ですが、初心者にとっては他のハーブよりも難しく感じることもあるでしょう。
根から成長阻害物質を出すから
ラベンダーは根からアレロパシー(他感作用)と呼ばれる成長阻害物質を出す可能性があると言われています。
この物質は、周囲の植物の生育に影響を与えることがあり、一部の植物では生育不良を起こす場合があります。
そのため、ラベンダーの近くに他の植物を植える際は、適切な距離を保つか相性の良い植物を選ぶことが望ましいでしょう。
ラベンダーの地植えで注意すべき3つのポイント
ベンダーは適切な環境と管理があれば、地植えでも問題なく栽培することが可能です。
ラベンダーを地植えする際の注意点としては、大きく次の3つが挙げられます。
- 地域に適した品種を選ぶ
- 適切な時期に剪定をする
- 適切な場所に植える
それぞれのポイントについてそれぞれ詳しくお伝えしていきます。
地域に適した品種を選ぶ
ラベンダーを地植えする際は、品種選びが重要です。耐寒性が高く、日本の気候に適した品種を選びましょう。
おすすめの品種は、以下のとおりです。
主なラベンダーの品種 | 主な特徴 |
イングリッシュラベンダー | 耐寒性が高く、香りが強いのが特徴 |
フレンチラベンダー | 花付きがよく、初心者にも育てやすい品種 |
スパイクラベンダー | 高さがあり、花穂が長く伸びる。比較的耐暑性があり暖かい地域にも適しています |
それぞれの品種で個性があるので、その違いを楽しむのもおすすめです。
適切な時期に剪定をする
ラベンダーは、適切な剪定を行うことで、株の風通しを良くし、病害虫の発生を防ぐことができます。
また、花付きを良くし、美しい姿を楽しむことができます。
定期的な剪定を行うことで、ラベンダーの健康を維持し、美しい花を楽しむことができます。
ラベンダーの剪定方法については、こちらのページで詳しくご紹介しているので参考にしてみてください。
適切な場所に植える
ラベンダーは、日当たりがよく水はけの良い土壌を好みます。また、風通しも良い場所が必要です。
次の項では、ラベンダーを植えてはいけない場所について詳しくお伝えしていきます。
ラベンダーを植えてはいけない場所
ラベンダーは日当たりと風通しを好む植物です。そのため、以下の場所に植えると生育不良を起こしやすくなります。
- 日当たりの悪い場所
- 湿度が高い場所
- 風通しが悪い場所
それぞれの場所について、次に詳しくお伝えしていきます。
日当たりの悪い場所
ラベンダーは日当たりの良い場所を好み、日当たりの悪い場所では光合成が十分に行われず、成長が遅くなったり、花付きが悪くなったりする可能性があります。
ラベンダーの生育に適した日照時間は、1日6時間以上と言われています。
また、日陰は湿気がこもりやすく、蒸れやすい環境になります。ラベンダーは蒸れに弱く、根腐れを起こしやすい点からも日当たりの悪い場所は避ける必要があります。
湿度が高い場所
ラベンダーは乾燥した気候を好み、過湿に弱いため、湿度が高い場所への地植えは適しません。湿度が高いと根腐れを起こしやすくなり、最悪の場合枯れてしまうこともあります。
特に、日本の夏は高温多湿になるため、注意が必要です。水はけの良い土壌を選び、排水性を高めるために砂や軽石を混ぜるなどの対策をするとよいでしょう。
また、梅雨の時期は雨除けの屋根や覆いを設置するなどして、過剰な水分から守る工夫も有効です。
風通しが悪い場所
ラベンダーは風通しの良い場所を好み、風通しが悪いと蒸れて病気になりやすくなります。特に、水はけの悪い土壌では、風通しが悪いと根腐れを起こす可能性が高くなります。
建物の壁際や他の植物が密集している場所、空気の流れが滞りやすい場所は避けましょう。
また、植える際は株間を十分に取り、風が通るようにすることも大切です。周囲の環境を考慮して、ラベンダーの生育に適した開放的な場所を選ぶことがポイントです。
失敗を防ぐ!ラベンダーの育て方の4つのポイント
これまでラベンダーを植えてはいけないと言われる理由や地植えの際の注意点についてお伝えしてきました。
これらを踏まえて、ラベンダーの育て方のポイントを押さえることで、問題なくラベンダーを育てることができるでしょう。
ラベンダーの育て方は大きく分けて次の4つのポイントがあります。
- 水を与え過ぎない
- 水はけがよい土壌に植える
- 相性の良い植物と組み合わせる
- 適切に剪定する
各ポイントについて少し補足をしていきます。
水を与え過ぎない
ラベンダーの水やりは、適切な量とタイミングが重要です。水はけの良い土壌を好み、過湿を嫌うため、水を与えすぎると根腐れを起こしやすくなります。
土の表面が乾いてから、たっぷりと水やりをするようにしましょう。水やりの頻度は、季節や天候によって異なりますが、一般的には夏場は1日1回、冬場は2~3日に1回程度が目安です。
また、葉に直接水がかからないように注意しましょう。
ラベンダーは乾燥に強い植物ですが、極端な乾燥状態が続くと生育が悪くなることがあります。特に夏場は水切れを起こさないように注意しましょう。水切れを起こした場合は、すぐに水やりをしてください。
水はけがよい土壌に植える
ラベンダーは、水はけのよい土壌を好みます。水はけの悪い土壌に植えると、根腐れを起こしやすくなります。
そのため、植え付け前に土壌改良を行い、水はけを良くすることが大切です。具体的には、川砂やパーライトなどを混ぜ込むことで水はけを改善することができます。
相性の良い植物と組み合わせる
ラベンダーは他の植物と適切に組み合わせることで、互いの生育を促進させることができます。特に、同じ地中海原産のハーブ類は環境条件が似ているため、一緒に植えると管理がしやすくなります。
ラベンダーと相性の良い植物には、以下のようなものがあります。
- ローズマリー
- タイム
- セージ
- オレガノ
これらの植物は、ラベンダーと同様に乾燥した環境を好み、水やりの頻度も似ているため、一緒に植えても管理がしやすいです。
ただし、それぞれの植物が十分に成長できるよう、適切な間隔(約30cm以上)を空けて植えることが重要です。
適切に剪定する
ラベンダーの剪定の必要性については前述したとおりです。
詳しくは、別の記事にまとめているラベンダーの剪定方法をご参照ください。
ラベンダーの病害虫対策と予防法
優雅な香りと美しい色彩で魅了するラベンダーですが、その美しさを守るためには、病害虫との戦いも避けては通れません。
さまざまな病害虫がラベンダーの元気を奪い、鮮やかな花弁を萎れさせる事があるのです。
ここではラベンダーの病害虫対策についてお伝えしていきます。
ラベンダーによく見られる病害虫と対策法
ラベンダーには、いくつかの典型的な病害虫が見受けられます。
ラベンダーの病害虫対策としては、まずは観察が大切です。虫の種類や被害状況を把握することが、適切な対策を立てる第一歩となります。
アブラムシ | 吸汁性の害虫で、若葉や花芽を好んで吸い取ります。アブラムシは体表が薄いため薬剤の散布が有効です。 |
カイガラムシ | 主に茎や葉を攻撃し、被害をもたらします。シェルで覆われているので薬剤の浸透が難しく、物理的に除去する方法がお勧めです。 |
ダニ | ダニが繁殖すると葉色が変わって萎れ、最悪の場合、枯死してしまう可能性があります。湿気を好まないため、適度な湿度を保つことで繁殖を防ぐことが可能です。 |
ラベンダーの病害虫の予防法
病害虫の発生を予防するためには、ラベンダーの生育環境を整えることが重要です。
適切な光照射時間や水分供給、養分の摂取に気をつけましょう。また、虫が好むほこりや湿り気の多い環境を避け、清潔に保つことも重要な予防策となります。
定期的にラベンダーを観察し、虫がついているようであれば早急に対策を講じることで、病害虫の被害を最小限に抑えることができるでしょう。
また、アブラムシ等は見掛けたら即座に対応し、ムシムシする季節が来る前に予防対策を行っておくことも大切です。
まとめ:ラベンダーの地植えの注意点と植えてはいけない理由
ラベンダーは地中海沿岸原産の美しい香りを持つハーブですが、日本で地植えする際にはいくつか注意すべき点があります。
植えてはいけないと言われる主な理由は、根が弱く植え替えに向かないこと、木質化する可能性があること、高温多湿に弱いこと、そして一部の植物に対してアレロパシー作用を持つことが挙げられます。
しかし適切な環境と管理があれば、地植えでも十分育てることができます。そのポイントは、地域に適した品種選び(イングリッシュラベンダーなど)、年2回の適切な剪定、そして日当たりと水はけの良い場所に植えることです。
湿度の高い場所や風通しの悪い場所、日陰は避け、乾燥した環境を好むラベンダーの特性を考慮した植え付けが大切です。
また、水やりは土の表面が乾いてから行い、過湿を避けることが根腐れ防止のコツです。
適切なケアで、美しい花と芳醇な香りを楽しめるでしょう。