ルバーブは、その独特な酸味と栄養価の高さから料理や健康に役立つ野菜・ハーブとして人気がありますが、スーパーではなかなか手に入らないことが多いです。
ですが、家庭菜園で自分で育てれば、自宅で収穫して使いたい時に使えるようになります。
この記事では、ルバーブの種まきから収穫までの育て方、そして咲いた花の切り方について詳しく解説します。
家庭菜園でルバーブを育ててみたいという方はぜひ参考にしてみてくださいね。
ルバーブ栽培に適した環境づくり
ルバーブはシベリア原産の野菜で、冷涼な気候を好みます。高温多湿を嫌うので、適度な日当たりと風通しの良い場所で育てましょう。
直射日光や西日は避けた涼しいところが理想です。栽培適温は10~18度です。
ルバーブ栽培に適した用土づくりや水・肥料の与え方のポイントは次のとおりです。
用土づくり
ルバーブは水はけの良い土を好みます。植え付けの2週間前までに、苦土石灰や有機石灰を入れて土を中性に近づけましょう。
植え付けの1週間前には、堆肥や化成肥料を入れて土を改良しておきます。
水はけが悪い場所では枯れてしまうこともあるので高畝にすると良いです。
水やり
ルバーブは多湿を嫌うので乾燥気味に育てます。水やりは土が乾いたらたっぷりと与えましょう。
特に夏場は乾燥に注意してください。根元に敷きワラやマルチングをしておくと水分の蒸発を防げます。
肥料
ルバーブは植え付けから1カ月たったら、株元に肥料をばらまきて土寄せを行います。この作業は10月頃まで月に1回ほど行うと株が充実して翌年の収穫量が増えます。
2年目以降は肥料が多すぎると株が大きくなりすぎて折れやすいため、肥料の量を半分ほどに減らします。
発芽条件と種まき時期・方法
ルバーブは種から育てることもできますが、発芽率が低く発芽適温も高いため育苗は難易度が高いです。初心者は苗から育てると失敗しにくいでしょう。
種まきは発芽適温は25度程度なので、3月下旬~5月下旬、9月~11月が適期です。
種まきの方法は以下のとおりです。
- 育苗ポットなどに種まき用の土を入れ、指で浅くくぼみをつける。
- 一粒ずつくぼみに種をまく。
- 軽く土をかぶせて手で押さえる。
- 土が乾燥しないよう水やりをして管理する。
- 2週間ほどで発芽したら、葉っぱが触れ合わない程度に間引きする。
- 本葉が2~3枚になったら育苗ポットに仮植えする。
- 本葉が3~4枚になったら地面に植え付ける。
上記の方法で種まきを行うと良いでしょう。発芽するまではビニールをかけて温度を保つと発芽しやすくなります。
植え付け時期と方法
ルバーブはシベリア原産の野菜で冷涼な気候を好みます。高温多湿を嫌うので春植えがおすすめです。
植え付けの適期は5月~6月で生育適温は10~18度です。
種まきの場合は発芽率が低く収穫までに1年以上かかるため、初心者は苗から育てるとよいでしょう。
ルバーブの苗の植え付けの方法は次のとおりです。
- 根鉢より一回り大きな植穴を開ける。
- 根鉢を壊さないように丁寧に苗を取り出す。
- 穴の中に苗を入れる。
- 子葉が埋まらない程度に用土を入れる。
- 株元を軽く押さえて根と用土を密着させる。
- 水をたっぷりと与える。
ルバーブは株が大きくなるので、株間隔は40~50cmとるようにしましょう。また、泥はねや多湿を防ぐために、株元に敷きワラやマルチングをしておくと良いです。
鉢植え・プランターで育てる方法
ルバーブは株が大きくなるため地植えが適していますが、プランターや鉢植えでも育てることが可能です。
ただし、以下の点に注意してください。
鉢・プランター選び | 底の深い大型のものを選びます。野菜栽培用の深型大型のプランターであれば2株、8~12号であれば1株ずつ植え付けます。 |
用土 | 土は水はけの良いものを使います。市販の野菜培養土や赤玉土と腐葉土を混ぜたものがおすすめです。 |
置き場所 | 日当たりと風通しの良い場所に置きます。夏は直射日光や西日を避けて涼しい場所で育てます。 |
水やり | 水やりは土が乾いたタイミングで行います。真夏は昼に水をあげると根腐れしやすくなるので、朝か夕方にあげます。 |
肥料 | 植え付け前に元肥として緩効性化成肥料を土に混ぜておきます。植え付けから1ヶ月ほど経ったら追肥として化成肥料を月1回のペースで加えます。 |
植え替え時期と方法
ルバーブは株分け以外は植え替える必要はありませんが、定着後数年すると芽が密着して葉柄が細くなったり過湿状態になることがあるので、その場合は、4月~5月に植え替えを行います。
植え替えの際の注意点を以下に挙げます。
- 新しい用土に植え付ける。
- 根鉢を崩さないように優しく掘り上げる。
- 株元から2~3cmほど土が出るように調整して植え付ける。
ルバーブには連作障害がありますので、植え替えの際は一度植え付けた場所では2~3年の期間をあけるようにする点にもご注意ください。
ルバーブの花が咲く時期と香り・花言葉
ルバーブの開花時期は5月~7月で、穂状のクリーム色の花を咲かせます。花は目立たないもので香りもほとんどありません。
茎を食用にするため、花芽は早めに摘み取ることが多いです。
ルバーブの花言葉は、「忠告」「迅速」「快速」という意味を持っています。これは、ルバーブの葉にはシュウ酸が多く含まれていて食べることができないことや、根には下剤としての成分があることに由来しています。
ルバーブの花が咲いたら切るべきか
ルバーブは、食用とする茎の成長を促すために花が咲く前に摘蕾(てきらい)することがおすすめです。
摘蕾とは花芽やつぼみを摘み取ることで、栄養が茎や葉に回るようにする方法です。ルバーブの摘蕾の時期は、3月終わりごろ~5月にかけてです。つぼみがついたら、ハサミやカッターで切り落としましょう。
花が咲いてしまうと、茎が硬くなり風味も落ちてしまいます。
ルバーブの花はクリーム色で目立たず観賞用には向いていないだけでなく、花を咲かせると株が弱ってしまうこともあります。そのため、ルバーブの花が咲いたら早めに切るのが望ましいでしょう。
ルバーブが大きくならない時の主な原因と対処法
ルバーブは寒さに強く暑さに弱い多年草で、日本では北海道や長野県などの涼しい地方で栽培されています。
しかし、温暖化の影響や栽培環境の不適切さなどで、ルバーブが大きくならず枯れてしまうこともあります。ルバーブが大きくならない時の主な原因と対処法は以下のとおりです。
大きくならない原因 | 補足 | 対処法 |
水はけの悪い環境で育てた | ルバーブは湿気にとても弱く、水はけの悪い土やプランターでは根腐れを起こしやすくなります。 | 水はけの良い用土を使う、高畝を作る、鉢底石や鉢底ネットを入れる、マルチングをするなどが考えられます。 |
肥料やけによる根腐れ | 元肥を多めに入れる必要がありますが、肥料を与えすぎたり暑い時期に追肥したりすると、肥料やけを起こして根が腐ってしまうことがあります。 | 液肥を使う、冬に定植したものは4月までに追肥を終わらせる、暑くなってからの追肥は控えるなどがあります。 |
剪定・切り戻しする方法と目的・時期
ルバーブは株の充実のために植え付けから1年くらいは剪定の必要はありませんが、病害虫の被害があった時はその部分を切り取ると良いでしょう。
2年目以降の剪定・切り戻しについては次のとおりです。
病害虫の予防 | 枝や葉に病害虫が発生した場合、その部分を切り取ることで感染を防ぐことができます。また、枝や葉を間引くことで風通しを良くし湿気やカビの発生を抑えることもできます。 |
花芽の除去 | ルバーブは4月~5月頃に白い花を咲かせますが、花芽は栄養を奪うため葉や茎の生長や収穫に悪影響を及ぼします。そのため、花芽は早めに摘み取る必要があります。 |
株の若返り | ルバーブは数年経つと株が老化して生長が衰えたり、茎が細くなったりします。その場合、根元から新しい茎が出るように切り戻すことで株を若返らせることができます。 |
夏越しの注意点
ルバーブは涼しい気候を好む野菜で、高温多湿になる日本の夏はルバーブにとって厳しい環境です。特に鉢植えやプランターで育てる場合は、根が暑さに弱く枯れやすくなるので注意が必要です。
夏越しさせるためには以下のような注意点があります。
日陰に移動する | 直射日光や西日を避けた涼しい場所で管理する必要があります。夏場は日差しが強くなるので、日陰に移動させるか日よけをしてあげましょう。 |
水やりを調節する | 水切れにも弱いので、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをしてあげましょう。ただし、水やりは朝8時までなど、涼しい時間帯に行うようにしましょう。水やりの際は株元に直接かけないように注意してください。 |
マルチングをする | 根が浅く、土の温度上昇や乾燥に敏感です。そのため、株元にしきわらやマルチングをしてあげると、土の温度を下げたり保湿効果が得られたりします。 |
収穫を控える | 収穫すると株が弱ってしまいます。特に鉢植えやプランターでは株が小さくなりやすいので、夏場は収穫を控えるか少量だけ収穫するようにしましょう。収穫する際はハサミでカットする方が株への負担が少ないです。 |
耐寒性と冬越しの方法
ルバーブはシベリア原産で耐寒性が高いため、特別な冬越しの必要はありません。冬になると地上部は枯れてしまいますが、春になると再び芽吹きます。
ただし、雪が多く降る場合や氷点下10℃以下になる地域であれば、株元にマルチングをするなど根の保護や土の温度を保つ対策が必要です。マルチングには、落ち葉や枯草などを利用できます。
また、冬越し前にはお礼肥として株元に堆肥をまいておくと、翌年の生育がよくなります。
株分けで増やす方法
ルバーブは種まき以外では株分けで増やすことができ、3月~5月が適期です。ただし、株が充実していない4年未満の株だと株分けはできない点はご留意ください。
やり方は簡単で、根元の芽が1つ以上付くように根を手やナイフで切り分けて植え付けるようにするだけです。
株分けで増やすのは、手順が簡単というだけでなく親株と同じ特徴のルバーブが得られるメリットがあります。
種取りの時期と方法
ルバーブの種取りは5月下旬~6月上旬が適期です。ルバーブに花茎が立ち上がり花が咲いた後しばらくすると種が形成されます。
種の色は最初は緑色ですが、やがて茶色に変色します。茶色に変色すると種の一部がこぼれ落ちるので、逸失を防ぐためにクリアファイルなどを使って受け升を取り付けると良いでしょう。
花茎が茶色くなる頃には種も茶色一色になり、種が完熟していることがわかります。
花茎の下の位置をハサミで切断し、なるべく揺さぶらないように収穫します。手で種をもぎ落とした後にピンセットなどで完熟種を拾い集めキッチンタオルなどの上に集め、最後はティーパックなどに収納します。
収穫の時期と方法
種取りと同様に、ルバーブの収穫は5月上旬から6月下旬が適期です。
茎の収穫はルバーブの株が最低1年経ってから行います。(植え付けた年は株の充実のためにも収穫は控えます)茎の太さが指の太さくらいまで生長していれば食べ頃です。細い茎は、さらに生長するまで残しておきます。
茎が長いほど風味も増し、20cmまで生長すると収穫できます。30~45cmが最もおいしい長さと言われています。
収穫時期を茎の色で判断すると適期を見誤ることがありますが、すべてのルバーブが濃い赤色をしているわけではなく、食べ頃になっても薄い赤や緑色の品種もあります。
収穫の方法は次のとおりです。
収穫の方法 | 補足 |
ルバーブの茎をねじりながらやさしく引っ張る | 根を活性化させて収穫量が増す効果があります。切り口がきれいになるように行いましょう。 |
株の1/3のみを収穫する | 株に過度のストレスを与えないようにできます。また、翌年の生長を促すために、最低2本の茎は残しておきます。 |
茎から葉をちぎるか、切り取って捨てる | ルバーブの葉には、毒性があるシュウ酸が含まれているため、食べられません。葉は廃棄するか、コンポストに加えます。 |
折れた茎や花が付いた茎は、根元から切り取って株をきれいに保ちます。折れた茎を株に残しておいてはいけません。花が付いた茎も取り除きます。こうすることにより、花ではなく茎の生長が促進されます。
収穫したルバーブはジャムにして食べても美味しく食べられます。ルバーブジャムの効能と作り方についてはこちらのページで詳しくご紹介しています。
ルバーブの育て方に関するQ&A
ここでは、ルバーブの育て方に関するQ&A(質問&回答)を紹介します。
- 赤いルバーブの育て方に違いはある?
- 苗はホームセンターに売ってる?
- 旬はいつ?
- 一年草ですか?
- 枯れた原因は何がある?
- 赤くならない理由は?
- ルバーブのコンパニオンプランツは?
上記の問いについて詳しく回答していますので、参考にしてみてくださいね。
赤いルバーブの育て方に違いはある?
赤いルバーブは、酸味が強くてジャムやパイなどのスイーツにぴったりの野菜です。日本ではあまり馴染みがありませんが、欧米では一般的に食べられています。
ルバーブには、青茎と赤茎がありますが、赤ルバーブは青ルバーブに比べ、葉も茎も小柄で高原地帯でなければ栽培が難しい希少品種です。
育て方については大きな違いはありません。
苗はホームセンターに売ってる?
ルバーブの苗は、4月~6月もしくは9月~10月頃に出回ります。最近では大手のホームセンターなどでもルバーブの苗を購入することができます。
しかし、ルバーブは比較的新しい品種の野菜のため数多くは生産されていないため、在庫が少なかったり取り扱っていなかったりする場合もあります。
そんなときは、インターネット通販を利用すると便利です。楽天やAmazonなどの大手通販サイトでは、ルバーブの苗や種を販売しているショップがあります。
また、専門的な園芸用品を扱っている通販サイトでもルバーブの苗や種を見つけることができます。
旬はいつ?
ルバーブの旬は初夏です。4月~6月が最もおいしい時期とされています。
この時期は茎が柔らかく太く、酸味も程よいです。秋になると茎が硬く細くなり酸味も強くなってきます。
一年草ですか?
ルバーブは一年草ではなく多年草です。
冬になると地上部分が枯れるので一年草と間違えやすいですが、春になるとまた芽が出てきます。
枯れた原因は何がある?
ルバーブは寒さに強い野菜ですが、暑さと湿気には弱く、夏場の管理に注意が必要です。枯れる原因として考えられるのは、主に以下の3点です。
水はけの悪い土 | ルバーブは水はけのよい土を好みます。水はけの悪い土では根腐れを起こしやすくなります。土を掘り返して石や軽石などを混ぜたり、高畝にして排水性を高めたりするとよいでしょう。 |
肥料やけ | バーブは肥料の過剰投与にも弱く、根が傷んで枯れてしまうことがあります。肥料は植え付け時に緩効性化成肥料を混ぜておき、その後は月に1回程度与える程度にしましょう。また、肥料と植物活性剤の併用は避けるようにします。 |
大量の汚水 | ルバーブの近くで大掃除などをした際に、汚れた水が畑に流れ込むと、雑菌や病原菌が根に侵入して枯れる原因となります。自宅庭の水の流れを把握して、ルバーブに汚水がかからないように注意しましょう。 |
赤くならない理由は?
ルバーブは酸味のある赤い茎が特徴的な野菜ですが、栽培していると茎が緑色のままで赤くならないことがあります。 これには主に2つの理由が考えられます。
品種の違い | ルバーブには赤色の茎を持つ品種と緑色の茎を持つ品種があります。 赤色の茎を持つ品種でも、親から受け継いだ遺伝子によっては緑色の茎になることもあります。 種や苗を購入する際は、品種名や茎の色を確認しておきましょう。 |
気温の影響 | ルバーブは寒さに強く暑さに弱い植物です。茎の赤色はアントシアニンという色素によるもので、寒冷地で育てると色付きやすくなります 。 温度が高くなるとアントシアニンの生成が抑制され、茎が赤くなりにくくなります。 暖地で栽培する場合は、日陰や風通しの良い場所に置くなどして高温を避けましょう。 |
ルバーブは茎の色に関わらず味や栄養価に大きな差はありません 。 茎が緑色でも美味しく食べることができますし、料理やお菓子作りに使う際は他の果物や野菜と組み合わせて色味を出すこともできます。
ルバーブのコンパニオンプランツは?
ルバーブは、ニラやネギなどのアリウム科の植物と相性が良いと言われています 。
ニラやネギは独特の香りで害虫を寄せ付けない効果があるほか、根の深さが異なるルバーブとは根の競合が少ない点が相性が良い理由となります。
まとめ:ルバーブの育て方のポイント
ルバーブは酸味のある赤い茎が特徴的な野菜・ハーブで、ジャムや砂糖漬けなどにしてスイーツにすると美味しいです。
また、ビタミンCや食物繊維などの栄養も豊富で、お腹の調子を整える効果もあります。
ルバーブの育て方は、種まきや苗植え、水やりや肥料、収穫や増やし方などを注意して行うことが大切です。収穫までに1年以上かかるので栽培には根気が必要ですが、一度植えると5年ほどは収穫を楽しめます。
家庭菜園で高級食材とも言われるルバーブを育てる際の参考にしてみてくださいね。