虫除けハーブとして人気のタンジー(和名・日本名:えぞよもぎぎく(蝦夷蓬菊))は、花壇やプランターで簡単に育てることができます。
しかし、タンジーは成長が早く放っておくと他の植物に影響を与えたり、種子が飛んで庭中に広がったりすることがあります。
そこでこの記事では、虫除けハーブとして人気のタンジーの育て方の基本や、剪定方法や増えすぎを防ぐ対策についてご紹介します。
タンジーを上手に管理して、虫除け効果や鮮やかな花色を楽しみましょう。
タンジー栽培に適した環境づくり
種まきを行ったらタンジー栽培に適した環境づくりを行います。
タンジーは、日当たりと風通しのよい場所で育てることがポイントです。寒さにも暑さにも強い植物ですが、日陰や湿気の多い場所では生育が悪くなります。
また、生育旺盛で地下茎で広がるので、庭植えの場合は他の植物との間隔を十分に空けましょう。
用土づくり
タンジーは、水はけがよい適度に湿り気がある土でよく育ちます。あまり土質は選びませんが、市販の草花用培養土や赤玉土小粒と腐葉土を1:1の割合でブレンドしたものがおすすめです。
鉢植えの場合は、深さがある大きめの鉢に植えましょう。
水・肥料の与え方
タンジーは、元肥として緩効性肥料を施します。開花・収穫が終わる9月下旬から10月上旬ごろに、お礼肥として緩効性肥料を施します。
チッ素肥料が多すぎると、葉だけが茂って花が咲きにくくなるので注意します。
タンジーは乾燥に強い植物ですが、水切れすると生育が悪くなります。庭植えでは、植えつけ時や真夏に晴天が続くとき以外は水やりの必要はありません。鉢植えは、草丈が急に伸びる時期に乾きすぎないように注意します。
種まき時期と方法
タンジーの種まきに適した時期は、春(3~5月)もしくは秋(9~10月)の気候の良い頃です。
繁殖力が旺盛で丈夫なハーブなので、種まきをするだけで簡単に育てることができます。
タンジーの種まき方法は以下のとおりです。
- 育苗ポットに種まき用培養土を入れる。
- 指で土に3つくらい浅いくぼみをつける。
- 種を1粒ずつくぼみに蒔く。
- 薄く土を被せ、たっぷりと水やりをする。
- 土が乾かないよう水やりをして管理する。
- 本葉が2~3枚になったら生育のよい株を1つ残して間引く。
- 本葉が4~5枚になったら鉢や地面に植え替える。
次に、タンジー栽培の環境づくりについてお伝えしてきます。
地植えの時期と方法
タンジーは寒さにも暑さにも強い植物ですが、日当たりと風通しのよい場所を選んで地植えするのがポイントです。
生育旺盛で地下茎で広がるので、庭植えの場合は他の植物との間隔を十分に空けましょう。
タンジーの地植えに適した時期は、5~6月か10~11月です。株同士の間隔は、50~60cmと十分空けて蒸れを防ぎます。
スコップで苗よりも1回り大きな植え穴を掘り、根に付いた土は崩さず植え穴に苗を置きます。掘り起こした土を埋め戻し、水やりをして完成です。
タンジーは、水はけがよい適度に湿り気がある土でよく育ちます。あまり土質は選びませんが、市販の草花用培養土や、赤玉土小粒と腐葉土を1:1の割合でブレンドしたものがおすすめです。元肥として緩効性肥料を施しましょう。
鉢植え・プランターで育てる方法
タンジーは地植えで育てるとよりワイルドに育ちますが、鉢植えやプランターでも育てることができます。
鉢植えやプランターで育てる場合は、以下の点に注意しましょう。
- 鉢やプランターは大きめのものを選ぶ。
- 用土は、水はけと保水性の良いものを選ぶ。
- 土の表面が乾いたらたっぷり水やりを行う。
- 植え付け時に元肥として緩効性肥料を施す。
- 支柱を立てて倒れないようにする。
タンジーは草丈が高くなるので、10号鉢に1株、60cmプランターに1~2株が目安です。用土は市販のハーブ用培養土や、赤玉土小粒と腐葉土を1:1の割合でブレンドしたものがおすすめです。
元肥を与えた後は、花が終わる頃にお礼肥として緩効性肥料を与えるようにします。
植え替え時期と方法
タンジーは地下茎で広がっていくので、鉢植えやプランターでは株が大きくなりすぎることがあるので、新しい鉢に移したり植え替えを行って株を小さくしたりする必要があります。
植え替えは、芽が伸び始めた3~4月か、落葉期の10~1月初旬に行うのが適期です。
植え替えは次の手順で行います。
- 1回り大きなものを鉢やプランターを用意する。
- 新しい用土を用意する。
- 根に付いた土を崩さずに丁寧に鉢から取り出す。
- 根が密集している場合は根を均等に(2~4個程度)ハサミやナイフで切り分ける。
- 新しい鉢やプランターに用土を入れて苗を置く。
- 根元から苗までの高さが同じになるように調整する。
- 用土を足して苗を固定する。
- 空気穴ができないように軽く押さえる。
- たっぷりと水やりを行う。
株の切り分けについては、株分けの項で詳しくお伝えしています。
花が咲く時期と香り・花言葉
タンジーは夏から秋にかけて、直径1cmほどの丸い黄色い花を咲かせます。花はボタンのような形をしており、舌状花がありません。
花期は8月から9月で、北海道では10月頃まで楽しむことができます。
タンジーの葉は深緑色で切れ込みがあり、シダに似た形をしています。葉には樟脳に甘さと苦さを加えたような独特な強い芳香があります。この香りは虫を寄せ付けない効果があるとされ、古くから虫除けや駆虫剤として利用されてきました。
タンジーの花言葉は、「あなたとの戦いを宣言する」「抵抗」「婦人の美徳」です。英語の花言葉は、「I declare war against you(あなたとの戦いを宣言する)」「resistance(抵抗)」です。
これらの花言葉は、虫を忌避するタンジーの性質にちなんでつけられたといわれます。タンジーは8月12日と11月7日の誕生花でもあります。
室内での育て方
タンジーは日当たりから半日陰の場所で育てます。寒さにも暑さにも強く生育旺盛で地下茎で広がるので、庭植えのほうが無難です。
開花期には草丈がかなり高くなるので、鉢植えは大きめの鉢で育てましょう。
タンジーはそれほど土質は選びませんが、排水性と保水性の良い土を好みます。市販の草花用の培養土やハーブの土で問題なく育ちます。植え付ける際に元肥として緩効性肥料を施し、その後は花が終わる頃にお礼肥として緩効性肥料を与えましょう。
タンジーは、株元の土が乾いたらたっぷり水やりします。水切れすると生育が悪くなるのでご注意ください。乾燥気味に育てるより、乾いたらたっぷり水を与えて育てた方が香りが良いとも言われます。
タンジーは、病害虫の心配はほとんどありません。香りが強いため、虫を寄せ付けない効果があります。ただし、キク科植物にアレルギーがある場合は、接触性皮膚炎の報告があるので注意が必要です。
剪定する方法と目的・時期
タンジーは基本的には剪定の必要はありませんが地下茎で広がって大きく育つ丈夫な多年草なので、はびこり防止や株の整理のために、余分な株を地下茎ごと抜き取るようにすると良いです。
時期としては、梅雨前ごろに行うのが適期です。
夏越しの対処としても株の整理は有効なので、地下茎が広がってきたら行うようにしましょう。
夏越しは株の密集に注意する
タンジーは暑さに強い植物なので、水やりや肥料などの基本的な管理以外には特別な夏越し対策は必要ありません。
ただし、タンジーは地下茎で広がって大きく育つので、株が密集しないように間引きや株分けを行うこともおすすめです。
これらの管理を行うことで、タンジーは夏を乗り越えて秋にも再び花を咲かせてくれます。
耐寒性と冬越しの方法
タンジーは寒さに強い植物なので、特別な冬越し対策は必要ありません。
暖地では冬も葉が残りますが、暖地以外で冬も葉を多く残したい場合は、寒風や霜に当たらないように対策をして冬越しさせましょう。
例えば、鉢植えの場合は鉢底から給水するようにして水切れを防ぎ、鉢を新聞紙やビニールなどで包んで保温します。
地植えの場合は、株元に落ち葉や枯草などを敷き詰めて保温します。
これらの方法で、タンジーは冬を乗り越えて春にも元気に芽吹いてくれます。
タンジーの増やし方
タンジーは種まき以外にも、
- 株分けで増やす方法
- 挿し木(挿し芽)で増やす方法
2つの方法があります。それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
株分けで増やす方法と時期
株分けは、春または秋に行います。
タンジーは地下茎で広がって大きく育つので、株が密集してきたら株分けをしてあげましょう。株分けをすると、タンジーの生育が良くなりますし、鉢植えの場合は鉢を増やして植え替えることもできます。
株分けをする際は、株を掘り起こして地下茎ごと2~4個に分けます。分けた株は、元の場所や新しい場所に植え付けます。植え付ける際は、土をふかふかにしてから植えるようにします。
挿し木(挿し芽)で増やす方法と時期
挿し木(挿し芽)は、春~初夏または秋に行います。
タンジーの新芽が伸びてきたら、10~15cm程度の長さに切り取りますが、切り口から数枚の葉を残して他の葉は取り除きます。
挿し木用の土は、赤玉土と腐葉土を半々に混ぜたものがおすすめです。土を湿らせてから挿し木を挿します。
挿した後は、乾燥しないように水やりをして、芽が出る1ヶ月間ほど管理します。
タンジーは増えすぎるのを防ぐ対策
タンジーは、地下茎でもこぼれ種でも増えるので短期間でほかの植物を圧倒してしまうほど増えすぎてしまうことがあるため、はびこり防止の対策をしておく必要があります。
ここでは、タンジーが増えすぎるのを防ぐ方法として、
- 鉢植えにする
- バケツな大鉢で囲む
- 定期的に株の整理をする
この3つの方法についてご紹介します。
鉢植えにする
タンジーを庭に直接植えると、地下茎でどんどん広がってしまう可能性が高いため、鉢植えにしておくと、はびこりを抑えることができます。
植え替えの際は、株分けも一緒に行って、株の若返りを図ると良いでしょう。
ただし、こぼれ種で増える可能性は残されているのでご注意ください。
バケツや大鉢で囲む
鉢植えではなく庭に直接植えたい場合は、底を抜いたバケツや大鉢などにタンジーを植えて、鉢ごと庭に埋め込むという方法があります。
これにより、地下茎が広がり増えすぎるのを防ぐことができます。
ただし、この方法も鉢植えと同様に、種から増えるのを完全に防ぐことはできませんので、注意が必要です。
定期的に株の整理をする
タンジーは、種子が風で飛ばされても増えることがあるため、庭に不要な株が生えてきたら早めに抜き取って処分することが大切です。
また、開花期が終わったら花茎を切り取って種子散布を防ぐことも効果的です。
収穫時期と方法
タンジーの収穫時期は開花期です。 タンジーは夏から秋にかけて黄色い花を咲かせますが、その花が咲き始めたら収穫できる状態になります。
収穫時期は品種や気候によって異なりますが、おおよそ7~9月が目安です。 花がしおれて種子が飛ばされる前に収穫することがポイントです。
タンジーの収穫方法は、茎ごと切り取るようにします。
花だけではなく、葉も香りがありますので、茎ごと切り取って利用しましょう。 切り取る際は、根元からそのまま引き抜いたりしないように注意してください。 根元から10~15cmほど上の部分をハサミやナイフで切り取ればOKです。
収穫したタンジーは、ドライフラワーやポプリにすることができます。
ドライフラワーにする場合は、切り取った茎を束ねて逆さまに吊るし、風通しの良い場所で乾燥させます。 ポプリにする場合は、切り取った葉を細かくちぎって乾燥させます。 乾燥させた花や葉は、袋や容器に入れて保存しておきましょう。
タンジーの育て方に関するQ&A
ここでは、タンジーの育て方に関するQ&A(質問&回答)を紹介します。
- タンジー・ゴールデンフリースの育て方で注意点はある?
- タンジーの匂いは?
- 蟻除けに効果はある?
- タンジーのコンパニオンプランツは?
上記の問いについて詳しく回答していますので、参考にしてみてくださいね。
タンジー・ゴールデンフリースの育て方で注意点はある?
タンジー・ゴールデンフリースは、ハーブとして知られるタンジーの黄金葉品種です。 明るい黄色の葉は細かく切れ込みが入っており、シダのような姿で観賞価値が高いです。
夏から秋にかけて黄色い小さな花を咲かせますが、葉が主役の植物です。その香りは虫除け効果もあります。
タンジー・ゴールデンフリースの育て方で注意する点は、以下のとおりです。
日当たり | タンジー・ゴールデンフリースは、日向から半日陰で育てます。 日当たりが悪すぎると葉色が悪くなりますし、強すぎると葉焼けすることがあります。 |
水やり | タンジー・ゴールデンフリースの水やりは乾燥気味にします。 過湿になると根腐れや病気の原因になります。 鉢植えの場合は土の表面が乾いたら水やりをします。 庭植えの場合は植え付け時や真夏の乾燥時以外は水やりの必要はありません。 |
肥料 | タンジー・ゴールデンフリースは肥料をあまり必要としません。 元肥として緩効性肥料を施しておけば十分です。過剰な窒素肥料を与えると、葉だけが茂って花が咲きにくくなったり、病害虫に弱くなったりします。 |
剪定 | タンジー・ゴールデンフリースの剪定は花後に行います。花が終わったら枯れた花茎や茶色くなった葉を切り取ってください。これにより株の健康を保ち、次年度の花付きを良くします。 |
以上がタンジー・ゴールデンフリースの育て方で注意する点です。明るい葉色で寄せ植えや鉢植えにも向いていますので、ぜひ挑戦してみてください。
タンジーの匂いは?
タンジーはキク科の多年草で、夏から秋にかけて黄色い小さな花を咲かせます。
その花や葉には独特の香りがあり、蟻やノミ、ダニなどの虫除け効果があるとして古くから利用されてきました。タンジーの香りは少し強めで、樟脳(しょうのう)のようなさわやかな香りです。甘さも感じられますが、人によっては好き嫌いが分かれるかもしれません。
タンジーの香りには、防虫効果だけでなく、健胃・食欲増進・頭痛緩和などの効果もあると言われています。しかし、タンジーには弱い毒性があるため、食用やハーブティーとしては使わないでください。特に妊娠中の方は危険です。
タンジーの香りを楽しむ方法としては、ドライフラワーやポプリがおすすめです。
タンジーのコンパニオンプランツは?
コンパニオンプランツとは、一緒に植えることで相互に効果をもたらす植物のことです。
タンジーは、その強い香りで害虫を遠ざける効果があるため、コンパニオンプランツとして多くの植物と相性が良いと言われています。
特にコナガムシ、ハエ、蛾、蟻などはタンジーの香り嫌います。 これらの害虫が好む植物と一緒に植えると、害虫の被害を減らすことができます。
例えば、ローズやキャベツなどはコナガムシの被害にあいやすいですが、タンジーと一緒に植えるとコナガムシを寄せ付けません。また、トマトやナスなどはハエや蛾の被害にあいやすいですが、タンジーと一緒に植えるとハエや蛾を避けます。
まとめ:タンジーの育て方のポイント
この記事では、虫除けハーブ・タンジーの育て方や、剪定方法や増えすぎを防ぐ対策についてご紹介しました。
暑さにも寒さにも強く、繁殖力が強いので育てやすい植物ですが、その反面、増えすぎてしまう可能性もあるので注意が必要です。
蟻やコナガムシ、ハエなどの虫除けとして効果を発揮してくれるので、庭に置いておきたいハーブの一つと言えるでしょう。
種から育てる方法についてもまとめているので、タンジーを育ててみたいという方はぜひ参考にしてみてくださいね。