コモンマロウは、古代ローマの時代から食用や薬用として親しまれてきたハーブです。和名を「ウスベニアオイ」といい、市販の「マロウブルー」「ブルーマロウ」と呼ばれるハーブティーは、このコモンマロウの花を使ったものです。
コモンマロウのお茶(ハーブティー)は、淹れたての青色から、時間やレモンを加えることで紫・ピンクへと変化することから「夜明けのティー」「サプライズティー」とも呼ばれています。
色が変わる不思議なハーブティーとして人気で、「きれいな青色を出す作り方を知りたい」「なぜ色が変わるの?」と気になる方は多いと思います。
この記事では、コモンマロウのお茶の作り方(湯温・分量・抽出時間)を中心に、色変化の仕組み、青くならない時の対処法、味、乾燥方法、注意点まで詳しくご紹介します。
なお、ハーブティーは医薬品ではなく、特定の効果を保証するものではありません。色と香りを楽しむお茶として、気軽に取り入れてみてください。
コモンマロウのお茶(ハーブティー)の作り方
コモンマロウのお茶は、乾燥した花でも生の花でも作れます。乾燥花を使うと色が鮮やかに出やすく、扱いやすいので、まずは乾燥花での作り方から紹介します。お好みでレモンやはちみつを加えると、味や色の変化が楽しめます。
お湯出しの場合(基本の作り方)
もっとも手軽な、お湯で淹れる方法です。きれいな青色を楽しむ基本の作り方です。
- ティーポットまたはカップに、乾燥したコモンマロウの花を小さじ1杯程度(約1〜2g、花にして5輪ほど)入れる。
- 90℃前後の熱湯を約150〜200ml注ぐ。
- 注いだ直後から、青色がゆっくりと広がっていく。
- 3分ほど蒸らすと、青〜青紫色のお茶になる(長く置きすぎると色がくすむので注意)。
- お好みではちみつを加えて完成。
ここにレモン汁を少量加えると、酸性に反応して青紫色からピンク色へと変化します。この色変化がコモンマロウティーの一番の楽しみどころです。透明なガラスのカップやポットを使うと、色の移ろいがよく見えておすすめです。
水出し・氷出しの場合
水出しは、より澄んだ青色をじっくり抽出でき、色が長持ちしやすい方法です。暑い季節にもおすすめです。
- 水500mlに対して、乾燥したコモンマロウの花を3〜5g程度入れる。
- 冷蔵庫で1〜2時間置いて、色と成分を抽出させる。
- お好みでレモンやはちみつを加えて完成。
氷出し(花に氷をのせてゆっくり溶かしながら抽出する方法)も、ゆっくり抽出されるため、澄んだ発色になりやすいです。色をきれいに楽しみたい方は、低温でじっくり抽出する方法が向いています。
レモンで色が変わるのはなぜ?色変化の仕組み
コモンマロウのお茶が青からピンクへ変化するのは、花に含まれる「アントシアニン」という色素の性質によるものです。
アントシアニンは、液体が酸性かアルカリ性か(pH)によって色が変わる性質を持っています。コモンマロウのお茶は淹れたては青〜青紫色ですが、ここにレモン汁(酸性)を加えると、酸性側に傾いてピンク〜赤紫色に変化します。これはリトマス試験紙や、紫キャベツの煮汁にレモンや酢を加えると色が変わるのと同じ原理です。
つまり、青いお茶=中性〜弱アルカリ性、ピンクのお茶=酸性、というわけです。レモンを入れる量を少しずつ変えると、紫〜ピンクのグラデーションを楽しむこともできます。
青くならない・色がくすむ時の対処法
「淹れてみたら青くならず、灰色や緑っぽくなってしまった」という声もあります。きれいな青を出すには、いくつかのコツがあります。
- 熱湯で長く置きすぎない:高温で長時間抽出すると、青色がくすんで灰緑色っぽくなることがあります。熱湯を使う場合は3分前後で切り上げ、色が出たら花を引き上げましょう。澄んだ青を狙うなら水出し・氷出しが安定します。
- 花の鮮度・保存状態を確認する:古くなって退色した花は、青色が出にくくなります。乾燥花は密閉して冷暗所で保存し、半年程度を目安に使い切りましょう。
- 水質の影響:水のpHやミネラル分によって発色が変わることがあります。思うような青が出ない場合は、軟水やミネラルウォーターで試してみるのも一つの方法です。
色がくすんでも飲むこと自体に問題はありませんが、見た目の美しさを楽しみたい場合は、上記を意識してみてください。
コモンマロウのハーブティーの味
コモンマロウのハーブティーは、色が鮮やかな一方で、味や香りはとても穏やかです。ほのかな甘みと、やわらかい草花のような香りが感じられる程度で、クセはほとんどありません。
そのため、「さっぱりして飲みやすい」と感じる人もいれば、「味が薄くて物足りない」と感じる人もいます。味に変化が欲しい場合は、レモンやはちみつを加えるのがおすすめです。レモンは色の変化も楽しめ、はちみつはのどをいたわりたいときにも好まれます。
また、味や香りが穏やかなぶん、他のハーブや紅茶とブレンドしやすいのも特徴です。たとえばレモングラスやカモミールはさわやかさやリラックス感を、ラベンダーやアールグレイは華やかな香りを足してくれます。ブレンドする際は、先にコモンマロウだけで青い色をしっかり抽出してから、後半で他の素材を加えると、きれいな色を保ちやすくなります。
コモンマロウに伝統的に親しまれてきた使われ方
コモンマロウ(ウスベニアオイ)は、古くからのどや胃の調子をいたわる目的で、民間で親しまれてきたハーブです。
| 親しまれてきた場面 | 補足 |
| のど・咳をいたわりたいとき | 花や葉が、のどの不快感をやわらげる目的で伝統的に用いられてきました。温かいお茶として、または冷ましたものでうがいに使われることもあります。 |
| 胃の調子が気になるとき | 胃をいたわる目的で、食前などに飲む習慣が伝えられてきました。 |
| 肌の手当て(外用) | 葉や花の浸出液が、肌の炎症や虫刺されの手当てに用いられてきたという伝承があります。 |
これらはあくまで伝統的な利用や言い伝えに基づくもので、医薬品のような効果が証明されているわけではありません。体調がすぐれないときは、お茶に頼らず医療機関を受診してください。
コモンマロウの花の干し方・乾燥方法
自分で育てたコモンマロウの花を使えば、より新鮮な状態でお茶を楽しめます。ここでは花の干し方・乾燥方法を紹介します。
| 手順 | やること | やり方 |
| 1 | 花摘み | コモンマロウは5〜7月頃に花を咲かせます。花が多く色も鮮やかな6〜7月が収穫の適期です。咲き始めの花を選び、香りや成分が損なわれにくい早朝や夕方に摘むとよいでしょう。 |
| 2 | 水洗い | 摘んだ花はザルに並べて流水で洗います。花はデリケートなので、ボウルに張った水の中で優しくゆらすように2〜3回洗うと傷みにくいです。 |
| 3 | 水切り | ペーパータオルで軽く押さえて水気を取り、キッチンペーパーを敷いたトレイに広げて水切りします。 |
| 4 | 乾燥 | 風通しの良い日陰で乾燥させます。直射日光や湿気は避けましょう。気温や湿度にもよりますが、おおむね数日〜1週間で乾きます。触ってカサカサと乾いていれば完成です。 |
乾燥させた花は密閉容器に入れ、冷暗所で半年程度を目安に保存します。退色すると青色が出にくくなるので、早めに使い切るのがおすすめです。
生のコモンマロウでフレッシュハーブティーを作る方法
乾燥させずに、摘みたての生花でお茶を作ることもできます。手順は乾燥用と同じく「花摘み→水洗い→水切り」まで進め、そのまま抽出します。
- 水洗い・水切りした生花を、ポットやカップに入れる。
- お湯を注ぐ。生花の場合は、熱湯よりやや低めの温度(80℃前後)で淹れると、色がくすみにくく、やわらかな発色になります。
- 10分ほど置くと、花から色素が溶け出してお茶が色づきます。
- そのままでも飲めますが、味や香りは穏やかなので、レモンやはちみつを加えると風味が増します。レモンを加えると酸性に反応してピンク色に変化し、見た目でも楽しめます。
生花は乾燥花より色素が安定しにくいため、淹れたてを楽しむのがおすすめです。
コモンマロウのハーブティーはどこで買える?
コモンマロウは日本ではまだ一般的なハーブとは言えず、スーパーなどでは手に入りにくいことがあります。主にハーブ専門店やオーガニックショップ、ネット通販で購入できます。
購入時に知っておきたいのが名前のバリエーションです。「コモンマロウ」「ウスベニアオイ」「マロウブルー」「ブルーマロウ」は、いずれも同じコモンマロウ(学名 Malva sylvestris)の花を指すことがほとんどで、基本的に同じものと考えて問題ありません。ただし、近縁の「ゼニアオイ(ウスベニアオイの変種)」など、ごく近い別種が使われている場合もあり、産地や品種によって色の濃さに多少の違いが出ることはあります。
選ぶ際は、次の点を確認するとよいでしょう。
- 色変化を楽しみたいなら、花だけを使ったシングル(単一)タイプを選ぶ。
- 飲みやすさ重視なら、レモングラスやローズヒップなどとブレンドされたタイプも。レモン系やローズヒップ(酸味)入りは、抽出時点で色が赤紫寄りになることがあります。
- 色をきれいに出したいなら、退色していない、鮮度の良いものを選ぶ。
シングルかブレンドかを確認してから購入すると、イメージ通りのお茶を楽しめます。
飲む際の注意点
コモンマロウのお茶は穏やかで親しみやすいお茶ですが、念のため次の点にご留意ください。
持病があり薬を服用している方、妊娠中・授乳中の方、小さなお子様は、念のため摂取を控えるか、事前に医師に相談すると安心です。また、体質に合わないと感じた場合は使用を中止してください。アオイ科の植物にアレルギーのある方も注意しましょう。
まとめ:コモンマロウのハーブティーの作り方
この記事では、コモンマロウのお茶の作り方を中心に、色変化の仕組みや青くならない時の対処、味、乾燥方法、注意点をご紹介しました。
ポイントをおさらいすると、乾燥花を使い、熱湯なら短めの抽出で、澄んだ青を狙うなら水出し・氷出しがおすすめです。青くなったお茶にレモンを加えると、アントシアニンが酸性に反応してピンク色に変化します。この色の移ろいこそ、コモンマロウティー最大の魅力です。
味や香りは穏やかなので、レモンやはちみつ、他のハーブとのブレンドで自分好みにアレンジするのも楽しいでしょう。自分で育てた花を乾燥させて作れば、色や香りの変化をより身近に楽しめます。
なお、コモンマロウの育て方についてはこちらのページで詳しくお伝えしていますので、栽培から楽しみたい方はあわせてご覧ください。